鶏卵の一貫生産システムを採用している(株)アキタ(福山市光南町3-7-30、資本金六千万円、秋田善祺社長)は十月十五日、関連会社(株)シーエーエフラボラトリーズ(深安郡神辺町)を通じ、簡単にサルモネラ(SE)抗体チェックができる試薬「CAF―SEエリーザ」の製品販売を始めた。
アキタはすでにSEワクチンの全鶏群への接種とアキタ式HACCPによる生産でサルモネラ制御に成功しており、「厳格仕様・ニューげんまん」など安全な鶏卵商品を供給している。そうしたサルモネラ対策の研究を受け持つシーエーエフラボラトリーズはSEの抗体検査試薬を開発、今年六月には農林水産省より「CAF―SEエリーザ」の製造販売の承認を受けた。
鶏がSE感染するとSE汚染卵を産卵することがあり、食品の安全性からサルモネラ制御が市場の重要な課題となっている。そのためSEワクチンの接種が有効とされるが、テマ、ヒマ、カネがかかることから日本では普及していないのが実情。同社ではこのほど、一回のワクチン接種で三鶏病を制御できる「サルモネラ三価ワクチン」の認可も受け、普及を目指している。
アキタではSEワクチン接種と二十五段階のチェックを含む「アキタ式HACCP」でサルモネラ制御を行っているが、抗体検査試薬エリーザの活用でワクチンの効果を確かめながら生産している。
また農水省が九月二十九日に使用を禁止した狂牛病の感染源となる肉骨粉については、同社では以前から肉骨粉の不使用を決めており、「肉骨粉不使用」のラベルを商品に表示した。
同社は安全な鶏卵を供給するため、種鶏はハイブリッド鶏、二十四時間体制のふ卵管理、栄養設計され抗生物質などを排除した飼料、採卵後の素早いパック詰と配送など「直営一貫生産システム」を採用している。
甘草、ステビア、ギムネマ、黄杞など植物抽出物や精製品の製造メーカー、丸善製薬(株)(尾道市向東町14703-14703-10、資本金一億二千五百万円、日暮彰文社長)はこのほど、芦品郡新市町の広島県新市工業団地内の敷地に建設していた総合研究所の二期工事が完成、分散していた研究開発部門を統合して本格稼働を始めた。
総合研究所の敷地は七千八十七平方m。一期工事で建設した延べ床面積千六百四十九平方mの研究棟横に、今回の二期工事で鉄骨三階建て延べ床面積三千五百九十九平方mの研究棟を建設した。投資額は一期六億円(土地代を含む)と二期五億円の合計十一億円。
二期工事の設計監理は(株)小西建築設計事務所(尾道市)。施工は(株)堀田組(尾道市)。完成は十月一日。主要研究装置と設備は超伝導NMR測定装置一式、高速液体クロマトグラフィー質量分析装置一式ほか、食品等試作機類、生物活性測定装置類、植物バイオ用クリーンルーム一室、実験動物飼育室二室、恒温恒湿室一室など。
また、同社は三次工場で全生産品目を対象に品質管理の国際規格「ISO9002」の認証を取得した。認証登録日は平成十三年三月二十三日。認証機関は米国ペリージョンソンレジストラー。
同社は昨年四月、日暮社長を統括責任者に、池田孝夫研究開発本部長を委員長、森原淳製造本部長を副委員長とする導入委員会を設置し、品質システムの再構築と品質マニュアルの整備などを進めてきた。三次工場で生産する食品、食品添加物、医薬品及び化粧品原料など全ての生産品目を対象として、今後のISO9000シリーズ二〇〇〇年版対応も視野に入れた全社的な品質マネージメントシステムの再構築により、一九九四年版認証を取得した。
同社は昭和十三年の創業。本社工場に加え、尾道西工場、三次工場の生産拠点と新市町の総合研究所を持ち、オーストラリアには甘草を栽培する関連農場もある。平成十三年三月期の決算は売上高百四億八百万円、利益七億七千五百万円。
健康茶「青銭神茶」製造販売の(株)神茶園(福山市南蔵王町5-22-40、資本金千二百万円、本川春美社長、TEL0849・45・8245)は同商品の錠剤を中国に投入するのに先立ち、今月からサンプルのお茶をインターネットで中国向けに無料配布し始めた。
健康志向の高まっている中国で、品質保証された健康茶メーカーとしてのイメージを浸透させ、年末から販売を開始する錠剤の会員を確保するのが狙い。「アジアに福が来るように」との意味と「いきいきした」という意味のaliveをかけた「亜来福清茶(アライブシンチャ)」の名称で、中国向けホームページでは約四カ月前から既に紹介を始めている。現地の新聞を利用したアンケートも実施、反響は大きいという。
中国江西省に自生するクルミ科の「青銭竜」の葉や山芋、生地黄、有機栽培した緑茶など三十種の原料をブレンドしたもので、加工された主原料を中国から輸入、国内の健康茶メーカーに製品化を委託、国内では六年前からインターネットで販売している。そのエキスを凝縮した錠剤は、糖尿病に効果があるものとして現在中国薬科大学と臨床実験を進めており、年末をメドに日本の「特定保健用食品」にあたる認可を取得し、販売を開始する。中国市場では同認可を得ている日本の商品はほかにないという。中国のインターネット普及率は約二〇%で、主に上層階級が利用、糖尿病疾病者や予備軍と重なっていると見られ、錠剤の発売開始までに五千会員の獲得を目指し、二g入りのティーバッグ五袋セットを無料で配布する。
