びんごトピックス  2001年9月30日号  表紙写真


JR三原駅高架下がコンビニ、パン屋、有料駐車場などの商業施設へ

JR西日本の関連会社、中国ステーション開発(株)(広島市南区)はこのほど、JR三原駅西側の高架下へのコンビニとパン屋の出店決定に伴い、整備工事に着手した。
平成三年の在来線高架化と駅舎新築に伴ってできたこのスペースは、これまでも書店やスーパーなどの出店計画があったが、交渉は不調に終わることが多く、十年間空き地のままだった。計画では、駅に近いほうから店舗面積百五十二・七平方mのコンビニと百五十三・三平方mのパン屋が出店、十一月中旬をめどにオープンする。
さらに高架下西側のスペースには同社が約二千平方m、約七十台収容可能な駐車場を増設、駐車場と店舗の間には、市が駅南側からも歩行者などが進入可能な自由道路を新設する。駐車場と自由道路は十月から着工、本年度中に完成する予定。
同駅は、新幹線ひかりの停車廃止やしまなみ海道開通による高速艇の廃止などが原因で利用率が低下しており、駅前の活性化、利用率向上を期待している。JR西日本三原地域鉄道部の同駅斎藤邦夫副駅長は「高架下活用は前々からの悲願。新駐車場が完成すれば、既設のものと併せて百四十台以上停められます」と利便性向上をPRしている。
なお同駅はこれまで、三原の観光拠点をつなぐ定期観光バス、観光拠点に特産物を組み合わせた観光コース設定、やっさミニツアー、供養したタコごと凍らした「氷中ダコ」展示、プレゼントなど、様々な企画を実施しており、今後も駅利用率向上と三原のPRを狙った企画を実施していく計画。


きのこ生産大手のホクト産業が大和工業団地進出決定

きのこ生産大手のホクト産業(株)(長野市大字南堀字村東一三八―一、資本金五十五億円、永野正幸社長)が、広島空港に近い賀茂郡大和町に工場進出することが正式に決まった。
九月二十日、午後二時から広島県庁を永野正幸社長が訪れ、藤田雄山知事と上川弘治大和町長が出席して県営大和工業団地への立地協定書調印式を行った。
計画によると、同団地の八万一千百五十七平方mに、工場面積三万五千平方mを建設、パートを含む百六十人の従業員を雇用、まいたけを年間五千三百t生産、年間売上高四十二億二千万円を目指す。
平成十四年九月に着工して十五年九月の操業を予定している。名称は「ホクト産業(株)広島きのこセンター」、総投資額は七十五億円。
同社は、昭和三十九年設立、ぶなしめじ、エリンギで首位、北海道、宮城、新潟、富山、長野、静岡、香川、福岡に工場を開設、広島きのこセンターは九カ所目の工場となる。
生産されるエリンギ、ぶなしめじ、まいたけは、市場や量販店直納ルートを確立、開発型企業として自前の種菌研究所を開設している。
平成十三年三月期では、売上高二百六十二億五千五百万円、経常利益五十八億八百万円、当期利益三十一億三千三百万円。十四年三月期は売上高三百億円見込む。
進出する県営大和工業団地は、分譲面積一七・五ha、すでに岡部(株)・岡部機工(株)、(株)中立製作所、(株)アミックス、関包スチール(株)の五社が進出しており、立地協定済面積は七・八ヘクタール、今回の八・一ヘクタールで、残るのは一・六ヘクタール、分譲率は九〇・九%に達した。
山陽自動車道三原久井ICから一五km、広島空港から二五キロ。


第2回いこりネット21開催で125社が130ブースを設け情報交換

広島県中小企業家同友会福山支部(岡崎隆支部長=(株)オーザック社長)のいこりネット実行委員会(立石克昭委員長=(株)タテイシ広美社社長)が主催する「第二回いこりネット21」が二十二日、県立ふくやま産業交流館(ビッグローズ、同市御幸町)で、異業種間の経済交流を目的に開かれた。
いこりネットは昨年、同友会のネットワークを経済交流に活かそうと、会員や入会希望企業を対象に、ジョイントビジネスや販路拡大のための情報交換を目的に開かれたもので、同友会福山支部の有志による組織「経済交流会」が発案、同実行委員会を起ち上げ、開催されたもので、今回は二回目。前回の反省を活かし、舞台を入り口近くの角に移動、開催時間も延長した。
「人と仕事を知り合い買いたくなるネットワークづくり」をテーマに、百二十五社が参加し百三十ブースを出展した今回は、開会式で岡崎福山支部長が「同友会福山支部最大の行事。新しい事業展開のヒントをつかんで下さい」とあいさつ。続いて今回も実行委員長を務めた立石委員長が「火のおこった炭で肉を焼くように、熱い経営者となって仕事や情報を呼び込みましょう」とあいさつ、午前十時過ぎから交流がスタートした。
会場では環境機器やシステム開発、住宅設備、建材、食品メーカーなど幅広い業種の間でさまざまな情報交換が行われたほか、参加企業が出品した商品やサービスを、オークションで販売するイベントなども行われ、会員企業の社員やその家族らで賑わった。


