びんごトピックス  2002年2月20日号  表紙写真


笠岡市が総合体育館建設で起工式

笠岡市は二月六日、笠岡湾干拓地の一部、同市平成町、西部アグリスポーツ公園建設地内で「総合体育館」新築工事の起工式を行なった。
起工式には工事関係者や市側から約七十人が出席、高木直矢市長がくわ入れした。
この体育館は、鉄骨造り二階建て延べ床面積五千九百九十一平方m、一階のメーンアリーナはバドミントンコート十二面、サブアリーナには三面のスペースがある。ほかにホール、マシンジム、ロッカールーム二カ所、医務室、会議室、多目的室、器具庫、指導員室、放送室、本部席事務室、ラウンジ等を配置している。
二階には観客席七百八十四席、両側に車椅子席もある。椅子席の空間を利用したランニングコースも設けている。この施設は二〇〇五年に開かれる岡山国体バスケットボール成年女子の主会場として使われる。県西部のスポーツ活動の拠点施設となる。
設計は岡山市野田三丁目の(株)木村建築設計事務所、施工は大手の前田建設工業(株)(東京都)と地元の(株)荒木組(岡山市)共同企業体、総事業費十七億五千万円で、来年十月に完成する予定。当初の計画では平成九年のオープンを目指していたが財政難から市と県が事業凍結していた。
なお、県と共同で整備する「岡山県西部アグリ公園」(仮称)は、全体の施設として陸上競技場。多目的グラウンド、テニスコート、クラブハウス、プロムナード、着工する総合体育館、青空市場、体験農場、芝生広場、こども広場、駐車場を配置一部の施設を除いて岡山国体前年の二〇〇四年度中の完成が見込まれている。


ジービーシーがカツどんFCを全国展開

Iネット企画、ホームページ製作、コンサルタントなどの(株)ジービーシー(福山市新涯町3-31-22、資本金二千九百万円、池口浩詞社長、TEL084・957・8828)はカツどん店のFC事業の準備を進めており、三月から福山に出店、五月から関東への出店を進めていく。
店名は「どんカツ」。メニューはカツどんの単品(四百五十円)に、平均五十円の低価格で、チーズ、カレーソース、キムチなどをトッピングしていく。来店と同時にカツをフライヤーに投入するなど、作業効率、経営効率を上げて他の外食FCに対抗する。
池口社長が数年前から検討していた事業で、三、四月に福山で一、二号店を出店した後、東京の事業所を中心に関東で出店、月一店舗を目標に全国に拡大していく考え。十店舗を超えたら出店ペースを上げるという。三年計画での株式公開が目標。
FC本部は関連会社の(有)池口に置き、ジービーシーがスタッフの派遣や教育など、総合的に業務をサポートする。ロイヤリティは低く抑え、FC店との物流で利益を確保する考えで、初年度売上高二億円を見込む。また人材教育を中心に、東京でサービス業などのコンサル事業も展開していることから、そのノウハウを活かし、独立意欲のある企業退職者らを対象に再教育プログラムを組み、「ビジネスオーナー」として店舗に派遣する計画。同社長は「牛丼、天丼が成功している。次はカツどんです」と意欲を話す。
同じくFC展開中のIネットチラシ閲覧システム「買楽パラダイス」とコンサルタント業務を合わせた三事業で展開していく。またコンサルタント業務では、サービス業の社員教育など、福山での人材教育事業も本格化。スチュワーデスだった経験を活かしてインストラクターを務める同社の池口恵子取締役による女性対象のセミナー「あなたがほしいと言わせる20のコツ」も十九日から社内を会場に開始した。今後男性対象の講座も開講する。


柑橘工芸研究所が大三島にも本格的工房を開設

みかんの皮で盃やカップ、茶道具などを作り、しまなみ海道の新しい魅力づくりに取り組む柑橘工芸研究所向島工房(御調郡向島町7720-2、大下尊文代表、TEL0848・20・6430)は二月二十日、愛媛県越智郡の大三島(大山祇神社前)に新しい工房を開設する。
工房は土産物店「おみやげ ナガノ」を経営する(有)ナガノが柑橘工芸をしまなみ海道の新しい土産に育てるため、同社の旧店舗内に専門の販売コーナーと工房を設けるもので、工房内の教室で徐々に作家を育てながら作品数を増やす計画。
向島工房は昨年五月十日に開設、大下尊文代表が教室を主宰しながら作品づくりを進めている。これまでに三十七人が同教室で製法を学び、工房に通いながら作品づくりを行っている。
工房で生まれる盃の作品はみかんを半分に割り、皮をそのまま盃にしたような形状。特殊な加工で陶器に近い材質になっており、熱燗のお酒も楽しめる。湯飲みやコーヒーカップもあり、熱い湯や酸性の飲み物でも変色せず何年も利用できる。みかんに限らずグレープフルーツなど多彩な柑橘類を使って作品づくりが進んでいる。
製造方法は、柑橘類の皮を木型にはめて自然乾燥させ、中にパテ剤を何度も塗って形状を作ることからスタート。次に特殊な透明うるしを上薬として塗り重ね、最後に秘密の方法で陶器状に加工する。この製法は柑橘杯の製造方法として昭和六十一年に特許を取得している。さらに最近の研究で野菜も対象にできるようになり、野菜を対象にした特許も出願している。
柑橘工芸研究所は、教室を通じて作家を育成、作家が育てば作品を検品、審査して買い上げ、販売する仕組みを作りつつある。向島工房で学んだ人の中にはネイルアート技術を習得した人や絵心のある人もおり、作品に技術を組み入れ、オリジナル作品を制作する人もいる。すでに月収二十〜二十五万円の人も生まれており、いい作家の数が増えることが柑橘工芸普及の条件となっている。
作品の小売価格は猪口ほどのサイズのもので千五百〜数千円。立体アート付きコーヒーカップ六千八百円。教室はノウハウ料一万五千円と月額三千円及び材料などの実費。
作品の販売場所は、尾道市内のしまなみ交流館内、向島洋ランセンター、因島フラワーセンター、今治国際ホテル(今治市)、古湧園(道後温泉)などの土産物売り場。
なお、同研究所は二月十一日にインターネットで作品を購入できるショッピングサイトを開設した。アドレスはhttp://www.kankitukougei.com


