本郷町に大手スーパーを核にして新しい街づくりを進めている、本郷町原市沖地区土地区画整理事業組合(豊田郡本郷町大字下北方字岸ケ岡863-2、大下禮三理事長)は、八月九日、食品スーパー、マックスバリュ西日本(株)(姫路市北条口4-4、資本金十六億六千七百万円、福原英典社長)と予備契約を行い、核店舗として進出することが決まった。
計画によると店舗は二棟を建設し、売場面積は七千七百二十平方mと千九百四十平方m、計九千六百六十平方mの予定で、食品を主に日用品や衣料品を販売するほか、書店やビデオ店なども出店する。駐車場は五百三十六台のスペースを設ける。敷地面積は約三ヘクタールとなる見込みで、組合が土地を貸し付け、マックスバリュが店舗を建設する。来年四月着工し、平成十六年夏か遅くても秋にはオープンする予定。
同社は、イオン系で、兵庫県を主地盤に同県内に八十店舗、岡山八店舗、山口県内二十店舗、広島県内も二十店舗、計百二十八店舗を展開、平成十四年二月期では売上高一千四百三十八億七千三百万円、経常利益三十八億百万円、今二月期は売上高千七百二十億円を見込む。
県東部地域では福山市一文字町、大門、世羅町に出店、岡山県西部では笠岡、鴨方に出店している。
区画整理事業は、JR本郷駅から西へ約一・三km、国道二号沿いで東洋製缶広島工場西端から西へ梨和端までの十一・八ヘクタールが対象。整理地内には本郷町の船木、南方、北方保育所を統合する新しい保育所が来年春着工し、十六年春完成、町立の四小学校と中学校の一校を対象とする学校給食センターを新設するほか東洋製缶広島工場に一ヘクタールを分譲する予定。
他に公園や緑地、住宅地、公共施設が立地するなど本郷町最大の商業施設と公共施設、住宅などが立地した新しい街づくりを目指す区画整理事業が十六年度で完成する見込み。
麺製造のクラタ食品(有)(福山市東手城町1-32-49、倉田安彦社長、рO84・945・6200)はこのほど新商品「岡山中華そば」の販売を開始した。
九月一日から一般販売も始まった「岡山中華そば」は和風だしと豚骨醤油がスープの特徴。倉田社長がインターネットの掲示板サイトを通じて知り合ったラーメン愛好家達と実際に会合する「オフ会」で直接意見交換しながら、岡山のラーメンを食べ回って研究、先月ギフト用として商品化した。倉田社長は「麺製造業で、ここまでインターネットを含めた情報網を駆使してラーメンの研究をしている企業はない。自身を持って出した商品です」とPRする。
また先月同社ホームページ「福山らーめんサイト」(アドレス=http://www.fukuyama-ramen.com/)も売上げ拡大を目指しリニューアル。(株)インターネット開発研究所(福山市)のEコマース構築アプリケーション「販売戦略」を採用した。クラタ食品はこれまでも、閲覧者からラーメンに関する投稿を募る「心に残る一杯のラーメン」や「全国らーめん店情報」など遊び心のある企画でアクセス数を増加。それを実際の販売につなげながら、さらに新商品開発のヒントを吸い上げやすくしようと、自社で管理運営できるサイトにした。トップページに麺詰め合わせなど人気商品五種を紹介、「ラーメンフリーク道場」ではこれまでの人気企画も継続している。月の売上げ目標は百万円。
今年春に発売した「広島つけ麺」も好調。夏の終わりに売り上げが落ちる冷やし中華と違い「辛さ」がうり。季節を問わないヒット商品となり、七月に十万食を突破した。県内大手スーパーのほか九州、四国、大阪などでも採用が進んでおり、業界では珍しいというノートパソコンを駆使したプレゼンの強化で、来年度はさらなる拡大を見込む。
また全国のご当地ラーメンやラーメンの歴史を紹介、観光地として人気の新横浜ラーメン博物館(横浜市)でも採用が決定。「おみやげラーメン」として「広島つけ麺」と「福山らーめん」が販売されることになり、知名度アップを期待する。
今年度売上高は五億円を達成する見通し。戦後の福山で愛されたラーメンの味をモチーフにした「福山らーめん」PRに、キャラクター「頑固親父」、カラーのある看板など販促物にも力を入れてきた倉田社長は「何が起こるかわからないのがHP。うまく使いながら全国で勝負できる地方発の商品を開発していきたい」と意欲を話す。
