びんごトピックス  2002年10月10日号 
 
表紙写真


開業70周年記念のチョロQを発売した中国バス

中国バス(株)(福山市多治米町六丁目12-31、資本金二億九千四百四十六万六千円、濱岡康正社長)が開業七十周年を記念して製作したミニチュアバス「チョロQ」が十月一日から発売になった。
インターネットで八月末から予約を受けているオフィスやくも(http://www.yymail.ne.jp/yakumo/)の受注も好評で、発売を始めたノンステップバスに続き、十一月下旬にはボンネットバスも発売される。価格はともに一台六百五十円(税込)。通販のほか福山駅前乗車券窓口、各中国バス営業所でも販売している。
同社は昭和六年三月二十六日に芦品郡新市町で設立された新市自動車(株)を前身として開業。その後は現在の業界再編以上にめまぐるしい再編の歴史を重ねている。
開業から間もない同九年に甲奴郡上下町の合資会社ニコニコ自動車商会と合併、その後も近隣のバス路線を買収、同十六年に府中市の福神自動車(株)と合併したのを機に福山市内に本社を移転、翌年にはニコニコ自動車(株)に社名を変更したものの、戦争によりあわただしく、本社を府中市元町へ移転した。落ち着きを取り戻した昭和三十六年には福神バスを吸収合併、ニコニコバス(株)に社名を変更して福山から県北に至る県東部のバス路線基盤を確立している。
一方、大正十四年十一月一日に西尾道―石畦間に鉄道を開業、西尾道―尾道間を昭和八年三月二十八日に開通させ一七・一kmの鉄道路線を運営していた尾道鉄道(株)は、接続するバス路線を兼業しており、鉄道からバスに利用客がシフトする中で昭和三十九年八月に鉄道を廃止、バス運行会社となった。当時資本金八千万円だったニコニコバスは同四千万円だった尾道鉄道と四十五年二月に合併、社名も中国バスに改めた。
昭和四十八年十一月、本社を現在地の福山市多治米町に移し、平成二年十一月から現在の濱岡社長が采配を振るい、乗合バス百八十五両と貸切バス五十九両を所有、年間約七百八十万人を輸送している。
中でもここ数年は共同運行による高速バス事業に注力。福山地区と東京、横浜、大阪、京都、高松、今治・松山、高知、米子、博多の各方面を結び、広島と博多を結ぶ広福ライナーも持つ。県内では福山と広島(ローズライナー)、因島(シトラスライナー)、広島空港(リムジン)を高速バスで結び、広島とは甲奴(ピース)、因島(フラワー)、神辺(リード)、柚木(やまびこ)を結ぶライナーを持つ。
最近の福岡・小倉と福山・広島を結ぶ高速バスも好調で、八月は福山から夜行で福岡へ向かう便は平均で二十七人が乗車、九月も二十一人が乗車した。高速バスは平均乗車率十人以上が採算の目安で、同社も福山と福岡の交流の深さに驚いている。
同社は平成十四年三月期決算で売上高三十二億四千十八万二千円、利益八億五千八百九十四万一千円を計上しているが、売り上げは路線バス三十九%、高速バス四十二%、貸切バス十七%ほかの構成比、利益は不動産等の評価換えによるもの。
濱岡社長は「変遷を経た社史の重みを受け止め、時代に応じた高速バス事業をより強化したい」と都市間ネットワークに更なる意欲を燃やしている。


日工が高圧ホースの組み立てでISO9002

断熱材・パッキンガスケット加工販売の地場大手、日工(株)(尾道市東尾道9-1、資本金三千万円、阿形淳一社長)は九月一日付けでISO9002(一九九四年版)の認証を取得した。
認証の対象は本社で行っている高圧ホースの組み立て。平成十二年十月二十日に阿形社長のキックオフで取り組みが始まった。阿形社長は「認証取得が目的ではなく、顧客満足度を高める全社的な運動と位置付け、時間をかけて取り組んだ。コンサルからもらったマニュアルや書式は全て噛み砕いた当社仕様に変更でき、営業と工場の連携を含む検査体制の強化やスムーズなクレーム対応が可能になった。来年は最新版に書き換える」と話す。また「在庫の発注者がすぐ分かるため、不要な在庫が減少し、営業所ごとに散らばっていた在庫情報を顧客のために生かせるようになった」と効果を話す。
同社は主力の断熱材・パッキンガスケット加工や高圧ホースの組み立てを本社工場で行っており、営業エリアは大阪から北九州方面まで。幅広い業種の顧客に応じて材料を加工している。昨年はウォータージェットカッターを導入、グラスウールや木板、ゴム、スポンジなど柔軟素材も真っ直ぐに高精度で加工する技術も確立した。従業員数は七十人。年商は約三十億円規模。


