協福山金属工業センター(福山市箕沖町99-2、出資金三千九百三十五万円、藤田昇男理事長)は、組合が設置した工業排水処理場施設と、組合員三社が同時に環境国際規格ISO14001の認証を取得した。
審査登録機関は、国内では最大の認証取得企業を審査しているJQA(財団法人日本品質保証機構)。
組合は、昭和四十九年十一月設置し、平成五年十月施設を更新した「共同排水処理施設」で、更新時には総額四億円をかけて第二次共同排水処理施設を稼働させ、下水道排除基準に合格した浄化水を流すなど瀬戸内海の環境保全に努めたことでも評価されている。施設の敷地は千八百十八平方m。
取得した組合委員企業三社は次のとおり。
▼柿原工業(株)(柿原邦博社長)対象は、同市箕沖町99-13、同88-11の本社及び本社工場、箕沖第二工場。登録活動範囲は、自動車・電子情報機器・農機具・住宅機器等に使う樹脂部品の製造同部品及び金属部品の表面処理及び組立。
▼(有)柿原銘板製作所(柿原博樹社長)、対象は同町99-14と箕島町南丘399-11の本社及び本社工場、箕沖工場。登録活動範囲は、各種ラベル・ネームプレートの製造。
▼藤田クローム工業(株)(藤田泰三社長)、対象は、同町99-12の本社工場。登録活動範囲は、金属機械加工・電気メッキ加工。
同協組は、昭和四十九年十一月十二日設立された共同排水処理事業が主の協組。従業員は小林康義事務局長を含め四人が常勤している。組合員企業は次の十一社。▼藤田クローム工業(株)▼柿原工業(株) ▼(有)柿原銘板製作所▼(有)神島メッキ工業所(井上道生社長)▼川尻鐡工(株)(川尻義隆社長)▼光伸産業(株)(廣田廣之社長)▼中国塗装工業(株)(藤井重子社長)▼吉縫鉄工(有)(吉本戌社長)、団地面積は四万八千二十平方m、共同施設は共同排水処理場と組合会館。
組合と組合企業が同時にISO14001の認証を取得したのは、東京の中央鍍金工業協に次いで二番目となる。
食品加工業、まるか食品(株)(尾道市美ノ郷町本郷新池田455-10、資本金五千万円、川原鞆一社長=写真)は、新工場建設用地として、市内美ノ郷町の県営尾道流通団地への進出を決めた。
十一月十二日、県庁で県、尾道市と川原社長らが出席して立地協定者の交換式を行った。
まるか食品は、本社から約一・五km西に位置する尾道流通団地を将来の工場増設用地と決めたもので、交通アクセスもよく、食品関連企業も進出しているなど新たな事業展開に最適地として取得に踏み切った。取得する工場敷地は一万一千五百八十平方m。計画では平成十六年十一月建設工事に着工、十七年五月の操業を予定しているが、具体的には今後の業況をみて決める。
同社は、昭和三十六年個人創業同四十四年会社設立、イカフライ製造では業界トップクラスに成長している。
四十四年に市内神田町に新工場を完成、五十年尾道総合卸団地内に事務所開設、平成三年に東京営業所開設、五年十一月には現在の本社工場を県営尾道工業団地内に建設して全面移転、着実に業容を拡大、八年には九州出張所を開設して全国展開のネットワークを構築している。一方、製造部門では、新製品開発のための研究棟を設置して業界に先駆けて各種の新製品を開発、業界での競争力を強め、シェアを拡大している。従業員百十人、年間売上高十八億六千万円を計上している。
尾道流通団地は、同社の進出で企業数十四社、協定件数十七件、分譲面積十万一千八百十一平方m出、分常率は五五%に達した。
鋼材加工・卸の日鐡鋼業(株)(福山市曙町4-16-14、資本金三千万円、能登伸一社長、TEL0849・53・0816)はこのほど、大手機械製作メーカーなど主要販売先に加え、加工鋼材を看板など消費者により近いメーカーを対象に、新しく取引先を開拓している。
備後地域を営業エリアとする同社は、これまで(株)北川鉄工所や(株)三原菱重機工を主要販売先としていたが、広島県中小企業家同友会のネットワークを活用して、建材のアングルを看板の枠や足などへの利用を提案、販売先を拡大している。平成四年に、鉄、ステンレス中鋼板それぞれ一六mm、九mmまでを加工できる三kw大型レーザー切断機を国内でいち早く導入。同八年には二十二mm、十二mmまでを加工できる六kwレーザーを増築。さらにガス熔断機、鋸盤装置などの設備も最新型を揃えており、多様な製品ニーズに応えられるのが強み。また見積り依頼がファックスで入り次第、すぐに見積りを開始、速い返答を徹底するなど、取引先との信頼関係を強めている。