(株)なかやま牧場(福山市御幸町中津原1677、資本金二千五百万円、中山伯男社長)は、市内駅家町の福山北産業団地内に建設した本部機能を備えた「なかやま牧場食肉流通センター」を完成し、加工や冷蔵・冷凍機など最新の設備が導入され、十一月十二日本格操業に向けて試運転や調整作業が順調に進んでいる。
この施設は、同所の敷地一万二百二十四平方mに、鉄骨造り平屋建て一部二階、延べ床面積三千五百三十四平方m。内部の設備はコンピュータ受発注システムの構築し、枝肉カッティングに使う補助機を新たに導入、コンベヤーシステムなどにより作業の合理化を図る。冷蔵庫、冷凍庫、配送施設等があり、ステーキやスライスに牛肉をカッティング、ローストビーフ、タタキなどの加工を行う加工場、別室で真空包装機などによる包装作業室、一時保管などに使う冷蔵庫や冷凍庫も最新のシステムを備えた設備が導入された。配送室から車両に積み込む流通コーナーも衛生面で最高のシステムを採用している。また、カッティングから包装、配送まで一連の作業は平面で流れ作業できるよう配置され、それぞれが専用スペースを設けている。すべての設備が現在の能力に比べて一挙に倍増され、自社検査システムも構築した。
建物は平屋建ての加工・流通スペースと一部二階建て部分には一階にコンピュータ受発注コーナーと入出荷などの現場事務所を配置し、二階に本社事務所が入る。現在の本社・流通センターは全面移転し、移転後は倉庫に転用して使う。
新しい食肉流通センターの建設では一括元請を三菱化学の子会社で、化学プラントのほか、食品、医薬などの流通等多くの分野のエンジニアリング・保全事業を展開している三菱化学エンジニアリング(株)(東京都、前原利彦社長)へ発注、建築関係を岡山を地盤に全国展開している(株)大本組(大本栄一社長)が施工した。冷蔵庫等の施設は、大型産業用冷凍機のトップメーカー、(株)前川製作所(東京都、島賀哲夫社長)が担当した。今回の総投資額は約十四億円を見込んでいる。
同社は、昭和三十五年、創業社長の中山伯男氏が、たった三頭の牛の肥育を始めたのが創業で、四年後には百頭に規模を拡大、四十五年に(株)中山畜産で会社設立、五十年には直営店を開店、五十一年に農事組合法人中山畜産農場を設立して生産体制を確立した。平成七年に現在の「なかやま牧場」に社名変更している。この間に事業規模は着実に拡大しており、直営のスーパーマーケット「ハート」店を福山市内に加茂、引野、新涯の三店舗、神辺町に新徳田、神辺駅前の二店舗、計五店舗を展開している。福山市加茂町北山に主力牧場、笠岡市茂平にも牧場を開設し、加茂で五千二百頭、笠岡で一千頭、合計五千三百頭を肥育しており、ことに加茂の牧場での肥育頭数は中国地方では最大規模、全国でも六番目の生産頭数を誇る。
同社から直営スーパーや卸売りされる牛肉は年間五千頭を枝肉、部分肉、パック肉などに加工しており、コンピュータ管理による肥育計画で三十人のスタッフが担当して育てている。BSE(狂牛病)問題では一時的に注文の減少や価格下落の被害を受けたが、子牛から直営牧場で肥育する、確立した生産体制で業界の評価も高まり、「なかやま牛」のブランド名は信頼のブランドとして定着している。最近では多くの商談があるが「新規のお取り引きの問い合わせが増えていますが、生産能力に限界がありますので新規の受注は申し訳ありませんがお断りしています」瀬良志郎管理部長談。
十月期では、売上高八十四億円、申告所得額一億六千五百八万四千円を計上、安定した収益を維持している。
県内最大のナシ産地として知られる世羅高原で、八月十九日から出荷が始まった。世羅郡世羅町本郷、世羅郡農協の選果場で、松山理人町長、農事組合法人世羅幸水農園の寺本稔組合長ら関係者が出席して初出荷セレモニーが行われた。
今年は好天が続いたことから平年より一週間ほど早い初出荷となった。糖度も十分で、大阪や広島など四市場への出荷が十月下旬まで続けられ、地元の直売場もオープンして観光客などで初日から賑わっている。
