山陽工業(株)(高橋貞昭社長)グループの尾道国際ホテル(尾道市新浜一丁目、TEL0848・25・5931)が、観光都市尾道の名物づくりに乗り出した。第一弾は同ホテル内にある直営の和食コーナー「四季亭」から新しい味を求めて創作した「穴子どんぶり」を大々的に売り出す。
穴子どんぶりは穴子がごはんをすっぽりと覆うボリューム感が魅力。最後までおいしく食べられる上品なうす味に仕上げた。
穴子は大三島沖で獲れる瀬戸内海の地物だけを使用。しかも魚がいい状態で獲れるはえ縄漁にこだわり、身の絞まった小ぶりのアナゴを厳選仕入れする。
ごはんはアナゴの骨を素焼きして煮込んだスープを下味に使った炊き込みごはん。上にのせる穴子の焼きダレは、アナゴの頭と骨を使い、秘密のブレンドで仕上げるオリジナル。
高橋社長や加藤圭二尾道国際ホテル支配人の指揮により社内で試食会を重ね、量的なバランスや味の濃さを調整、山陽ホテルグループの迫田勝総料理長が舌の肥えた女性にも喜ばれる味に仕上げた。
料金はアサリの吸い物が付いて一人前千二百円。穴子料理には一品料理も用意。かば焼き、酢の物、天婦羅、柳川鍋、にぎり寿司などがある。
なお、四季亭では尾道名物穴子どんぶりをPRするため、幟も作成、八月十日から月末まで(十二〜十六日は除く)は一日先着二十人に限り、穴子どんぶりを半額で提供する。営業時間は午前十一時から午後九時三十分まで。
尾道市百島町(向島の東にある離島)で東京や倉敷の美大生が尾道帆布を使った芸術作品を制作・展示する第二回尾道帆布展が七月二十五日から始まった。八月二十五日まで(火曜日休み)。
尾道帆布展は神奈川県に住む美術系イベントプロデューサー今里かおりさん(26)が昨年に続いて企画した。昨年は廃校になった尾道市内の筒湯小学校の旧校舎を使って、美術大生らが制作過程も公開しながら作品づくりに挑む珍しい方式で開催。古き良き素材として尾道で製造されている帆布を使用した作品づくりが話題を呼び、朝日新聞の天声人語や全国ネットのテレビ番組で紹介された。
二回目の今年は、小中統合で空いた百島中学校の旧校舎がアトリエ。昨年から参加があった東京の多摩美術大学と武蔵野美術大学に加え、倉敷市の倉敷芸術科学大学からの参加者も加わり、十四人が作品づくりに取り組んでいる。また、今年開学した尾道大学の芸術文化学部美術学科の学生も制作の様子を収録する形でかかわる。
参加者は校庭に支援者が準備したテントに宿泊。制作合宿のつもりで、エアコンのない自然いっぱいの環境を楽しみながら作品づくりに取り組んでいる。
外出や不在の方もあり、八月四日に出会えた参加者のコメントは次の通り。
村上鉄兵さん(多摩美)▽機械部品と帆布で立体絵画を制作中。「暑さも厳しいですが、楽しく作品づくりに取り組めます」。
羽生直記さん(多摩美)▽機械部品で立体絵画を制作中。「ここでは時間を感じないですね」。
加藤智大さん(多摩美)▽種の形状を三十個ほど作り、そこから帆布の芽が出るオブジェを制作中。「作品づくりに没頭できると思い、参加を即決しました」。
内田瑞穂さん(武蔵野美)▽帆布と金属を織り込み、腐食させた色あいで布を表現、糸を張った木材と組み合わせたオブジェを制作中。「他の芸術家と交流して成長したいと思い参加しました」。
森村智子さん(多摩美)▽帆布の製造過程で出来る糸くずと帆布を使ってぬいぐるみのような動物オブジェを制作中。「大学の勉強と違い、すべて自己責任で制作する企画に、自分が成長できそうな魅力を感じました」。
百島へは尾道駅前から船で福田港(百島)が便利(大人片道七百五十円、小人半額)。車は沼隈郡沼隈町の常石からフェリー。運航は備後商船(TEL0849・87・2711)。
アウトソーシング、労働者派遣事業の(株)山陽テクノサービス(福山市南蔵王町四丁目17-43、河田庄二社長、TEL0849・26・0481)は、厚生労働省から七月一日付けで有料職業紹介事業の認可を受け、キャリアコーディネート事業部(人材紹介事業部)を発足させた。
採用希望者を無作為に求人依頼企業に振り分けることによって生じるミスマッチをなくそうと考えたのがきっかけで、企業が求める人材と、採用希望者の求職を一致させ、中小企業が抱える人材の問題点を極力回避するのがねらいで、企業からの反応も好調という。