同社の能登社長は「やや高額かもしれないが、仕上がりの丁寧さから切り板は日鐡鋼業、という評価を頂いています。難しい注文にもなんとか応えられるよう努力し販売先拡大に努めたい」と話している。
同社は昭和三十九年、日和商事として創業、同四十六年に日鐡鋼業(株)と改組。従業員十四人、年商は八億円規模。
エアコンクリーニングの中国ブライトサービス(芦品郡新市町宮内1217-2、赤川哲章代表、TEL0847・52・7978)は今月から、アパートや一般住宅の上下楷の騒音トラブルを解消する床下防音工事を開始した。
クリーニング施工先で、上下階の騒音トラブルに関する悩みを多く聞いたほか、軽量鉄骨使用、床の薄いアパートも増えていることから新事業に踏み切った。衝撃や防音効果の実験を重ねて、素材には和歌山県のメーカーが製造する厚さ八mmの発砲ウレタンを利用、断熱効果もあるという。六畳間で素材、施工込みで税別一万八千円から。アパート、マンション、一戸建てなどで施工できる。
衣料品プレスの(有)アカガワ(同所、資本金三百万円)で安定推移を確保した赤川社長が、二年前にエアコンクリーニングのACB協会(本部=(株)ビッグデンキ、千葉県)のチェーンに加盟して中国ブライトサービスを創業。府中、新市、福山を中心に、家庭用エアコンと、事業所や公民館などの業務用エアコンを対象に、薬剤噴射によるパネル、冷却フィン、ルーバー、ファンなどをクリーニングする。廃液は中和して環境にも配慮、口コミで岡山からも依頼があるという。
市販のクリーニング用スプレーが話題になって「エアコンは掃除の対象」との認識が広まり、昨年九カ月間で約三百万円の売り上げにつながった、と見る赤川代表は「エアコンクリーニングは季節でむらがある。防音工事との二本立てで安定を図りたい」と話す。
尾道の古寺を訪ね、朱印を集める「七佛めぐり」が好評に推移している。
七佛のある古寺めぐりコースを歩く人もぐっと増え、スタートを記念して三日間七カ寺で行われた寺宝一般公開もにぎわった。文化の日はあいにくの雨となったが、天寧寺の三重塔などは、わずか十分ほどの間に老若男女の観光客二十人ほどが訪れた。
七佛めぐりは、尾道観光発展を願い、七カ寺の僧侶が宗派を超えて集まった結果。数年前から亀田良一尾道市長が「尾道の誇るべき宝がお寺に眠っている」と呼び掛けていた結果でもある。
まちづくりには一過言を持つビサンゼセッションの大崎義男社長も朱印帳制作にかかわり、漫画で地方文化に貢献している川口石油の川口協治社長も朱印帳の中心に描かれている、七佛乗り合わせの北前船を描くなど、企画は観光という船に住む人の知恵を乗せ合わせて船出した。風は順風。全国からヒューマンポートおのみちに善男善女を運び込むことが願われる。
寺と並ぶ資源は文化人を集めてきた尾道の歴史。明治四十五年から一年ほどは志賀直哉も中腹で暮らし、旧出雲屋敷とも呼ばれる島居勝さんの自宅に、その足跡をたどる「おのみち文庫」志賀直哉コーナーも今月開かれた。
その昔、尾道に文人墨客を寄せ、寺を支えていたのは当時の豪商たち。尾道の文化財保護委員で漢詩研究者としても名高い、パイオニア計算センターの入船裕二社長が「玉浦詩話」を発刊された。漢詩の知識がなくても、当時の暮らし振りが伝わってくるありがたい名著。尾道研究に留まらず、菅茶山や頼山陽といった日本の文化人研究にも大きな役割を果たすと思われる。
漢詩を詠んだ心根を垣間見ることができるのは無論、人的つながりにも詳しい。梁川星巌が尾道に滞在した下りを引用させてもらうと、「尾道に滞在したのは文政八年、九州からの帰りである。星巌ときに三十七才、紅蘭二十二才、玉蘊三十九才、玉葆は文化九年、三原の大橋家へ嫁ぎ、十年にはのちに玉蘊の養子となり福岡屋を継ぐ玉甫を生んで、この時は三原の住人である」とある。さらにその前ページには神辺に菅茶山を訪ねた様子もあり、山陽道を結ぶ人的ネットワークが浮かんでくる。
温故知新。今月は尾道が心を結び止める観光都市(心のみなと)へ生まれ変わる胎動を感じることが多かった。今後に期待したい。(J)