ユニフォーム大手の(株)自重堂(芦品郡新市町大字戸手16-2、資本金二十九億円、出原群三社長)は、四月十日、使用済みユニフォームのリサイクル事業において、帝人ファイバー(株)(大阪市中央区南本町一丁目6-7、資本金百二十億円、松山勇社長)と、ユニフォームの完全循環型リサイクルシステムに取り組むと発表した。
自重堂では四月九日から全国七カ所で開催している秋冬展示商談会で販売店への説明を行う。対象となる製品は帝人テトロン使用品で、基本的にはポリエステル100%生地、副資材もポリエステル100%が原則、製品には回収識別マークを縫着して販売する。リサイクルにかかる費用は一点百円程度、四月十五日から帝人ファイバー(株)徳山事業所(山口県徳山市)内のリサイクルセンターで、まずペットボトルのリサイクル処理からスタート、繊維製品のリサイクル開始は六月頃の予定。十五日の操業式には帝人の長島徹社長も出席し「世界でも先進的なリサイクル基地になる」としている。
初年度は一千点の処理を見込んでいる。なお、同リサイクルセンターの処理能力は年間三千tで、ユニフォーム製品で六百万点。自重堂では来年六月頃の実働に向けて、対象となる商品のテストや回収方法など具体的な準備がスタートした。これまでは年間約四千点の使用済みユニフォームを回収し、燃料等のサーマルリサイクル、自動車部品のマテリアルリサイクルのリサイクルネットワークシステムは実施しているが、ポリエステル製品から添加剤、着色剤を分離し、石油から製造する原料と同じレベルの高純度ポリエステルに戻す高度精製技術のケミカルリサイクルの導入は初めて。世界初の完全循環型リサイクルシステムとしている。
帝人ファイバー(株)は、大阪、東京、福井、松山、加賀、茨木、徳山に事業所を開設している帝人グループの一社で、従業員千百人、事業内容は、ポリエステル原料、衣料用ポリエステル繊維およびポリエステルを主とする衣料用テキスタイルの研究開発、製造、販売並びにこれに関する事業。
自重堂は、ワーキングウェア首位カジュアルウェア拡充。平成十三年六月期では、単体で売上高二百八十五億九千五百万円、経常利益十四億一千百万円、従業員四百人。
尾道市高須町の寿司・食事処「香の月」(杉原由香里代表)は本社を残し、店舗を福山市高西町3丁目14-57へ新築移転させ、四月五日オープンした。新店舗はこれまでの店舗にほど近い国道二号線沿いジョイフルの南側(同店駐車場は二号線沿い)。
店舗の一階はカウンター八席、掘り炬燵式のテーブル席六十二席。掘り炬燵式のテーブル席は間仕切りで二人〜二十四人席までの空間をつくり出せ、グループ人数に柔軟に対応できる。二階は二〜六人までの座敷と四十人までの宴会座敷。中庭を設け、和風の静けさを演出。駐車場は大型バスも駐車可能な普通車六十台分のスペースを確保した。
厨房は本格的な仕出し業務に対応した設計とし、焼く、蒸すといった大量の下ごしらえを効率的にできる最新鋭のスチームコンベクションも導入した。
これから力を入れる仕出しはお慶びシリーズ六千〜一万五千円、松花堂弁当千五百〜四千円など。店舗での食事の営業時間は午前十一時〜午後二時三十分(オーダーストップ)、午後四時〜同九時三十分(同)。問い合わせはTEL084・933・7780
ホテル運営などの第三セクター、(株)広島エアポートビレッジ開発(豊田郡本郷町大字善入寺64-31、米藤弘章社長)が運営を委託された複合リゾート施設「フォレストヒルズ・ガーデン」(豊田郡本郷町上北方1361、TEL0848・60・8211)がこのほど完成、十六日から営業を開始した。
県立中央森林公園内で広島空港の隣接地。二百五十人収容可能で、主に結婚式での需要を見込んでいるメーン宴会場「マウンテンマナーハウス」、オープンキッチンのイタリアンレストラン「フォルネッロ」、プールやテニス場などを備え、都市型リゾート施設として県が整備を進めていた。八棟あるコテージが、五月の連休中の予約で既に一杯になっているほか、秋口の結婚式の予約も入り始めるなど、好調な滑り出しという。十五日には、藤田雄山県知事らが出席して完工式を行った。
中央森林公園という恵まれた環境をPRしながら、ホテル並みのサービス提供を指揮する広島エアポートホテルの木村雅彦副総支配人は「朝起きたら鳥のさえずりが聞こえ、ゆったりと落ち着いて自然を満喫できる環境を楽しんでもらいたい」と話している。
五月十二日には、同所と広島エアポートホテルが合同でブライダル相談会を開催するほか、ディナーショー、演奏会などを企画している。