体験レポート「しまなみ海道」

しまなみ海道が全通して三年五カ月が経過、全通に照準を合わせて完成した観光施設が大きく来場者を減らしている中、尾道港ターミナルのしまなみ海道レンタサイクル貸出台数は99年度(5月から)4533台、00年度5493台(前年比121%)、01年度5900台(同107%)、今年度に入っても各月の前年対比は平均で105%で推移している。もっとも瀬戸田、因島、向島のターミナルを合わせた広島県側合計は00年度前年比84%、01年度97%、今年度の各月前年比平均は95.5%と横ばいに近い右下がりとなっている。
残念ながら愛媛県側は前年比60〜70%の減少が続くが、広島県側の数字は「絶景の海を渡れる自転車ルート」が持つ観光ポテンシャルの高さをうかがわせる。両県全ターミナル合計3万4千8百6台(01年度実績)の数をたかが…と見るかどうか。観バスで通過する人の落とす金額と自力で立ち寄る人の落とす金額の比較や、リピーターとなる確立などいろいろ考え方はあるが、自転車観光客なら何十年も続く右上りを想像することは難しくない。しまなみ海道周辺地域地域振興協議会の運営するレンタサイクル事業が黒字となっていることも心強い。
そうした思いを背景に9月21日、体験レポートのため、尾道市内の阿形淳一(日工社長)、石井照章(いしい社長)両氏が企画した同好有志のしまなみ海道サイクリングに同行、今治から尾道まで休憩しながら九時間半のサイクリングを体験した。
尾道―今治間はマイカー、観光バス、船で何度か縦断していたが自転車による自力走行は別次元の初経験で、人生にポツンと印が残る思い出ともなった。
自転車で海を渡る環境の素晴らしさは世界に誇るべきという思いを強くしただけに、大きな課題も体感した。いっしょに走る人にも共通の体感はお尻の痛さ。特に広島県側で行政のお粗末さをヒシヒシと感じた。
自転車道とは名ばかりで車道より一段高い自転車道は駐車場や路地の前で低くなり、場所によってはらくだの背中状態。瀬戸田町もよく整備されているように見えるが、インターロッキング・ブロックの舗装では落第点、お尻の気持ちを代弁すれば「明らかに設計ミス。自転車に乗ったことのない人の仕事?」といったところ。未整備はなはだしい因島では近年になって歩道と兼ねた自転車道整備が少し進んだが、やはり見た目には美しいがデコボコのインターロッキング仕様。しまなみ海道にあこがれて自転車で来た観光客をがっかりさせているに違いない。
橋につぎ込んだ資金に比べ、残る自転車道整備に必要な費用はわずかと言える金額のはず。莫大な開発費をかけて世界に誇る新型自動車をつくったものの、人が乗るシートを付け忘れた感はゆがめない。スペックは素晴らしいが、乗る人の気持ちを置き去りにしたままでは、リピーターは望めない。自転車道整備の関係者の方にはぜひ自力での性能チェックをお願いしたい。
自転車道整備のほか、看板などの標識、ルートの見直し、上級者向けオプションルートの開発などまだまだ課題は多いが、最も実現しやすく需要な課題はインフォメーションの充実。地元サイクリング愛好者が全通時につくったお手製のガイドブックに近い情報の提供が望まれる。特に行政のPRは長所ばかりで、実用的な難度を解説した情報が乏しい。パンフレットに載っている高低表の充実、トイレ情報、体力に応じたモデルプランや変速段数など適切な自転車種類に関する情報、パンク対策など事前準備の参考情報、バスや船など他の交通機関と組み合せた楽しみ方などが重要で、ホームページなどで容易に提供できる。
「スカートとハイヒール姿で横断できると思って自転車を借りに来る人もいる」という例もあるほどイメージギャップがあるのも事実。自転車返却時の感想は「初めの登り坂を克服したらあとは高速道路と同じ平坦なルートだと思った」という勘違いが意外と多いと聞く。
今治市ではレンタル自転車の市内での乗り捨て可能拠点の充実も試みられ、出発点の糸山サイクリングターミナルには空気入れ、工具など自転車整備の無料サービスもある。
10月6日には二回目の「ツール・ド・しまなみ」も開かれた。今年は尾道市を出発してしまなみ海道を往復する約150キロのコースと県境を越えた多々羅しまなみ公園で折り返す約80キロのコースの二コースを設定、「スポレク広島2002」の種目として開催され、全国から自転車愛好者五百四十人の参加を集めてにぎわった。
スポーツレクリエーションは21世紀の観光スタイルでもある。車ほど急ぐ必要はない、自転車の速度で足元を固めながら整備を進めれば自転車愛好者の増加ペースに充分対応できる。自転車に限らずウォークもある。世界を視野に地域活性化を進められる貴重な財産が財政難から切り捨てられることがないよう今の時期こそ検証すべきだろう。参照ホームページ


