精密機械加工・精密歯車設計製作の(株)明和製作所(福山市千田町千田4123(協)福山鉄工センター内、資本金九千万円、TEL0849-55-2122、菊田晴中社長)は、リサイクル用ペットボトル減容機の前作「エコ将軍」の処理能力を約二倍の一時間あたり千五百本に増強した、業務用処理工場向き「エコ将軍2」を開発した。
同社が一九九九年に発売した前作の原型は、(社)中国ニュービジネス協議会から年間五十万円の制作費補助を受けて開発したもの。二枚の歯車でペットボトルを潰し、リサイクルの際に不純物となり再生品の品質が落ちる原因となる残存リングとラベルをリング・ラベルカッターで切り離す。小規模自治体が処理を委託している業者などに需要があった前作から、電源を三相二百ボルトに上げるなど、処理能力を二倍の一時間あたり千五百本に改良した。なお、リング・ラベル切取り装置は現在特許出願中。
前作発売当初から広島市などで展示会に出展したが、参加者の的が絞りきれなかった反省から、このたび大阪で九月四日から四日間開かれる、(株)日報主催の廃棄物処理や再資源化、エコ商品をテーマとしたイベント「2001NEW環境展」に出展、菊田社長自らが地方自治体関係者や廃棄物処理業者など参加者に説明し、見込み客をつかむ。また代理店を通しての全国展開も検討中。
同社は現在「エコ将軍」シリーズに改良を重ねて、ラベル、残存リング、ペットボトル本体を自動で選別してそれぞれを粉砕する、よりリサイクルに適した処理が可能な装置を、埼玉県の破砕機メーカー、(株)氏家製作所と共同開発しており、年内に完成させる予定。
大正十四年創業の同社は、歯車や機械部品などを生産、造船業者などを主要取引先としていたが、自社開発製品の展開にも積極的で、四年ほど前から環境関連分野に進出、荷造り用のPPバンドを細かくカットするシュレッダー「pipi(ピピ)太郎」なども開発している。
個人間売買サイト「芝のキャンパス」、広島県限定の家作り支援サイト「すまイズム・コム」など、インターネット関連システム開発の(合)インターネット開発研究所(IDi、福山市春日町五丁目8-38、井上一成社長、TEL0849・40・6735)は、採用各企業で実績を作りつつあるEコマース総合構築システム、広島県観光キャンペーン福山実行委員会が導入した、アンケートによる市場リサーチとメルマガ配信システム、今月発売予定のイントラネットによる営業支援システムの三システムで、備後の企業を支援していく体制を整えている。
Eコマースシステム「サイバーコマース」は、かき醤油や焼き肉のたれなどの(株)アサムラサキ(本社福山市)が採用、月に百万円を売り上げるなど実績を拡大している。
またホームページ開設者が、質問の内容、個数ともに自由に設定したアンケートの結果をリアルタイムで自動分析し、グラフィック解析も可能な「アンケート自動生成」と、その結果に基づき対象者に効果的にアプローチできる「メルマガ配信システム」は、福山の観光情報を盛り込む「ふくやまイベントガイド」に採用され、既に運営されている。
さらに福山市内の工作機械メーカー向けに構築している、営業支援システムが完成と同時に販売を開始する。クレームや対応の履歴、進捗状況など、顧客や顧客見込みに関する情報を社内全員が共有できる仕組みで、社員は日に一回、電子日報「マイページ」に記入、本社や各営業所、各担当までの情報を一元化する。管理職はそれをチェックしながら助言などの効果的な対応が可能となり、取りこぼしなどを減らして受注精度を上げるのがねらい。
井上社長は「当社の仕事は仕組みづくり。いいシステムを作るのは当たり前で、営業支援システムも完成までに約一年かかりました。システムをどう使っていくのか、漠然としたイメージでなく明確なビジョンを描くことのできるクオリティの高い企業と、当社の技術で、相互に建設的な仕事をしたいと考えています。」と意欲的に語る。なお今月末には技術部と別に企画開発チームを設け、社内の営業システムを強化する。また同社HP(http://www.idi-net.co.jp)でもシステムのデモなどを参照できる。
備後の情報誌「ウインク」や情報サイト「メセモ」など、マルチメディア関連情報サービスの(株)アスコン(福山市港町一丁目15-27、資本金七億二千万円、林征治社長)は十日、カーライフマガジン「ぶるる福山・備後版」を創刊し、書店、コンビニなどで発売を開始した。