田辺敏幸統括部長は、「景気が悪い中でも人材紹介への反応が良いと言う事は、どれだけの負担でどんな人材を必要としているのかを真剣に考え、明確なポリシーを持って優良な人材を探している経営者が増えている証拠。人材派遣の難しさは、商品と違い人間には心があって、実績やスキルだけで紹介先を判断できないところにあり、当社では採用希望者と徹底的に面接し、本人の資質、性格までを考慮した上で判断しています。経理、事務、品質管理や生産管理、IT技術者などの幅広い人材紹介と、従来のアウトソーシング、労働者派遣を通じ、地場産業の振興に貢献していくことが当社の責務であると考えています」と話す。
酒類、食料品卸売の福山酒販(株)(福山市明神町二丁目2-30、平岡靖登社長)は、全国に広島県の地酒を広めようと、五月から地酒十八銘柄を三セットに分けて販売を開始、贈答向けなどが好調でこれまでに千セットを受注した。
今までスポットの当たっていなかった、県内の各地の蔵元を訪ね歩いて協力を要請、集まった十八銘柄を、統一呼称「飲んでみんさい広島県の地酒」のもと、味や価格などが平均化するように三百ミリリットル瓶十八本を六銘柄ずつ「赤もみじ」「黄もみじ」「青もみじ」各セットにわけ、希望小売価格は二千八百五十八円。各セットには、底に穴が開いているため杯をあけるまでテーブルに置くことができないおちょこ「そらきゅう」一つが付いており、遊び心を演出している。当初は期間限定の予定だったが、小売店からは延長要請がきているという。
なお地域や味で組み合わせた中元用の「ひろしまふるさとセット」「備後ふるさとセット」「辛口地酒セット」も好評で、今後も日本酒の季節に向けて新たな戦略を検討、全国展開を狙う。
平岡社長は「予想以上の反響ですが、メーカーと直結している卸売業だからこそできる売り方。一目見ただけで印象付けられる商品の売り方に関して、小売店に何を置いてもらうか、どう置いてもらうかを日々研究しています」と話す。
なお同社は、商標権を取得している地酒「福山城」を平成七年から、手に入りにくかった四・五リットル瓶などで発売し、好評を得ているなど、ユニークな商法を展開している。
夫人として岡本太郎の芸術活動を支えてきた岡本敏子岡本太郎記念館(東京・青山)館長が尾道白樺美術館に来館した。
「芸術は爆発だ」という名言で知られる岡本太郎だが、常に理不尽なことに抵抗してきた骨太の人で、小学校一年生のときには「先生がいっていることはおかしい」と、三回も学校を変えたそうだ。
父岡本一平は漫画家、母岡本かの子は作家。そんな文芸一家だから可能だったのかも知れないが、子どものうちから自由な自己表現を許されていたからこそ、世界が認める芸術家が育ったことだけは間違いない。
尾道白樺美術館の館内では子どもたちが絵を描くことができる。周りには赤、黄、青など鮮やかな色彩で表現された岡本太郎の作品が並ぶ。その真中で絵が描ける。岡本太郎記念館のロビーでも子どもたちが絵を描いているそうだ。子どもたちが絵を描いている姿を写真に収めたいのが親心。館内では作品の写真撮影もOKという。
「子どもたちには、絵を描いてちょうだい…なんて言わないのに絵を描き始める。太郎の作品を観ていると自分も描いてみたいと触発されるんです。目をきらきら輝かせて描いています」と岡本敏子さん。
「落書きなどの被害はないですか」と夢のない質問をぶつけると「素直に作品のよさが分かるんでしょう。これには描いてはいけないと…。今までそうした被害も作品が無くなったという話もありません。大人は子どもたちを自分たちの枠にはめようとします。すると子どもは大人の願いに沿うように、いい子を演じようとします。そんな気持ちでいい絵は描けません」と子どもの気持ちを代弁された。
午後からの講演会で印象的だったのは「今、男の人に元気がない」という話。元気を出してもらうには誰かがにらめっこのような目で見ること。人間と人間として、対峙する目が何より大切だそうだ。
「やってみようか」と不安そうな男を怪訝な目で見て、うまくいかなかったときは「だからいったでしょう」と声のトーンまで上がる。始めから「出来ない」が前提にあり、見るだけ…とは大違い。人への興味から「見る」が相手に元気を与える。
失敗したときに励ますのもおこがましい。失敗を成功に変える力は本人にしかない。その人と対峙して「見る」とは、そういうことだそうだ。
当紙も「びんご経済レポートに見られている」そうした信用を得たいものだ。心を曇らせることなく、びんごの企業経営を見つづけたい。(J)