びんごトピックス  2001年12月10日号  表紙写真


御池鉄工所が新工場を完成

産業廃棄物処理機器の総合メーカー、(株)御池鉄工所(深安郡神辺町川南三ノ丁396-2、資本金三千万円、小林由和社長)は、同所の本社工場敷地北側に新工場の建設を進めている。
規模は、鉄骨造り平屋建て千四百三十九平方m、屋根までの高さは十八m、設計・施工は清水建設(株)広島支店、年内に完成し、一月中旬の稼働を目指す。
機械設備の新規導入を含めて総投資額は約五億円を見込む。
今回の工場増設工事について「生産能力拡大もありますが、工場内の作業環境の改善や社員が働きやすい工場内設備の充実などに配慮した投資です。人材確でも積極的に進めます」=社長談
同社は、未利用資源の再利用をコンセプトに、産業廃棄物トータルメーカーとして廃棄物、処理機械の製造を通して、廃棄物未利用資源として再利用を図る循環型社会への貢献を目指している。
同社は、昭和二十八年八月、小林當三郎氏が新市町で創業。創業当初は薪割樹を製造、三十一年にオガライト固形燃料化設備を開発して事業を拡大、三十四年には粉砕機を開発、四十四年五月現社名で会社設立。五十三年九月に二代目の小林由和氏が社長に就任、翌年には大型破砕機を開発して現在のトータルメーカーとしての本格的なスタートが始まる。平成元年一月現在の本社工場を完成して新市町から全面移転、研究開発、テスト工場も開設し、新製品を相次いで開発、東京、大阪、九州、札幌名古屋に営業所や出張所を開設して全国シェアの拡大に向けて拠点整備も進め、現在では沖縄から北海道まで全国展開で製造、販売体制を確立している。
主な製品は、粗大ゴミ処理プラントで廃材有効利用プラント、大型破砕機、都市ゴミ固形化設備、各種粉砕機、パーク堆肥製造プラント、乾燥機、集塵設備、モミガラ粉砕機、圧縮成形機、各種選別・篩機など資源の再利用プラントメーカーとして知られる。
最近では、容器包装リサイクル法の施行を受けて、同社と日商岩井ケミマック東京(株)、巴工業(株)(東京)と提携して開発した廃プラスチック湿式選別システム「プラセンエース」が注目され全国的に受注や引き合いが増加している。このシステムは、廃棄物中に混在する多種多様なプラスチックを高効率、確実に選別、回収するプラスチック再資源化システム。破砕、選別、脱水、造粒までを先進機器をフレキシブルに組み合わせることにより、混在するポリプロピレンやポリエチレン(発泡スチロール)と塩ビの分解、PETボトルからPETとその他の樹脂の分離など、使用目的に合わせた選別が可能な画期的システムで、質の高い二次製品の製造が可能なことから、大手商社、大手工場、地方自治体などへの納入実績が拡大している。一方、ペットボトルの年間三万トンの処理能力を持つ国内最大規模のリサイクル工場に近く同社のシステムが導入される。また、炭化、醗酵関連機械のテストも進んでおり、来春には市場投入が予定されている。
同社の主力機械の開発に関連して取得したパテントは約二百五十件に及んでおり、近い将来の株式上場への期待もある開発型企業。最近の業績は、平成十三年八月期で、売上高三十八億円、申告所得額七千七十六万五千円を計上している。従業員百五人。


女子作業服のリミットが中国でシステム開発

女子作業服製造のリミット(株)(福山市紅葉町2-27日本生命ビル七階、資本金七千七百万円、有木伸宏社長、TEL0849・24・0849)は現在、関連会社を窓口として国内で受注した業者向けシステムを中国で製造する体制を整えており、二年後の本格展開に向け試作を重ねている。
中国青島で作業服製造を担当する関連会社「青島伸栄服装有限公司」の福山支店を営業所として設置、既に受注したシステムの試作を青島の工場内に設けた開発室で行っており、中国各地から採用された社員が二年前から日本語教育を受けながら、開発を担当している。このほどコンピューターを十台導入して、本格的な開発準備体制を整えた。現地の安価な労働力でシステムを開発し、価格競争では負けない点をうりに国内での受注拡大を目指す。
中根義明副社長は「新入社員でも容易に受発注できるなど、当社が活用している業務管理システムの水準は非常に高いことから、これを一つの資源として新たな経営の軸を作りたい」と話す。
同社は昭和四十五年芦品郡新市町宮内に設立、同五十三年から女性の社会進出を見越して女子作業服への特化を決め販売先を探った。あらゆる業者を回り、ユニチカのみが興味を示し受注、昭和五十五年頃から女性の社会進出が本格化し狙いが当たった。同六十年、現在本社を置く日本生命ビル入居一年後から、ユニークなDMとカタログ発送で取引先を開拓。「日本生命ビルのブランドのおかげかもしれません」と中根副社長。有木社長の「売れる商品をつくれば営業は必要ない」とのポリシーで、カタログによる通信販売システムを確立した。その独特な経営哲学がうかがえる「リミット通信」を同社長が執筆、毎月HP上で発行している。アドレスはhttp://limit.co.jp
中国への製造シフトは平成元年の天安門事件の最中に、他のメーカーが中国を離れる中、進出を決定。バブル以降の不況期も早目のリストラで乗り切った。
社内のLAN整備や業務管理システム、ITビジネスシステムを早くから取り入れ、去年はNECから表彰も受けた。現在では、本社のほか経営企画室(大阪市中央区)、創造センター(新市町)、国際事業部(埼玉県春日部市)があり、年商は十三億円規模。中根副社長は「中国からのモノの流入はこれからも続くが、国内でしかできないこともある。小ロットにも対応できるシステムで生き残ります」と話している。


