2008年5月10日号
『尾道みなと祭の開会で祝った尾道市制施行110周年の記念式典』 4月26日、祭りの開会セレモニーの中で式典を開催。平谷祐宏尾道市長ら参加者の万歳三唱で祝った。写真は赤田茂洋氏撮影。 |
■トピックス
福山藩水野家3代の夢と重なる幻の「姫谷焼」ロマンを追う 4
因の島ガス(株)がサテライト基地完成 8月から天然ガスに転換 6
福山明治ビル (株)瀬戸内不動産鑑定事務所がタイ文化発信拠点に 14
国史跡となるか福山城 発掘調査進む舟入状外堀と二重櫓跡 16
■スポット
撤 退 因島サティが11月に閉店 中心市街地に不安広がる 7
企 画 三平商事㈲の三原の庭見学イベント 今年はバスツアー 8
決 算 ツネイシHD連結で2,312億円突破 3年後3,000億円へ 12
奉 仕 今年度備後のライオンズクラブ役員一覧 13
■記事
しまなみフェリー(7)・加納達則さん(8)・広島ADR研究会(9)
白羽会(10)・海里真弓さん原画展(10)・NPO工房おのみち帆布(10)
府中産業メッセ(11)・福山商議所(11)・福山家具組合連合会(12)
おのみちの水(15)・内外ニュース尾道懇談会(18)・尾道みなと祭(19)
福山大学(19)・尾道仏教会(20)・おのみちスローフードまちづくり推進協(21)
やまねみわこさん(22)
■この人に聞く 2・3
浜田和也さん 寺内タケシ広島後援会会長
■この機に語れば 23
平木三千人さん (株)瀬戸内不動産鑑定事務所社長
中村文美さん 白羽会主宰
村上祐司さん 因の島ガス(株)社長・因島商工会議所会頭
藤井優希さん eおのみち屋代表
■まちかどピックアップ 26・27
居酒家 とりかわ権兵衛 尾道店
見学施設 ヒロボーライブファクトリー
利き茶イベント 今川玉香園「新茶カフェ」
尾道ラーメン たに 駅ビル店
■資料
県下金融経済状況 21
最近決算企業の概況 30
赤ランプ 20
ホームページの発信元(251) 「ひろしま文化大百科」 25
セミナー情報 28
建築ニュース 29
新設会社 30・31
特ダネ!びんご「イベント百科」 32
■連載
映画館に恋をして(21) 河本清順 NPO法人シネマ尾道 9
ふりむけば…デザイン(6) 寺延匡昭 (株)ワラビーデザイン 11
栗原川異聞(96) 小林将利 15
それいけ!みはら応援団(16) 三原市職員自主研究グループ 17
尾道市の歴史(4) 楠智幸 瀬戸内海運㈲ 22
明治ビルがタイ文化の拠点として再生
マンションなどの不動産鑑定のほか自ら不動産の再生を手がける㈱瀬戸内不動産鑑定事務所(福山市)の平木三千人社長は5月15日、整備中の福山市中央図書館と中央公園の東側に位置する明治ビル(明治町)を大幅にリニューアル、タイ料理レストラン、タイ古式マッサージを核に本物のタイ文化に触れる拠点を創造する。
明治ビルは地下1階6階建て。地下1階は今後の入店を待つテナント用、1、2階は直営のタイ料理レストラン「パーパイタイ」(タイ語でタイに連れて行くの意)明治町店、3階はタイ式ヨガやワークショップ等の多目的イベントホールとタイ物産の販売コーナー、4階はカラオケステージホール、5階はタイ古式マッサージのリラクゼーションサロン「サラー」の構成。6階はストックヤード。
(詳しくはびんご経済レポート紙面をご覧ください)
福山大学孔子学院開学記念で中国書家が講義
福山大学(福山市東村町)と中国政府が共同で4月4日に福山大学孔子学院をオープンした記念に「書道で始める中国文化入門講座」が同月25、26の両日、市内のホテルで開かれ、書道愛好者ら約110人が日本文化にも造詣が深い中国の書家、張信上海師範大学美術学院准教授から漢字の形が持つ意味など書の源流や日中の違いなど書道文化を学んだ。
(詳しくはびんご経済レポート紙面をご覧ください)
好評・やまねみわこさんのCD「おのみちこみち」
尾道を題材に尾道出身のやまねみわこさん(24、東京都在住)が作詞作曲、自ら歌ったCDアルバム「おのみちこみち」(@RECORDS発売)が尾道中央商店街のBGMで流れるなど話題になっている。
やまねさんは丸美運輸の山根司社長の三女。尾道北高を経て日本大学芸術学部音楽学科を平成十八年春に卒業、作曲家を目指しながら東京のIT関連企業で働いている。