ビッグマウスがIT事業の診察サービス開始

Iネット関連事業、デザイン制作などの(有)ビッグマウス(福山市手城町3-10-11-2階、資本金三百万円、杉本裕司社長、TEL084・973・2301)はこのほど、ホームページによる通信販売などIネットを事業に取り入れている地元企業を対象とした相談サービス「ふくやまホームページ病院」を始めた。
開設はしても更新できない、アクセス増の仕掛けが分からない、通信販売での売上げが伸びないなど実際の営業に生かしていない企業に対し、数十項目からなる同社独自の「カルテ」で診断、相当する費用で「治療」を行うサービス。例えばアクセスが伸びない場合は、現在主流の検索エンジン「グーグル」などで検索した場合三十位以内、トップページあるいはその近くに出てくるようにする「検索エンジントップ30」やデータ軽量化、アクセス解析、マーケティングやメールマガジン発行などが「治療」の内容。
同「病院」スタートキャンペーンとして検索エンジン最適化サービス「検索エンジントップ30」は、初期作業十五万円が無料となる成功報酬制。毎週一回同社がチェック、登録後二カ月間で上位三十位以内に入れば成功報酬として十万円、十位以内に入れば十五万円を請求するが、一度も入らなければ請求しない。既にこのサービスを手掛けた業者のサイトが常に上位をキープするなど、アクセス増、売り上げ増を実現、ビッグマウスのホームページ(アドレス=http://www.bigmouse.jp/)でも紹介している。杉本社長は「HPにお客さんが入って来やすい、商品を手に取りやすい、買いやすい体質に改善されるよう『治療』します」と話す。
またIネット関連に加え、販売する商品自体を、企画やデザインから見直す新商品開発サポートも展開。自社イメージのキャラクターとしてデザインした「はなねずみ」をプリントしたTシャツ販売が好調で、工業デザイン、CIデザインも提案する。第一弾の自社企画商品、人工呼吸補助用具「QQジョイント」も販売を開始した。プロスキューバダイバー資格も持つ同社長が、実体験からその有用性を確信。自動車事故や水難事故など人工呼吸が必要な場面で、組み立ての手間もいらず、マスクが顔にフィットするよう工夫、マウスピースを咥えて息を吹き込むため感染症も起こらない。水泳連盟やヨット連盟などから問い合わせがあるという。同社長は「将来的には車一台にQQジョイント一機がセットなるくらいの商品に成長させたい」と意気込みを話す。問い合わせは同社まで。



こぼれ話  2002年10月10日号

情報はただの時代だから 偏向のない情報で判断を

最近、新聞を読んで小気味良く感じるのは「○○首相は○○を指示した。これを受け、○○省は○○する検討に入った」というフレーズ。
景気が一向によくならない今の政策がいいか悪いかは別として、このフレーズには組織の形が当たり前になってきたと感じさせられる。リーダーの不在(船頭多くして船陸に上がる)が続き、光明の見えない日本だが、実情を見定めれば、明るい未来を見誤ることもない。
話は変わるが、麻生太郎自民党政調会長が八月に行った講演の講演録がおもしろかった。マスコミからの印象は決してよくない同氏だが、金融資産千四百兆円を持っているのは人口の五一%にあたる六十五歳以上の人、全人口の一八%の人が現預金の五割を持っている日本の現状を前提に興味深い実例を紹介している。金融資産の話はよく聞く内容だが、事例がおもしろい。
例に挙げたのは新進気鋭のドラッグストアー「マツモトキヨシ」。同社が渋谷に構える店で仕入れを企画するのは十七歳の女の子、観光バスでお年寄りが押し寄せるとげぬき地蔵で知られる巣鴨店の購買部長は七十五歳のおばあちゃん…と同社の松本知那会長(衆議院議員)から直接聞いた話を持ち出している。
トップの命令が末端まで瞬時に浸透する組織こそ理想だが、なかなか実現できない。逆に命令が通り易い組織は市場にもっと近い末端情報の吸い上げ方が硬直化する。船頭は一人でなくては船が座礁する。しかし多様化する価値観、市場ニーズを柔軟に吸い上げられる組織でなければ生きていけない。
麻生氏の講演では経営者の事例を織り交ぜながら、ニーズをつかむ権限委譲の仕組みを説いているようにも読めた。講演の骨子は、高齢者も喜んでお金を使える社会実現を目指し、投資減税を柱にした税制改革を行い、需要喚起を促す政策の提言にあった。この講演録は内外ニュース九月一日号に収録されていたもの。現在の世論はマスコミの影響が大きく、偏向報道によって世論がゆがめられることもしばしば。田中真紀子氏の実像も大臣就任前から内外ニュースは的確に指摘していた。また麻生氏の講演録を読むとマスコミの報道からの印象とも違ってくる。
内外ニュースは誤った世論に国運が危うくならないよう社会の木鐸として使命を果たすために立ち上がり今年で創業三十周年。広島県内では広島、東広島、尾道に各地懇談会があり、尾道懇談会(日暮兵士郎会長、丸善製薬(株)事務局TEL0848・44・2200)も年初と夏休みを除いて毎月例会を開き、各種の審議会や諮問委員会に参加するなど政治現場に近い講師を迎え、歪みの少ない情報をつかむ努力を重ねている。
経済はバブル崩壊後の底値を更新する株価が象徴するようにぎりぎりの節目を迎え、すべからく中小企業の経営にとって根幹にかかわる判断の連続が続くと思われる。だからこそマスコミにゆがめられた情報に踊らされると、大局を誤る。情報は活字情報も無料でも得られる時代になったからこそ、真実をつかむために投資が必要な時代でもある。(J)

このページのトップへ