ジャパンテクノが尾道流通団地第二工区へ進出立地協定

尾道市美ノ郷町の県営尾道流通団地のうち、来年七月完成予定で造成工事が進んでいる第二工区に立地第一号企業が決まった。
進出するのはベンチャー企業の(有)ジャパンテクノ(尾道市向東町3970-15、資本金四百万円平岡健一社長)。十二月四日、広島県庁で平岡社長、亀田良一尾道市長、県の担当者が出席して立地協定書交換式が行われた。
計画によると、第二工区の三千二百平方mを取得、ここに研究所千二百平方mと加工工場二千平方mを建設するもので、平成十四年八月着工、十五年一月から操業を始める。操業開始時の従業員は二十一人、総投資額(土地代含む)は約三億円を見込む。
同社は平成三年三月設立、食品製造技術の開発研究を主に創業、現在は「魚の褐変若しくは黒化防止及び処理法」と「生小魚を含有する食品」で特許を取得、関連会社とパテント契約を結んでいる。福山市東川口町2-3-30に福山工場を開設している。
尾道流通団地への進出は、今後の食品一般への汎用技術として開発すると共に、一部製品の加工製造を計画しており、現在の研究所が手狭で、賃貸物件であること、今後の研究室充実や加工製造工場を設置する計画があり、交通アクセスの良い同団地に進出を決めた。
協定書の交換式に出席した亀田良一市長は「第二工区のトップを切って来年夏の完成前にジャパンテクノの立地が決定し喜んでいます。主に水産食品の加工製造技術の開発研究の新しいビジネスを進める会社と聞いています。市内の中小企業が相次いで流通団地に進出する計画を頼もしく感じています。十一月十六日に現地で行われた視察会でも交通アクセスの良い魅力的な推薦できる産業団地として高い評価を受けています。今後も県と連携して立地促進に取り組み、地域経済の中心である地場企業のますますの活躍に期待しています」とコメントしている。


山陽パッケージが羽毛活用の撥水性強い段ボール

紙器、段ボールケースなど製造販売の山陽パッケージシステム(株)(福山市千田町千田天神原2467-1、資本金一千万円、小林茂美社長、TEL0849・55・3221)はこのほど、羽毛パウダーでコーティングし撥水性の高い「KPE段ボール」を製品化した。
 撥水度は、四十五度の傾斜を付けた段ボールから水が完全に転がり落ちる「R10」。羽毛布団の羽毛を破砕したパウダーで、波型の中芯を挟んでいる表裏のライナをコーティングしたもの。紙商社のカミ商事(株)(愛媛県伊予三島市)が開発、広島段ボール(株)(東広島市)が製造している。生物分解が可能なため一般の段ボール同様、古紙にリサイクルできることから、環境に優しい多機能段ボールとしてPRを強化する。
同社は、携帯用ミニトイレなど生活小物用品製造販売の(株)ケンユー(福山市曙町4-7-21、占部明雄社長)と試作した、KPE段ボール製の携帯トイレを、先月二十四〜二十六日まで東京ビッグサイトで開かれた「国際福祉機器展」に出品し、手応えをつかんだという。同社が担当した紙部分は、段ボールの構造を活かした設計で丈夫なうえ、折り畳めるよう工夫し、強撥水のため汚れに強いのが特徴。
また同段ボールには、発泡スチロールと同程度の保温性、保冷性があることから、トロ箱などの製品化も検討する。
 また同社の小林社長は、福山をイメージしてデザインしたせんべいを名刺代わりに営業活動を行うなど、ユニークな発想で自社と福山をPRしている。


こぼれ話  2001年12月10日号

普段着の愛国心 祝賀広告に安堵

今号裏表紙に「新宮さまご誕生」のお祝い広告を掲載させていただいたが、この企画には少し迷いがあった。「右よりに感じられるかも…」という懸念に他ならない。百社ほどの方にFAXで広告企画のご案内をさせていただき、電話等での営業はまったく行わなかった。ごく短い受付期限にもかかわらず、自主的に協賛いただいた結果が、裏表紙のお祝いとなった。
案ずるより生むが易し。別件で、協賛いただいた一社の方と話す機会があった。「いいことだとすぐに応募させてもらった。ここ数年、いやここ十数年、これほど国民が心を一つにして素直に喜べたできごとはなかった。何かの形で当社もこの気持ちを表現したかった」とのこと。企画意図が素直に伝わっていたことに安堵と喜びを感じた。
昨年から今年にかけて当地域でも国歌、君が代論議が経済界でさかんになり、経済団体の主催で、教育的視点から日本の歴史認識を見直す講演がいくつか開催された。そうした講演を取材して感じたことは、襟を正した特別な感情として愛国心を扱わず、普段着の感覚で扱うことが大切では…という思いだった。
うれしいという気持ちの強制はとんでもないことだが、うれしい…という気持ちの表現に世間的な遠慮があるのも困ったもの。普段着の愛国心を望んで止まない。
旬刊紙の都合上、紙面を通じた応募ができず、またFAXのご案内も短時間の受け付けであったため不在等で検討できず、気持ちを表現したくても機会が得られなかった方々に、この場をお借りしてお詫び申しあげます。(J)

このページのトップへ