二大農園の世羅幸水農園と世羅大豊農園(上田隆三組合長)では統一ブランド「せらなし」で出荷しており今季も例年どおり約二千三百八十tの生産を見込んでいる。
国道184号沿いなど多くの直売場があり、地元では最大の直売場で、世羅高原ふれあいロード沿いのビルネ・ラーデンは、平屋建て約九百平方mの店舗に、ナシの直売場と試食コーナーがあり、初日からマイカーで訪れた観光客で約百二十台収容の駐車場も満席に近い盛況だった。店舗の一角には地方発送コーナーを設けており店を訪れた観光客が宅配を依頼していた。また、「梨の収穫オーナー制」の募集も行っている。一年間契約で幸水と豊水の二種類、幸水は三万円と三万五千円、三万円で収穫量の予想は約百六十玉、約百二十玉は保証される。収穫期間は八月二十五日から九月五日まで、期間中に来園できないオーナーには送料を負担すると宅配してくれる。豊水は四万円と四万五千円、四万円は収穫量約二百六十玉、最低保証量約百九十玉、九月二十日から三十日までの期間。
梨狩りは、八月二十四日から十月上旬まで、料金は中学生以上が一千円、四歳以上五百円、二十人以上の団体は一割引、午前九時から午後四時まで、一時間食べ放題。問い合わせ申し込みTEL(0847)25・0174=ビルネ・ラーデン。ビルネ・ラーデンは、ドイツ語で「梨の店」の意味。
「治安は深刻」。永年の暴力追放運動の功績から中国管区警察局長・中国管区内暴力追放運動推進センター協議会長連盟表彰を受賞することになった瀬戸内海運(有)(尾道市)の楠智幸社長にコメントを求めると喜びより危機感の方が強かった。
「日本はそのうち、危険視されて観光に行きたくない国になってしまう。新宿は本当にひどい。窃盗団が組織的に暗躍して、タクシーの運転手も夜の新宿には近づかない。窃盗団の多くは外国人グループ。日本人の感覚とは違って、スリや置き引きは無用心な方が悪いといった感覚。まじめな外国人のイメージを損なう犯罪者の入国が急増している。日本人の窃盗犯も増えている。刑務所は満杯になって捕まえても犯人を入れる場所がない。それなのに警察は予算がない。警察は政治家から敬遠される部門だから予算のとり方が下手。この辺で国民が真剣に考えないと大変なことになる。このままでは経済だけでなく、治安までも崩壊してしまう」と憂いはつきない。
そんな楠さんだが、暴力追放運動に取り組み始めたころは「金がかかるばかりでいいことないよ」と耳打ちする知人が多かった。確かに平和な時代で出費もあったが、憂国の士に迷いはなかった。治安は生命にかかわる最優先課題、しかも百年の計が問われる。権力の構図とは別の次元で経済再生プランの根幹にも組み込むべき課題だろう。
反面、楠さんは官僚の天下りとあきれた金銭感覚にも手厳しい。「六千万円前後の高額な退職金を早めにもらって公団などに天下りする。二年して退職すればまた二千万円を手にする。在職中にやることはじゃぶじゃぶ感覚の交流会。日当三万円付きで取引先百五十人を集め、昼食弁当に始まって酒付きの夕食会まで続く建設関係の公団が主催する交流会に招かれたこともあった」という。
「流石に日当は返したが弁当も夕食の料理も豪華この上なし。一体いくらの経費をかけたのか。自分たちで稼いだ金ではなく、税金でまかなっているからできること。多額の借金を抱えていても危機感がない。上からどさっと落ちてくる予算を端から当てにしている。国全体でどれほどのお金がそんな使われ方をしているのか」と話すうちに怒りはさらに高まっていく。「ようやくそうした金にメスが入り始めた」と最近の改革に話が行き着いたところで少し安堵感を取り戻した様子だった。
国民の多くが共鳴する話だが、実例を聞くとやはり意を強くする。国民が預けた税金だから民意に沿って使い方にメリハリをつけるべき。無駄は許されず、やらない怠慢も許されない。でないと借金を返す次世代の働く環境まで奪ってしまう。「使うな」と「使え」は両方正しい。
所用で大阪を歩いた。不況を象徴するような屋上看板の骨組みが目立った。それも大きなものばかり。まるで大阪は不況ですと広告しているような有様。近年は南関東VS近畿の完全失業率データもある。南関東五・六%に対して近畿六・五%。屋上看板に偽りはなかった。(J)