ニチゾウ因島製作所と日立造船向島マリンが合併

日立造船(株)(大阪市住之江区南港北1丁目7-89、資本金五百二億九千四百万円、重藤毅直社長)は、NKKとの造船事業統合を十月目途に進める一方、NKK、住友重機との鉄鋼事業の販売、エンジニアリング部門統合など一連の経営効率化を積極的に進展させている。一月三十日には、百五十七社の関係会社の約三分の一を削減するなどのグループ企業の再編計画を発表した。
関係分では、(株)ニチゾウ因島製作所(因島市土生町、資本金四億九千万円、川路道博社長、従業員四百五十人)と、日立造船向島マリン(株)(御調郡向島町、資本金一億八千万円、城克己社長、従業員七十人)を五月一日付けで対等合併する。
同社では、厳しい価格競争に対応するため、事業の効率化を図ると共に人材や設備の有効活用、新事業や新製品開発を加速化する。
合併後は、社名を(株)アイエムシー(IMC)に変更し、本社はニチゾウ因島製作所内に置き、資本金は四億九千万円、従業員は三百六十人規模、売上高九十億円を目指す。事業内容は、主として大型鋼構造物の製作と小型鋼船の建造。また、向島マリンが開発・製造している食品加工機械製造分野を発展させ各種の産業機械分野への進出、小型鋼船建造で蓄積したノウハウを活用してアルミ製漁船建造へも裾野を広げる。一方ニチゾウが手がけている船舶の修繕部門はNKKと共同で十月に設立するユニバーサル造船が引き継ぐ。また、両社の従業員約五百二十人のうち約三百六十人が新会社へ、約百六十人はグループやユニバーサル造船へ転籍する計画で、人員削減は行なわないとしている。
日立造船は、環境装置、エネルギー、電子・情報、産業機械、サービスの五部門を推進する。平成十三年三月期決算では売上高三千三百六十一億一千八百万円、経常利益三十億二千百万円を計上した。



こぼれ話  2002年2月10日号

ホイールを止めた神戸 新技術を育てるびんご

やっぱり新技術は面白い。「これはいい」と思わせる技術は、不況を乗り切る勇気を与えてくれる。
お弁当の(株)いしい(尾道市)の石井照章社長がぞっこんの面白い技術は、同社が試験的に導入した「E―CAPS」。同装置は走行中も車のホイールを静止させ、新しい広告効果を生み出す。素人でも考え付く原理はベアリングと振り子のような重りの組み合わせだが、そんな原理だけでは高だか時速十五キロも超えれば、ホイールは回り始めてしまう。
その難点を「E―CAPS」はホイールの後方にわずか十センチほどのノーズを付けることで解決している。ノーズは外に飛び出した溝のような形状で、車の速度が上がれば、ホイールの外側で空気を切る翼の役目をし、ホイールの内側では内部の空気を通路を狭めながら外部に噴射させるジェット噴射のような役目を果たす。原価をほとんど変えないこのノーズこそが、時速百二十五キロでも回らないホイールを実現しており、まさにコロンブスの卵のような発明がある。
この「E―CAPS」を開発、販売している会社は、神戸市の(株)神戸エコカーパスカル研究所。発明者は同社役員でもある岡本好晃さん。自動改札用に片手で出し入れできる定期入れも発明、三百万枚を超えるヒット商品も生んでいる。
「E―CAPS」はバスから降りた人がタイヤホイールに衣服を引っ掛け巻き込まれた事故を新聞記事で知ったことが開発のきっかけ。安全装置が当初の目的だった。売り込みに行った神戸市の職員に別のベンチャー企業を紹介され、広告媒体として新事業へと発展した。
(株)神戸エコカーパスカル研究所は資本金三億八千九百五十万円。兵庫県中小企業振興公社、野村證券、トヨタ自動車、関西電力、オリックスなどが出資しており、電気自動車などエコカー専門のレンタカー事業も行っているベンチャー企業。
コロンブスの卵のような個人の発明を、アイデアマンが集まって世界二十二カ国で特許申請する商品に仕上げ、地元の大手企業などが出資して育てている。すでにアメリカでは大統領選挙で支持者が利用したり、ニューヨークのイエローキャブに装着して走ったりと、世界的な広がりも見せているという。
ちょっとしたきっかけで生まれる「面白い技術」は、どこででも生まれるが、どこででもは育たない。失敗を恐れず、そんな技術をみんなで育てる「インキュベーター地域びんご」が望まれる。
NKKが二〇〇六年の本格的な製造を目指し、開発を進めている次世代エネルギーDME(ジメチルエーテル)にも注目したい。メタンとよく似たガスでLPG施設を転用して普及させることができ、優れた燃焼特性を持つ。火力発電やディーゼル自動車用代替燃料として環境にやさしいエネルギーになるという。
こちらはちょっとした技術どころではないが、びんごに世界拠点を置くNKKの技術。RDF発電施設も福山市内で着工した。環境にやさしい「DMEモデル地区びんご」も面白いのでは…。(J)

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