男性向け車雑誌やカタログ的な中古車情報誌が多い中、同社は中古車販売店などが明るい店内やきめ細かなサービスで女性客を増やしており、女性の自動車市場が拡大しているというデータに着目、女性も楽しめる、備後と車の情報を中心とした紙面づくりを目指し、のぼりやテレビCMなどで積極的に展開する。
「ぶるる」は同社の情報サイト「メセモ」とも連動しており、紙面の車輌アクセスナンバーや店舗アクセスナンバーをメセモの所定のスペースに打ち込むと、中古車や販売店に関するより詳しい情報を見ることができるほか、販売店によるリアルタイムな情報更新も容易という。
創刊号はAB版、百十六頁で、中古車や新車情報の他に、百五十人の愛車自慢やオートキャンプ場を紹介、価格は二百円。同社の備後情報誌「ウインク」の姉妹誌として、備後地方や井原、笠岡など同じエリアの書店やコンビニで販売する。また年内をめどに、広島版の発刊に向け準備も進めている。
自動車鈑金塗装業と同技術者養成学校「ミナリスプレーマンカレッジ」運営の(有)フォムス(尾道市美ノ郷町本郷1-62尾道流通団地内、資本金九百五十万円、福田健輔社長)はこのほど、紙などのゴミを空気圧で圧縮してコンパクトにするペーパープレス機を独自ルートで欧州から輸入、本格的に販売を始めた。
ペーパープレス機はコンプレッサーなどの空気圧を利用、投入した紙ゴミを二十分の一程度の容量に圧縮する。本体の寸法は幅七十センチ、奥行き七十五センチ、高さ百五十二センチ。プレス後の廃棄物寸法は幅六十センチ、奥行き四十センチ、高さ五十センチになる。予めPPバンドをセットしておくとひも掛けも簡単に行える。使用空気圧は八〜一〇BARでコンプレッサーなどは別に必要となる。本体価格は二十九万八千円。
同機は福田社長がドイツの自動車工具展に出かけた折、見つけて輸入元代理店となったもの。国内の工具卸大手と代理店契約を結ぶ話も進んでいる。
問い合わせはTEL0848・20・5884まで。
株価の低迷ぶりと地場企業の経営者マインドを見聞する限り、不況は深刻だ。小泉内閣の掲げる「痛みをともなう構造改革」は疲弊した中小企業にとって厳しい試練となりそうだ。
行政の課題は企業を救うことから、失業者対策と新しい雇用の創出に焦点が移り、不況の影響を受けている経営者にとっては、自力の不況脱出が喫緊の課題となってきた。
不況はまだまだ続きそうな上、値引き競争も限界にきていることから、不況脱出には自社の事業を基軸にしながらも収益構造を変える、新規事業の創出が不可欠。おいそれと見つかるものではないが、問題意識を持って困っている人の相談にのっていれば、意外とネタは集まるもの。
まだまだ当たり前だと思って我慢している不便。業界の中に止まり、異業種の人ならもっといい解決方法を思い付くであろう難題。いかにそうした話に行きつくか。
思いついたアイデアをこまめにメモする。気になる人には一言声を掛けてみる。ちょっとした情報に耳を傾け、自社の商品、技術、資源が役立つ可能性はないかと考える。そんな基本姿勢がチャンスを生み出す源泉だろう。
そんな姿勢で見直せば、行政の創業支援も豊富にある。
福山、尾道に設置されている中小企業支援センターに加え、福山商工会議所内の広島県知的所有権センターには先月から特許電子図書館の検索アドバイザーが派遣されるようになった。
県立東部工業技術センターは来月四、五日の二日間、研究成果発表会を行う。
四日は、備後地域地場産業振興センターで醸造微生物機能の高度利用やデジタルファクトリー支援システム、廃エラストマーの再資源化技術などについて研究員が発表。
五日は、会場を県立東部工業技術センターに変え、ウォータージェットによるみがき加工、マグネシウム合金の表面改質技術、光触媒による染色液の脱色処理、自立型介護衣服の快適性評価と製品試作…等々の研究成果普及を目指し、無料の講習会(要申し込み)が開かれる。
中小企業の事業創出にはエジソンのような大発明はいらない。ちょっとしたアイデアと現実を直視して練り上げられたプランこそが利益を生み出す。真剣になれる今だからこそ、ヒントを求め、いろいろな場に顔を出すのもいいかも知れない。(J)