府中商工会議所(府中市元町445-1、北川一也会頭)はインターネットのホームページの中に「府中ものづくり直販工房」のネーミングでバーチャルモールを開設したが、出品する商品を、展示即売するために府中商店街の中にモデルショップを開設した。
開設場所は、府中駅から近い府中市本通商店街の一角で、JA府中市本町支店東隣、旧商店を改装したもので、ショップは、間口八・九m、奥行き七・七m、床面積六十八・七五平方m、十一月一日午前十時にオープンする。
内部には会議所会員で、ユニークな商品を製造、加工している企業で、バーチャルモールに出品している直販ができる商品を展示、販売する。一部には府中市の産業や歴史、文化を後世に伝えるため古くからの伝統産業の歴史的資料や民具を展示する。運営主体は同会議所で、府中市本通商店街振興組合など地元へ管理を委託する。
営業日は、毎週金曜日から火曜日(水・木曜日休業)まで、午前十時から午後五時まで。府中市の観光地、首無し地蔵や三郎の滝等への入り込み客、市内の企業や団体等への来訪者、商店街への一般客バーチャルモールの閲覧者をターゲットに見込んでいる。一日五十人の来店者で、月間約二千人、客単価三千円を予想。売上は月間三十万円を見込む。また、関連して野菜市の開催も予定している。
オープン前の十月三十一日、午前十時三十分から、行政や商工会議所、商店街から関係者が出席してオープニラングセレモニーと内見会を行う。
ショップ内にパソコンとプロジェクターを設置し、インターネットにアクセスしバーチャルモールの実演も行われる。
交通安全用タスキ・腕章製造、卸のピカワン(有)(府中市広谷町1275-3、資本金三百万円、新屋俊勝社長)はこのほど、車などのライトに反射するテープを縫いこんだ交通安全ベスト「反射ビブス」を開発、販売準備を進めている。
交通事故の割合が高い、夜間のジョギングやツーリングの際に着用すれば、百五十〜二百m先からのライトに反射するため、遠方からも存在が確認でき、事故回避につながるという。軽量、強度など優れた機能性から、サッカーの紅白戦などで利用されている、メッシュ生地のベスト(ビブス)に着目した新屋社長が、アメリカのリフレクサイト社製の高輝度反射材と組み合わせる反射ビブスを考案した。
大きめのデザインでサイズはフリー、汚れも付着しにくく、水洗いだけできれいになる。ヤフーオークションに登録し、インターネットでの販売は既に開始している。問い合わせや発注のメールも届いているという。ホームページは製作中で、問い合わせはTEL0847・46・0061
基本は受注生産。府中の本社で反射材の縫付作業を行い、井原にある工場で本体を製造、袋詰めなどは御調町の施設、すだちの家が請負う。
違和感なく着られるデザインの追求が課題だが、数年先には主力製品に成長するものと期待している。今後子供用の反射ビブスも開発し、商品化する予定。
同社は平成八年二月に創業、「ピカッと光る腕章」から社名を「ピカワン」とした。新屋被服(株)を経営している同社長が、同六年に大阪府警察本部から「服を傷める安全ピンを使わない腕章」製造の依頼を受けたのがきっかけ。二年間研究を重ね、腕章にひもかけして付けたプラスチック製のクリップで袖に固定、腕に巻きつけてマジックテープでとめる方式の「クリップ腕章」を開発、特許も取得している。本体はナイロン100%で雨にも強い。
同年にはもう一つの主力製品、反射タスキを開発、販売を開始している。ヤフーオークションに登録し知名度を上げ、出品者としての評価(ポイント数)も着実に獲得、メールによる受注は半年で百八十本、コンスタントに売れているという新屋社長は「反射タスキは年間二万本出荷しています。珍しいのは神社。『交通安全』とプリントした反射タスキが喜ばれているようです」と話す。平成十一年には消防団用の反射ショルダーベストが特許庁の意匠登録も受けている。反射材を使った同社の製品はホームセンター、学校やPTA、各県警、消防団、役所、自衛隊、ボーイスカウトなどから幅広い需要があるという。
ホームページは月末を目途にアップする予定。営業担当の新屋勝宏さんが制作を担当、「ホームページ制作の前にオークションで知名度を上げた。特殊な業界では有効な方法かもしれません」と話している。
生活健康用品など製造の(株)ケンユー(福山市曙町4-7-21、資本金千五百万円、占部明雄社長、TEL0849・54・2600)は今月から自社ブランド商品「マイアイス」を韓国に投入、出荷を開始した。
同社は健康、快適、環境保護をテーマにした携帯トイレや温冷湿布袋を自社開発し、全国で販売中。そのうち家庭用フリーザーでマイナス二十三度まで冷やしても固まらない保冷材を利用し、繰り返し利用できる冷湿布袋「マイアイス」を韓国市場に投入した。かんこくでの生活用品大手のフマキラーが韓国に設立した合弁会社、柳柳フマキラーが担当する。既に十五日には、四十フィートコンテナ二箱分を出荷した。
同社はこれまで「マイアイス」のほか、温冷両用まくら「温アイス」、ソフトアンカ「温太くん」、「目冷えマスク」、温冷両用「アイケアマスク」など、各シリーズを開発してきた。
今年の五月から販売を開始した「アイケアマスク」は、眼科医に足を運んで、毛様筋の酷使が眼精疲労、さらには涙目やドライアイに関連する悩みを聞いた占部社長が、目を温めたり冷やしたりすることで楽になる商品として研究、開発したもの。電子レンジで温め肩、腰の痛みを和らげたり、冷蔵庫で冷やして発熱時に利用する「温太くん」が、顔の小じわとりとしてエステティックサロンなどで使われていることを知り、「目冷えマスク」とセットにしようという発想。ジェル袋二個が付いており、冷やしても固まらないため曲面の多い顔の肌にもフィット、湯で温めれば、目じりの血液を活性化させつことで老化を防ぐエステ効果もある商品として、売り上げを伸ばしている。
