広島経済同友会尾道支部は十八日、尾道市天満町のホテルサンルート尾道で平成十三年度定時総会を開き、垣内義一支部長(垣内税務会計事務所所長)の再任など役員人事や新年度活動方針などを決めた。
総会後の懇親会には亀田良一尾道市長、佐藤忠男尾道商工会議所会頭らの来賓を迎え、垣内支部長があいさつ。「長男も都会へ職を求める時代。せめて長男だけでも尾道経済圏で職を求められる環境づくり、職づくりが経済人の使命と考え、努力したい」と新年度の意気込みを話した。
また、同支部では「西御所上屋倉庫再開発に関する提言」と題した提言書を作成、臨席していた亀田尾道市長に手渡した。
提言は、再開発を終えたJR尾道駅前地区に続いて西側岸壁に連なる県営上屋倉庫郡の再開発に関する内容。基本は、既存倉庫を補修により低コストで使用形態を変更、瀬戸内の十字路として人を市内に呼び込めるソフト的な魅力を持つ施設に変えていく構想。
同支部が描くイメージは、駐車場、ギャラリー、講演会場、コンサートホール、芝居小屋、物産展イベントホールなど、必要に応じてパーテーションなどにより広さが変わる使用形態で、水道、排水、換気など飲食関係の厨房施設も最小限とする。
提言では、これまでに尾道じゅうにん委員会が平成元年に提言した「IRON PARTHENON構想」(古い構築物の柱を彫刻などに置き換え、芸術的なコミュニセンターにする構想)と、平成十年につくられた「尾道駅前西地域開発計画―西御所上屋倉庫利用について―」(二百坪のイタリアンレストランやフィッシャーマンズマーケット、ラーメン屋、物販スペースを配置、観光バスを呼び込むことも可能なスペースとする構想)の二つの構想と合わせて提言の概要としている。
提言を受け、あいさつに立った亀田市長は「十年来の懸案で、施設の利用業者の移転が進んでいない。藤田県知事も意欲を見せており、世論の盛り上がりに期待したい」と西御所再開発に前向きな姿勢を見せた。
なお、同支部の活動方針は、経済活動の積極的推進を「提案、鼓舞、激励」する。地域行政の推進を思考するなかで、経済界の果たすべき役割を研究し積極的に協力する。教育界をとりまく問題を研究し正常化に協力する。新幹線ひかり号の部分再停車運動を展開する、など八項目。
副支部長は日暮彰文(丸善製薬(株)社長)、田中康貴(大信産業(株)社長)、池田達美((株)鉄道広告社長)の三氏。
福山商工会議所(松本卓臣会頭)は商店街の空き店舗対策の一環としてインキュベーター・ショップ「商人(あきんど)の卵」の開店準備を進めている。
インキュベーターは「保育器」といった意味。小売業の起業を目指す人に、低コストで開業できる機会を与え、経営プランの作成や商品陳列の方法などを勉強会で支援する計画。
「商人の卵」は市内霞町の福山霞銀座商店街「ローズナード霞」にある元パソコンショップの倉庫を利用。一階の約九十二平方mを会議所が借り受け、八つに区割り、そのうち六区画を店舗として提供する。一区画は約二坪。条件は半年から一年間の契約期間で、家賃無料。共益費月二万円と五万円の保証金が必要。
応募条件は十八歳以上で、若者をターゲットとした店づくりを目指す人。住所は問わない。
八区画のうち残り二区画は、週末だけなど、短期間のイベント型ショップを随時配置する予定。
これまでに説明会なども開催しており、ペット向けの服やアクセサリーの販売、インド綿の服や雑貨の販売、ちりめん人形の販売、関西で流行の服やグッズの委託販売を目指す人など(いずれも市内の人)が四区画で開業準備を進めている。残り二区画は応募中。五月中旬にはオープンする予定。
インキュベーター・ショップの取り組みは県内商工会議所では初めて。富山市の商店街では平成九年七月に取り組みを始め、これまでに三十人が独立、空き店舗十七店が四店に減少するなど効果があったという。問い合わせはTEL0849・21・2349同会議所産業課まで。
