びんごトピックス  2001年10月20日号  表紙写真


日工(株)が新鋭ウォーターカッター導入

断熱材・パッキンガスケット加工販売の地場大手、日工(株)(尾道市東尾道9-1、資本金三千万円、阿形淳一社長)はこのほど、本社工場にウォータージェットカッターを導入した。
導入したのは北川工業(株)(府中市)製のウォーター・カッティング・システムAPLシリーズ。微少ノズルから発射する三トンの水圧で素材を切断する。ヘッドはXYの二軸方向に移動しながら網目状のテーブルに置かれた素材をX軸二m、Y軸一・三mの大きさまでカットできる。
ヘッドの移動はCADデータによる自動制御。ノズルはダイヤモンドを使用した場合で最小径〇・一ミリ。一分間に最大十二mの速度でカット。グラスウールや木板、ゴム、スポンジなど柔軟素材も真っ直ぐに高精度で切断できる。ゴムの場合なら厚さ十五センチまで切断可能で、重ね切りもできる。また単一素材に数種のカット部品を効率的に配置するネスティングも自動処理できる。
同社では現在様々なテスト運用を行っており、来月から精度を上げた本格稼働を目指す。投資額は約四千万円。同社では断熱材やパッキンガスケットを色々な形状にカットして納品するケースが増えており、新鋭機導入でコスト削減と同時に小ロット対応をスピードアップする。
同社はこれまでに打ち抜きプレス五台と金属歯カッターが移動するXYプロッターを設備していただがウォーターカッターを利用してプレス用のトムソン型も作成でき、相乗効果も期待できる。
同社は大阪から北九州方面までを営業エリアに各種断熱材を主力に販売。まとめ中の第四十八期決算(今年九月末)では売上高三十〜三十一億円、税引前利益五千万前後円を見込んでいる。従業員数は七十人。


自動化・塗装機械設備のアラタニが受注拡大

自動化設備・塗装機械設備のアラタニ(神石郡三和町父木野3046、荒谷賢光代表、TEL08478・5・3616)は、産業廃棄物業者の焼却炉投入装置を受注するなど、主力の塗装機械と併せ営業エリアを拡大している。
焼却炉投入装置は三原の産業廃棄物業者の焼却炉のごみ投入口に設置する計画、炉内の温度を下げることなくごみを投入できる。
同社はオーダーメイドの塗装機械、自動化設備メーカーで、これまで備後地域を中心に鳥取、岡山県など中国地方、九州まで口コミなどで営業エリアを拡大。グラウンドゴルフのクラブ製造国内トップの鳥取県のスポーツ器具製造メーカーには、クラブのヘッド部分の塗装に静電塗装設備を提案、導入により月産六千本から一万本の製造を実現した後、新築移転に伴う塗装設備一式を受注、現在では月産一万五千本を支えている。
またベッドメーカーの材木部品製造部門には、塗装室内を通過する前にエアブローによりごみを吹き飛ばすごみ除去ラインや、乾燥室設備の自動乾燥ライン一式も納入している。
そのほか輸送用機械器具製造のプレス工業(株)尾道工場(尾道市長者原)にはリアシャフトのベアリング装着部分の塗装設備、島根のフィルムメーカーには真空配管装置と三面塗装機、仏壇メーカーには外気を取り入れながら塗装時の余分塗料をフィルターに吸着させて排出基準を守りながら排出する「PUSH・PULL式」の塗装ブース設備=写真を納入。製造から保守管理までを行っている。
同社の荒谷代表は「口コミで営業エリアも拡大してる。今後も修理や保守管理を徹底させ、様々な要望に応えたい」と話している。


カケエ・コーポレーションが小ロットのラベル印刷

繊維製品付属ラベル・タグプリントなどのカケエ・コーポレーション(有)(府中市高木町1232、資本金三百万円、掛江衛社長、TEL0847・45・4939)は今月から繊維商品に付けるラベルの追加注文など、数十〜数千枚といった小ロットのラベル印刷への対応を開始した。
一般的に衣料製造が中国など海外にシフトしている現状から、国内製造における洗濯ネームや品質表示札の受注も小ロット化しており、これまで衣料を中心とした繊維付属商品であるブランドラベルや品質表示札、バーコードラベルなどの印刷などを手掛けてきた同社は、昨年三月に電子プリンターを導入し、従来の活版と使い分けることで、まず納期短縮を実現した。
また在庫の回転が速く、大きなロットが出やすいブランドラベルに比べて、機能表示を中心としたサブラベルは、衣料製造メーカーにとって小ロットでも単価を下げるためまとまった量を発注せざるを得ないことから、メーカー内のラベル在庫が増加しているという。その改善を目指して同社はこのたび必要数だけ受発注できる体制を確立。印刷、紙質を併せラベルの品質を落とすことなく、かつ短納化することで受注を拡大する狙い。
シールやステッカー、リボンなどへの印刷技術を持つ同社は、衣料付属品に加えて蒲団や枕、帽子などの品質表示印刷、さらには商品自体の回転が速いため大ロットでの需要が見込める食品業界での品質表示印刷も手掛ける予定で、営業も強化していくほか、オリジナル携帯ストラップやリボン印刷など、個人ユーザー向けの新事業展開も検討している。
同社は女性パートを増やしており、工場も手狭になってきたため、来年二月には同市内に新事業所を設置する計画。掛江社長は「すきまを見つけて生き残るためには、作業環境の改善も必要。クイックデリバリーを徹底し、備後におけるラベルのオンリーワン企業を目指します」と意気込んでいる。
 