半導体基盤テスター等のOHTがシンガポールに子会社設立準備

プリント基板・半導体装置テスター開発、製造、販売のオー・エイチ・ティー(株)(OHT、深安郡神辺町西中条一一一八、資本金四億四千四百五十万円、石岡聖悟社長)はシンガポールに一〇〇%出資の子会社を設立する準備を進めている。
東南アジア諸国に同社の製品が出始め、アフターサービスや販売の拠点が必要となったもので、今後はアジア他地域への支店増設も検討する。
また賃金の差などからプリント基板生産拠点が全体的に台湾から中国に移動していることから、昨年五月に設置した台湾営業所を子会社の支店に昇格させ、中国市場に本格進出していく。
同社は現在、プリント基板などの通電を、電磁波を映像化する非接触センサーで検査する装置を販売している。これまでは、基盤に傷がつくピン接触による検査、精度に問題のある、カメラによる検査などが主流だったが、同社の装置が問題を解決したという。またハイビジョンテレビなど、プラズマディスプレイ製品が安価で市場に出回り始め、これからも伸びが予想される液晶関連部品にも対応できるテスターを開発、販売している。
同社は昭和六十一年、福山市にオカノ電機(株)広島営業所として開設、同市曙町に工場を新設し移転した後、平成六年、オカノハイテック(株)として事業を開始。同八年には現在の深安郡神辺町に本社を移し、同十年「オー・エイチ・ティー(株)」に社名を変更。昨年五月には当時の通産省から新規産業創造技術開発の認定を受けており、現在では携帯端末などに利用される機器の検査装置など、テスター製造での大きなシェアを誇る。



こぼれ話  2001年9月30日号

グルメ・海の印象派 豊かな土壌に年輪の幹

グルメ・海の印象派―おのみち―が十月一日から尾道市内の飲食店を中心に始まる。第十四回を数え、手法も定着してきた感がある。
なかつくにの豊饒な食材を集める尾道の食文化を伝えたいという熱い思いで始まったこのイベントは、二回目から事務局を務めた尾道青年会議所の中で「止める」「止めない」という議論を毎年のように繰り返し、その高いハードルを超えた時点から企画がスタートとしてきた。
だが、十回目からは尾道商工会議所が事務局を務め、飲食や観光に関わる団体を中心に様々な団体が結集し、一定のスタイルでイベントが運営されるようになった。
企画を大別すると五種類。同じコンセプトでメニューを競うグルメ弁当とどんぶり、多彩なゲストを招く食談、尾道らしい特設会場を売り物にするナイトフェスタと居酒屋おのみち改め美食市、今年は百八十店が参加するスタンプラリー付きのグルメマップ、職人の菓子工芸を伝える菓子まつり。五種類の幹それぞれに枝があり、秋の実りを散りばめた内容となる。
年輪を刻む幹は剪定のため枝を切り落とした試行錯誤の跡で傷だらけ。尾道青年会議所が事務局を担っていた八年間、エネルギーを注いだ青年の面々は今、それぞれ本業の社長や役員となってこのイベントを見守っている。
スタイルが固まったので事務局は楽になった? 事実はその反対でエネルギーを集める苦労が年々大きくなっているという。グルメ弁当の参加店は赤字覚悟、職人の悲しさで、手が抜けない。不景気は飲食店を直撃しており、グルメマップの協賛費用もバカにできない。参加にはそれなりの覚悟もいる。
試食会でグルメ弁当をご馳走になったが、偶然、その日は別件で千円ほどの仕出し弁当をいただき、食べ比べとなった。仕出し弁当は出来合いの仕入れ惣菜詰め合わせに思えた。三千円のグルメ弁当は木製の手桶型に蔦が絡まる風情。二千円の価格差は開ける前から縮まり、秋の色合いや食材を使った細やかな飾りなど、蓋を開けた段階でその差をなくし、食べ終わる頃にはリピートの夢が膨らんだ。
グルメ実行委員長の石川悟副会頭が「鯛はどこでも食べられる時代。尾道の味を感じて欲しい」と力説した通り、味こそこの事業の原点。豊かな職人が集う土壌だからこそりっぱな幹が育つ。松茸の形をした小いもには、そんな年輪の味わいがあった。(J)

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