広島県厚生農業協同組合連合会尾道総合病院(呼称=JA尾道総合病院、尾道市古浜町7-19、梶山梧朗院長)はこのほど、超伝導磁石とコンピーターを組み合わせた最新式の医療用画像診断装置「磁気共鳴断層撮影装置」(通称=MRI)を導入、今月九日より本格稼動を始めた。
MRIは、強い磁気を発生する装置内に患者を入れ、外から与える電波の影響で体内の水素原子が共鳴、その時に発生する微弱な電波を受信して、コンピーターで画像化する装置。体内の様々な断層画像を解析できることが特徴で、脳や内臓などの診断に多く利用されている。
JA尾道総合病院では、二月下旬に旧型機を撤去後、米国GE社製の新型機を三月中旬に搬入するなど、約十億円かけ更新。試験稼動などを経て今月から、稼動を本格化した。新型機はMRIを被う磁気の防御壁が本体と一体化しているため、旧型機に比べコンパクトなサイズと重量になっている。
醤油や調味料などの製造卸売業の(株)ロイヤルマーゴ(福山市神村町3685-1、寺岡晋作社長)はこのほど、大手百貨店など高級量販店の夏季贈答用品向けに、四月から始まった有機JAS法に適合した「寺岡家の有機醤油」詰め合わせの出荷を始めた。
詰め合わせは、一本三百ミリリットル瓶入りの濃口醤油四本と同量の淡口醤油一本の合わせて五本セット(販売価格三千円)や一本五百ミリリットル瓶入りの濃口醤油四本と同量の淡口醤油一本セット(同五千円)の二種類。同社では出荷のピークを七月上旬と予想している。
企業や行政、大学、福祉関係団体など五十五団体で構成する広島県福祉関連産業創生プロジェクト推進協議会(会長=土肥信之広島県立保健福祉大学学長、事務局=県商工労働部新産業振興室、TEL082・228・2111)は七月から、広島県福祉関連産業創生情報システム「コクーンHiroshima21」の運用を始める。
同システムは平成十二年から整備、検討を重ねているもので、インターネットや広島県の公共情報通信基盤「広島メイプルネット」を活用、製造会社、卸・小売店、各種団体、自治体、福祉サービス会社、生活者などをネットワークし、それぞれから発信される福祉関連情報などを基に、新しいサービス(産業)創生を目指そうとしている。
具体的には、製造会社や卸・小売店、福祉サービス会社は、同システムから消費者ニーズ情報などを収集し生きたビジネス資源として生かし、各種団体や自治体は、同システムにフォーラムや告知(掲示板)及びフリーマーケットの場を提供することで、生活者と地域住民らのコミュニケーションを促進する。生活者にはパソコンや携帯電話、専用端末機などにより、情報配信システムの構築や福祉用具情報、バリアフリー情報なども提供する。
同推進協議会には、県や県立保健福祉大学、(株)モルテン(広島市)、三原市など十一団体で構成する幹事会を置き、会の運営と事業PRを行うほか、「サービス事業委員会」と「研究開発委員会」を設置する。サービス事業委員会で具体的な事業を展開しながら、研究開発委員会で福祉用具の研究開発体制の整備とプロジェクト推進を図る。
事務局の県商工労働部新産業振興室では「七月から同情報システムを稼動させる予定です。当協議会の構成企業を見ると、県内の地場企業の参加が少ないのが現状です。当協議会の趣旨に賛同していただける地場企業の参加を期待しています。入会無料です」と呼びかける。
今年度の事業活動は、サービス事業委員会がコクーンシステムの活用方策や同事業の具体化などを協議。研究開発委員会は共同研究開発テーマの検討や県の研究開発支援制度を活用したプロジェクトの推進などを計画している。
今後、市場が大きく成長すると見込まれる「福祉関連分野」で、産・官・学・民(利用者)によって育まれる21世紀型のコクーン(繭)に期待したい。(M)