多価アルコールや高分子吸水ポリマーなど、同社の製品を支える素材を見つけるまで、油や日本酒、ビールまで、あらゆるものをジェル化させる実験を繰り返したという。ダイオキシンなど有害煙も発生しないため、商品はすべて可燃処理できる。
特許や実用新案登録も多数取得しており、来年出す予定で開発を進める三〜五種の新商品にも自信があるという占部社長は「得意先が玄関で待ってくれる体制作りを目指してきた。目標と働き方をしっかり設定している企業はこれからも伸びます」と話している。
一般・産業廃棄物の処理、環境関連機器設備販売・施工などの(株)オガワエコノス(府中市高木町502-10、小川勲社長、資本金一千万円、TEL0847・45・5872)はこのほど、福山市駅家町に試験農園「エコミニファーム」を設置し利用者を募集している。
エコミニファームは休耕田を整備したもので約三十五平方mずつ二十区画、併せて約九百九十平方m。年会費一万二千円で利用者に家庭菜園を楽しんでもらうほか、同社が三和町で整地、管理している養鶏場跡地、約二万三千平方mの敷地を五〜十社のエコグループで共同管理する「エコファーム」計画のための栽培試験を行う。同社が販売している松下電器産業の家庭用生ごみ処理機「リサイクラー」などで減容・抗菌処理された家庭の生ごみなど有機ごみを持ち込んでもらい、木材チップと混ぜ堆肥にしたものを利用者に提供する。九日から始めた募集は好調、二十区画中既に十八区画の利用者が決まった。指導や各試験にはJA関係者や岡山大学の研究者らが協力する。
売り上げの八割を自治体から得ている同社が、リサイクラーの販促を含めたリサイクル事業を展開することで、環境問題に対する市民の意識を高め、併せて各自治体のコストダウンにつながることで「地元に利益を還元できる事業」と位置付けている。エコミニファームは様子を見ながら各地で増やしていくことも検討中という。
三和町切田に開設予定のエコファームは、リサイクル関連事業の同社と並列的に土木、運送など、農園管理に活かせる技術を有する各業界の企業からの参加を募集し「エコグループ」的な団体として共同管理にあたる計画。参加条件は、利益追求でなく、過疎対策や地元への貢献を主眼に置くという主旨に賛同する各企業。企業イメージも上がることから、提案資料も作成し地場の企業へ参加を呼びかける。設備投資は最小限に抑えて、廃材や廃屋を利用した施設、助成金活用も視野に入れたソーラーパネル設置、日頃の管理を行う従業員など人的資源は地元のシルバー人材などを活用する予定。五年後には宿舎など第一次設備を整えたいとしている。栽培した野菜や果物は地元スーパーなどへの販売が予定されていることから農業生産法人となる。そのために必要な資格を順次取得し、来年には樹木の種類も特定、イメージ図も完成させ、二、三年後の開設に向け準備を進める。
同社の妹尾寿人企画室担当は「エコミニファームは、ゴミは資源というリサイクルの思想を目に見える形で実行するための実験。十年計画のエコファームにしっかり活かして、会員があまりお金をかけず遊べる施設を実現したい」と話している。
大手スーパー・(株)マイカルの民事再生法の適用申請(九月十四日)から一カ月以上が経過して備後地域への影響も具体的な債権額が判明。深まる不況の中で債権者への影響が懸念され、特別融資など資金需要の高い年末へ向けた対策強化が求められている。
判明している債権者(売り掛け債権)のうち百万円以上の備後地域の企業は五十九社で合計六億七千九百八十二万五千円。そのうち五百万円以上の企業は二十一社で合計五億九千四百三十八万三千円と影響は甚大。
備後地区でマイカルの影響が大きい理由は、大阪が本社であることに加え、福山市に中四国地方の仕入れ本部があった経緯によるところが大きい。地元に大口の売り込み先があった訳で、「今がチャンス」と備後地域の関係企業は日参して取り引き拡大を目指した。
店舗閉鎖となれば入店しているテナントの保証金問題や雇用問題も顕在化する。マイカル再生弁護団によると「百億円の融資枠設定など資金繰りも順調。五十社以上に案内したスポンサー候補には約二十社から意向表明があり、十一月中旬ごろまでにはスポンサーを決定する考え」としているが、四社合併で(株)ニチイを興した寄り合い所帯の役員には紛争が絶えなかったとも言われ、最終責任を間逃れた役員を数多く抱えたままのマイカル再起には、疑問を投げかける声も多い。
ちなみに同社では今年三月に就任した元大阪府警本部長の四方修社長が再生法申請と同じ十四日、臨時役員会の緊急動議により解任、会社更生法から急きょ再生法に切り換えて申請したと言われ、取引先を驚かせた。
肝心の売上高は前年対比で九月十五日から二十一日が一〇六・一%、二十二日から三十日が六〇%、十月一日から六日が六二・八%。申請直後は商品券の消化需要で伸びたが、これから年末商戦に入り各店は正念場を迎える。
備後には因島サティ、尾道サティ、駅家サティ、笠岡サティの四店舗が現在も営業を続けており、閉鎖が決まっている駅家サティを除く、残る三店の存続が気になる。
高木直矢笠岡市長は十二日、亀田良一尾道市長と村上和弘因島市長は十八日、それぞれマイカル本社を訪れ、存続を要請、商工会議所など地元経済界の代表者連名の存続要望書を手渡した。地域経済の安定は年末を迎え、消費者の財布にかかっている。(J)