家具製造、卸の若葉家具(株)(府中市高木町1201-1、井上博昭社長、TEL0847・45・5816)が、地元の工芸作家の作品を展示する「第5回匠展」が十二〜十五日まで同社ショールームで開かれ、四日間で約千人が来場した。
今年は五工房、六作家が作品を出展、バラをモチーフにし、福山バラグッズとしての認定も受けているオリジナル小物などの作品や、京友禅、陶器などを、若葉家具のテーブルや棚に展示。また十四日には、小枝を素材としたトンボのオブジェを作成する「クラフト教室」も開催、多くの参加者で賑わった。
一日目に来場した人が次の日に別の人を連れてまた来場するといった連鎖でファンが拡大。同社の井上社長は「地元作家のPRの場として恒例行事に成長した。マンネリ化しないよう、常に驚きや発見のある企画を検討しながら続けていきたい」と話している。
またリビング家具など製造の高橋工芸(株)(府中市)ショールームでも「匠展」を開催しており。趣向の異なる展示を同時に開催することで、「二社間の回遊といった消費者の動きを実現したい」とする井上社長は「一般ユーザーが家具ショールームに入りやすい環境をイベント的な要素で提供したい」と狙いを話す。
そのほか若葉家具が運営しているクラフト関連のHP検索サイト「手作り・クラフト検索」(アドレス=http://www.at-image.net/cgi-local/tedukuri/yomi.cgi)も、月に一万四千アクセスと好評。家具、木工やガラス、衣類、陶芸などのカテゴリー別に、販売サイトと趣味のサイトで合わせて約千五百サイトを登録している。月一回、手作りなど趣味のサイトやイベントを紹介するメールマガジンの配信を開始。同じく同社が運営する趣味の工芸品販売サイト「Access to IMAGE」とも連動させながら、作家と消費者をつなげる活動を展開している。
新入社員激励。四月、新入社員を迎えた企業の大きな課題だろう。
ベイタウン尾道で市内事業所が共同で開いた恒例の新入社員激励大会。主催者を代表してあいさつに立った福井弘尾道商工会議所副会頭は、加工貿易立国として高度成長を達成した日本が、中国をはじめとした世界の工場に仕事を奪われ、激変している経済環境を説明、「変化の中、例年と変わらない新入社員皆さんの顔にほっとします。がんばって欲しい」とエールを送った。
世はまさに激変の時代。大手銀行もコンピューターの誤動作で根底が揺らぎ、力のある中小企業も取引先の倒産に翻弄されている。中小企業が生き残るためには、これまでの常識とはひと味違うフレッシュな活力が求められている。
激励大会では講演もあった。自然食品を全国の小売店に販売、健康食品分野へも拡大を目指す(株)純正食品マルシマ(尾道市)の杢谷正樹社長が「常識を磨く」のテーマで講演、常識が勘違いだった例を挙げながら常識の色眼鏡に染まらない目で学ぶことの大切さを話したが、ユニークな講演の中で、常識をやや斜めから見た二つの言葉も印象に残った。
一つは「上司のいうことを聞くな」で、もう一つは「学歴重視」。「上司のいうことを聞くな」とは「長い間に蓄積された社内の常識や習慣を鵜呑みにするな」という意味で、社外で多くの人が心を動かしている事象を観察し、業務に生かす努力をすべしということ。
「学歴重視」は「学校歴ではなく学んできたことを重視する」という意味で、自分が楽しいと思うスポーツや趣味でいいから学んできたことを生かせということ。
杢谷社長の会社では常識とちょっと違った採用も実践している。同じ食品業界からの転職組は採用しないそうで、同社には多様な職歴の持ち主が集まっているそうだ。
講演の最後には、波瀾万丈の人生を送ったジョン万次郎を紹介。漁師の息子が台風で難破、行き着いたアメリカで英語を身に付け苦労の末に帰国、英語力と航海術を買われて幕府直参の旗本となった万次郎になぞらえ、「何があってもえっとのことはなぁ。人に迷惑をかけなければなんでもあり。会社の中で思い切り暴れてください」と締め括った。
私ごとで恐縮だが、二十年ほど前に新入社員として新しいスーツに身を包んだ記憶が甦る。襟に付けたバッヂは大の字をモチーフした大沢商会のマークだった。同期入社は六十人ほど。どの顔も輝いていた。
しかし大沢商会は翌年二月に会社更生法の適用を申請、戦後三番目の倒産と世間を騒がせ、後輩となるはずの輝いた顔を迎えることなく、再建への道を歩み始めた。今では若いうちの苦労は買ってでも…と言える思い出の一コマとなっている。
今年入社の就職戦線は厳冬の厳しさだった。くぐり抜けた新入社員は緊張感の中にもほっとした気分を抱いていることだろう。が、それぞれの人生はこれからが本番。荒波の中、針路を見失うことなく、船を進める乗組員の一人として己との戦いに勝ち抜いて欲しい。(J)