作曲家志望ながらファーストアルバムでは作詞、作曲に加え、歌まで担当。澄んだ声と高い歌唱力で心地好い作品に仕上げている。
「おのみちこみち」、「SHIMANAMI ROAD」など全10曲を収録。
(詳しくはびんご経済レポート紙面をご覧ください)
福山藩水野家の夢と重なる姫谷焼展覧会
福山市西町の広島県立歴史博物館で幻の焼き物「姫谷焼」を紹介する展覧会「姫谷焼―備後に花開いた初期色絵磁器―」が6月8日までの会期で始まった。
姫谷焼は十七世紀後半の一時期に福山市加茂町百谷で製作された色絵磁器。当時、高度な生産技術を必要とした色絵磁器を製作していたのは有田焼、伊万里焼で知られる肥前窯(佐賀県・長崎県)、九谷窯(石川県)と姫谷窯の三カ所のみ。姫谷焼は日本の焼き物文化を研究する上で重要な位置にある。
展覧会は「備後の宝である姫谷焼を知ってもらいたい」との思いを持つ福山ロータリークラブ(平地茂雄会長)との共催で実現した。
■姫谷焼の窯跡
福山市加茂町百谷に姫谷焼の窯跡が見つかっており、昭和10年の試掘調査後、12年に県史跡に指定された。江戸時代初期の1660~80年ごろの20年間のみ生産したとされ、色絵磁器のほか白磁や青磁、染付の破片も見つかっている。
形態では皿のほか瓶や茶道具の破片も見つかったが、庶民的な生活雑器はほとんどなく、当時、同地域を所領とした福山藩(藩主水野家)の藩窯的な性格が想像されるものの、福山藩との関係を裏付ける記録などは確認できていない。唯一、江戸時代後期になって現在の福山市駅家町の庄屋だった馬屋原重帯によって編纂された地誌「西備名区」に水野勝成が中国地方を放浪中に焼き物を製作し、これが姫谷焼として伝えられることになったという説話が記されているが、時代や出来事に錯誤が認められることから説話の内容を信じるには至っていない。
■姫谷焼ロマン
姫谷焼の企画を担当した県立歴史博物館の鈴木康之主任学芸員によれば、姫谷焼は「いつ、だれが、何のために製作したのか、その実体は明らかでない点が多く、伝世品のすばらしさからロマンが広がる」とのこと。ここから先は一観覧者として弊紙でロマンを広げてみた。
姫谷焼の製作された1660~80年はほぼ福山藩第四代藩主水野勝種の時代。勝種は1663~1697年の間藩主だった。姫谷焼が1660年代に始まったとすれば、ピタリと当たる。しかし勝種が藩主になったのは2歳のころ。高度な技術を要した窯の生産開始には相応の準備期間が必要だったはずで、第3代の勝貞(1655~1662年藩主)が準備期間を担ったと思える。
その勝貞は藩主になったとき30歳。鞆の浦生まれとあってか、文化的素養も高かく、藩主着任ごろは何か殖産興業のため、ベンチャー起業を考える適齢期にあった。当時の磁器は現在で言えばセラミックのような新技術。セラミックにかけた京セラが巨大産業を担ったように、異国伝来の新技術「磁器」の可能性に勝貞はかけたのではないか。
では、どこで磁器と出会ったのだろうか。勝貞は祖父水野勝成、父水野勝俊とともに、親子3代がそろって1638年の島原の乱に出兵している。島原の乱を収めた陣営の多くは九州の大名だが、唯一、九州以外から出兵したのが福山藩の水野家。参じた軍勢の中で最大は佐賀藩の鍋島勝茂で兵力3万5千。福山藩も5千6百を注いでいる。
鍋島家と水野家の情報交換が密に行われたことは間違いなく、既にベンチャーとして磁器の生産を始めていた佐賀藩に水野家3代のトップは興味津々だったに違いない。
また水野勝俊と言えば天下無敵の二刃流で知られる宮本武蔵。父勝成と懇意だった武蔵は大坂の役で勝重(後に勝俊に改名)付けとして出陣した間柄だった。その武蔵も福岡黒田藩から島原の乱に出兵しており、島原の乱では水野、鍋島両家と宮本武蔵が「これからの藩運営」と題して懇親会をもったやも知れぬ。
いずれにせよ、当時は高度な最新技術だった磁器生産の日本発祥の地からほど近い島原に水野家3代が1638年に集っていた。華麗なる一族の交流には贈り物が付き物。珍しい色絵磁器は高級調度品としてもてはやされたに違いなく、一流ブランドになり始めていた磁器は戦に集った大名をもてなす宴でも使われ、新しい技術を取り入れた殖産興業の成功例として語られたに違いない。