今年四月には中国の現地法人「亜来福保健飲品有限公司」を設立するなど、韓国の支店、アメリカの事務所と併せ、世界市場展開を本格化させている。
半月ほど前に韓国ソウルで開かれた健康食品の博覧会にも出品、サンプルでPRした。日本からの出展企業は同社だけだったが、四日間で一万人がブースを訪れた。本川社長は「予想をはるかに上回る反応でした」と驚いている。
同社は平成七年、有限会社として設立、半年後に株式会社に改組、現在は年商一億七千万円規模。同社長は「青銭柳の魅力に惚れ込みました。無我夢中ですが、このお茶の素晴らしさを広めていきたい」と抱負を語る。HPアドレスはhttp://www.jinchaen.com
尾道ケーブルテレビ(株)(OCTV、尾道市西御所町14-15、資本金九億八千万円、三宅敬一社長)は十一月一日から下り1.5Mbps(最大速度)のブロードバンドサービス「びんごブロードバンドネットワーク」(BBBN、愛称=ビーキュービック)を開設、営業を始めた。
BBBNは尾道ケーブルテレビのケーブル網を利用、営業エリアの世帯を対象にインターネットのプロバイダーサービス(上り512kbps、常時接続)、加入時家族の全メールアカウント付与、容量無制限のホームページエリア貸出、一カ所のメール転送サービスを提供する。利用料は通信費(電話料金は不要)とモデムレンタル料を含み月額四千五百円。
BBBNに加入するにはOCTVへの加入者と未加入者で初期費用が違い、BBBN単独加入も可能。OCTV加入者の初期費用は一万五千円。未加入者はBBBN単独加入の場合で三万五千円。OCTVとBBBN同時加入者は六万円。但しパソコンとはLAN接続のためLANカードが別途必な場合もある。
同社では現在、営業開始のキャンペーン中で、十二月二十五日までに接続完了の場合は、ホームページ閲覧等の基本講習(一時間程度)やLANカードの組み込み設定などオプションのサービスを無料で行う。年内三百加入が目標。
また月額利用料一万五千円のビジネスプランもある。同プランは加入時の全社員メールアカウントを付け、独自ドメインの申請料と維持費、固定グローバルIP八個などを含み一万五千円。初期費用は同じ料金。
また、同社はこれまで同じ第三セクターの(株)マーキュリー(同市東尾道)が同社ケーブル網を借用して行っていたインターネット事業「おのみちネット」の営業権及び設備をBBBN開始を機に全面的に引き継いだ。
おのみちネットは通信速度六十四kbpsの常時接続でプロバイダー料を含み月額三千八百円。現在約千百件の利用者がいる。今後は料金の見直しを検討するが、現在もBBBNへの乗り換えは利用料の差額のみで行える。
OCTVは尾道市内の二万四千世帯を対象エリアに十月末時点で約六千加入を得ている。
鞆港の架橋計画で揺れている福山市鞆町。十月三十一日には鞆公民館で「鞆地区道路港湾整備早期実現決起大会」が開かれ、町民ら約二百人が参加、「実現こそ大多数」と一般に分かりやすい行動で地元住民の意志を示した。
さらに選挙によって県民の支持を得たばかりの藤田雄山知事も中国新聞のインタビューに応えて「頭の中ではゴーサイン」と推進を表明。民主的な手順で県の事業は実現に向けて大きく動き出したように思われる。
住民にとって日常の混雑を解消し、終端となっている二つの道路を結ぶ道路整備は鞆の重要課題で、事業実現も喜ばしい限り。ただ残念なことには、あの美しい円形の港湾が無くなってしまう。
県と福山市が作成した最終案のパンフレット表紙にも鞆港の航空写真を載せている。その美しさはパンフレットのグレードを何倍にも増している。これまで対潮楼からの景色が鞆の景観の象徴だったが、鞆の架橋問題を報じる新聞でも見た鞆港の航空写真は鞆の新しい美しさだと感心したものだ。だが、パンフレットのページをめくれば、美しいのは表紙ばかりで中にはデコボコとした機能重視の幾何学的形状となる港湾計画図が載っている。フォトモンタージュもこれまでの計画に比べかなり原形を留める景観となってはいるが、全国の観光見込客はそんな見方をするはずもない。まったく残念。
計画案は何度も修正されてきた。藤田知事は景観を配慮した計画への変更点を評価した。もともと計画の練り直しとも言えるマスタープランづくりを条件に出したのは藤田知事で、鞆の活性化を念頭に十八年前に策定された整備計画との妥協点を探っていたとも思える。
計画修正の過程では、後方の山を貫くトンネル案もあった。技術的な問題か、港湾整備と連動させる必要性の問題か、理由は不明だがトンネル案は住民に示されることもなく却下され、埋め立てに賛成か、反対かの議論に終始し、「埋め立て無くして活性化なし」が架橋問題の前提だった。昔から埋め立てを繰り返してきた鞆町は慢性的な土地不足に悩んできた。住民の願いとは別の次元で、土地造りという力も働いたのではなかろうか。
港湾の水際には埋め立てに同意しない人もいる。鞆に住まない者としては、計画の実現が全国の鞆の浦ファンの心まで埋め立てることにならないよう願うばかりだ。(J)