若葉家具が3Dで家具のコーディネート

婚礼家具などワカバグループの若葉家具(株)(府中市高木町1201-1、井上博昭社長、資本金一千万円、TEL0847・45・5816)はこのほど、販売店や一般消費者に対し、市販の3Dデザインソフト使用による家具の配置提案を本格化、今後はさらに「空間のトータルコーディネート」を狙い工務店との提携などを計画している。
同社は二年前からメガソフト社の3Dデザインソフト「マイホームデザイナープロ」を営業に取り入れる研究を始め、一般消費者での個別実績を上げながら、今年の六月には同社ホームページで、消費者の部屋スペースに合わせた家具の配置をデザインするシステムの紹介を開始した。アドレスはhttp://www.fuchu.or.jp/~wakaba-k
家具はもちろん、部屋のカーテンやアクセントラグなどの色彩も簡単に変えられるため、新築の際などに消費者が抱く、イメージと完成時のギャップに対する不安を取り除く一助となるもので、ソフト自体は総合的な住宅関係業で使用できることも併せ、現在工務店など建築業者との提携も計画中で、提携先を探している。
販売店に対しても、展示レイアウトについて、改装前の配置と改装後の配置を3Dでわかりやすく提案、広島の家具小売店に採用された。今後はオーダーメードの家具をソフトの中で使えるパーツとして表現する際のリアルさを追求するのが課題という。
また同社は、備後地区の工芸作家を中心に、長野や福井などの作家による手作り家具や時計などの作品を紹介、販売するウェブショップ「at-image」を展開している。アクセス・トゥ・イメージ、「感性にアクセス」が店名の意味で、現在では備後を中心に七人の作家の作品を、プレゼントや期間限定キャンペーンなどの企画とともに紹介、販売している。今後は商品など内容をより充実させていくという。アドレスはhttp://www.at-image.net
そのほか、毎年春に同社ショールームで開催する「匠展」でも備後の作家らの作品を紹介、四日間で二千人近くが来場するなど、工芸作家の発掘、紹介にも積極的に取り組んでいる。



こぼれ話  2001年10月20日号

失われなかった10年 これからがIT革命

中小公庫マンスリー十月号に一橋大学大学院商学研究科の伊丹敬之教授が「失われなかった一〇年」と題するレポートを寄せている。
大筋は日本語の壁に阻まれ高額についていたパソコンがコンピューターの普及を遅らせたこと、軍事研究から始まったインターネット技術はアメリカが進んでいるのが当たり前。今では通信料金はイギリスより安く、アメリカと肩を並べていること。以上の理由からこれまでの十年は整備期間でやっとIT革命の基盤が整った…と指摘している。
ITバブルが崩壊し、半導体関連企業は計画の見直しを迫られ、びんごの関連中堅企業もそのしわ寄せを予想している。決して楽観できる状況ではなく、テロの影響も深刻だ。テロ以前の起稿と思われるが、久し振りに明るい未来を感じさせる内容だった。
フレッツADSLの導入が備後地域で始まり、そのスピード感(下り一・五メガ)と接続中の安心感(定額料金)はこれまでの接続とは月とスッポン、その快適感は普及の壁を取り除くに余りある。
しかもソフトバンク系のヤフーBBは下り八メガの高速でフレッツADSLの下を行く料金設定。マイラインと組み合わせたNTTコミュニケーションの料金は同じ八メガながらさらに下を行く。
まだまだ実際に接続できるエリアは備後地域でも限られているが、二〇〇五年頃までは起こりそうもなかった変化が、前倒しで実現されている。動画でなければ一・五メガでも十分にビジネス利用ができる。相当緻密な画像もパパッと開き、カタログショッピングの感覚でイライラせず欲しいものに出会える。
あとは提供されるコンテンツ(ソフト)の問題。セキュリティも気になるが、ふくやま卸センターまつりで牛肉の炭火焼き実演販売に並ぶ長い行列を見た。消費者は格安という魅力には頼もしい反応を示す。各段に便利となれば、セキュリティの壁も乗り越えるのでなかろうか。
決済も進んでいる。ジャパンネット銀行、ソニー銀行、イーバンク銀行などインターネット専業銀行は店舗を持たずインターネット上に窓口をつくり、二十四時間振込指示や残高確認ができる。同じ銀行内の個人間では支払い側も受取側も送金手数料が無料という銀行もある。振り込みがあった場合はほぼ同時に口座持ち主にメールが届く。
テロの影響は予測できないが、日本のIT革命にはまだまだ明るさがある。(J)

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