島原の乱で戦功を挙げ、磁器生産の先進地視察もできた水野家。そして落ち着き始めた世情。1655年勝貞が3代藩主に着任するといよいよベンチャー育成の期は熟し、磁器の生産地となるべく準備に取り掛かったのではなかろうか。陶工の手配もさることながら、何より難しかったのは原料(石粉)の探索。1651年、死の間際に初代藩主勝成は夢を見た。中国地方をさまよい、現在の姫谷焼窯跡の近くで捜し求めた原料(石粉)と出会う。遺言のように磁器生産を命じ、息を引き取ったのかも知れない。
■姫谷焼は福山の誇り
姫谷焼の伝世品は窯跡から出土した破片の図柄との一致によって正に姫谷焼と裏付けられた。鈴木主任学芸員の話では作品として確認できるのは100点から150点とのこと。枝ごと摘み取った花を載せているように見える地の白を生かした絵柄が特長。「幻」の姫谷焼としてコレクターの間でも高く評価されている。
福山藩と姫谷焼の関係を裏付ける記録は見つかっていないが、姫谷焼が途絶えたとされる1680年から20年ほど後となる1698年、福山藩5代藩主水野勝岑がわずか数え2歳で夭逝したことから福山藩主としての水野家も断絶している。
姫谷焼は美術工芸品としても美しく、福山の歴史を思わせる文化財としても一級の輝きを放っている。福山市の誇りとして市民の食卓で話題に登ることが望まれている。
(詳しくはびんご経済レポート紙面をご覧ください)
こぼれ話―タイトル
さわやかだったみなと祭 歌に映った市制百十周年
信頼回復急務の食品業界 原点はふるさとの味から
まちかどピックアップ --------2008年5月10日号掲載
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模型飛行機から大空に広がる夢
無線操縦の模型ヘリコプターでは世界トップシェアを誇るヒロボー(株)(府中市本山町、松坂敬太郎社長)が平成18年5月、同市桜が丘工業団地内に見学できる新工場「ヒロボーライブファクトリー」をオープンさせた。総ガラス張りの模型ギャラリーには模型飛行機がずらり。天井には何十機もの飛行機が吊り下げられ、通路には2m近いビッグサイズのジェット戦闘機も飾られている。またショーケースには小型のプラモデル飛行機も並ぶ◆別のコーナーにはこのほどライト兄弟が人類初の動力飛行に成功した「フライヤー号」の模擬飛行体験ができる装置も登場。大型ディスプレーを前に操縦桿と腰の動きの操作で、成功地米国ノースカロライナ州キティーホークの砂漠を模擬飛行できる。さらに11時30分からと15時30分からの2回(土・日曜日は5回)、室内用模型ヘリコプターのデモフライト(約10分)も行われている◆教材的に飛ばせる模型飛行機の販売コーナーやパネル展示、芝生広場、フレンチレストラン棟も備え、親子で大空に夢を広げながら楽しめる。利用料は高校生以上500円、小中学生200円。
まちかどピックアップ --------2008年5月10日号掲載
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極上新茶と尾道に縁深い煎茶道紹介
5月16日(金)から18日(日)の3日間、土蔵内を会場に「新茶カフェ」を開く今川玉香園茶舗◆明治時代築造の土蔵を当時の技法を活かして敷地内に移築した趣のある会場で、新茶を楽しむ企画として定着した。今回は創業130周年の記念イベント◆目玉となる新茶は、昨年の関西品評会で一等に輝いた宇治茶。国内で5㎏しかない上等な手積みのお茶で、利き茶用にその内の500g用意した。農林水産大臣賞受賞の農家が栽培した静岡のお茶も登場する予定。和菓子付きで800円◆また17日は午前11時から、大正、昭和初期から尾道の豪商が茶室を構えるなどゆかりの深かった煎茶道「一茶庵(いっさあん)流」のお手前。ゲストに大阪の家元から馬田乙世(うまだおとよ)氏を招き、煎茶席を設けて尾道と煎茶道文化の関係を語る。計8席の予定で、席料は1,000円。尾道学研究会(天野安治会長)により、長江で煎茶器を焼く窯の遺構の存在が明らかになったことも併せ「今後は煎茶を切り口に、尾道の歴史文化を発掘、伝えていく契機としたい」としている。