米穀製造・卸の(株)オクモト(尾道市東尾道11-9、資本金三千八百万円、奥本浩之社長、TEL0848-20-3100)はISO9001の2000年版を取得、十月十八日付けで登録を済ませた。
認証機関は日本品質保証機構。認証内容は米穀の企画、製造及び販売並びに購入米穀の販売。米穀関係の企業でISO9001の2000年版を取得したのは全国三番目。昨年五月に奥本社長のキックオフで取り組み始め、社内体質の強化とともに業務のマニュアル化を進めた。
同社は明治十八年創業で年商三十億円の米穀専業の製造・卸企業。昨年七月からは廉価販売が進む小売り環境からの脱却を図り、売り上げ減を覚悟して高品質商品に特化する方針を推進。結果は取扱い量を下げたものの、単価アップにより売上高を維持、利益体質強化を実現した。その戦略上にISO9001取得を位置付けた。
米穀は精米から消費者が購入するまでの時間短縮がカギ。翌日に店頭に並べ、翌日には反応によって棚変えを行うスピーディかつ細やかな対応が廉価販売との差別化。同社は販売予測シュミレーションを充実させながら返品対策の効率アップも果たし、客観的な信頼が得られる食味鑑定士の資格も社員五人が持つ。
また、米の生産現場に踏み込むため、ひとめぼれ、こしひかり、あきたこまちなど生産者ブランドの契約栽培も進めており、宮内庁献上米として名高い江刺(岩手県北上市)では現地で精米、販売するライズみちのく販売(株)(社長同)を子会社に持つ。生産者の顔が見えるブランドとして菊地幸紀さんらが減農薬はもちろん、化学肥料も七割を減らすほど頑固にこだわって生産する国内最高水準の減農薬・有機生産米を「岩手・江刺の菊池さんたちがつくったひとめぼれ」として販売している。
こだわり商品はホテル日航東京、JALシティといった東京都内の高級レストランやホテルリゾートトラスト箱根、関西では厳選商品を扱うことで知られる(株)いかりスーパーなどからも支持されるなど、一流ブランドに育ちつつある。ライズみちのく販売(株)の年商は約六億円。
岩手県へ月一回のペースで出張する奥本社長だが、同社では独自に開発したインターネットを使った営業日報システムを持ち、スムーズな報連相(報告・連絡・相談)環境も整えている。
難病と戦う長女を持つ保健師の安部真理子さんが、芸術を通じて障害者の社会参加への土台作りを目指す小規模作業所「ぴあのぴあの」を三原市宮浦3-6-2に開設、同時にギャラリー「P2」も開設し、作品発表の場としての利用を呼びかけるともに、長女奈緒子さんの個展を開催している。
作業所の名称「ぴあのぴあの(piano piano)」は、イタリア語で「少しずつ」という意味。色や素材を使い自分を表現していく芸術活動を通じて、少しずつ社会参加に向けた未来地図を描いていって欲しいとの願いから命名した。建物は、自宅近くの旧池田胃腸科外科の施設を借り、一階に作業所とそのメンバーが運営するギャラリー「P2」を開設した。
市内外から重度障害者七人が通い、広島大学総合科学部非常勤講師で画家の小林文子氏が油絵などを指導する。作業スペース内の、画材などを入れる個人ロッカーには消灯台を、病院時代の受け付けカウンターは事務所の机に、カルテボックスは本棚に利用するなど病院時代の備品を最大限活かすと同時に、遊び心を大事にした室内に工夫した。またギャラリーのトイレは十二月に「芸術感覚あふれるトイレ」としてリニューアルする。
ギャラリーは七日間単位で受け付け、会場費は二万千円。総壁面数一六一七p、高さ二七〇p、床面積は四九平方mで、障害者による芸術作品のほか、広く市民に利用してもらいたいとしている。また個展などの際に必要なダイレクトメールのデザインなども請負う。現在ギャラリーでは開設記念として、安部さんの長女で筋ジストロフィーと戦う奈緒子さんの卵のから絵や草花の写生などを展示する個展「ABE NAOKO SOLO EXHIBITION」を開いている。三十日まで。
安部真理子さんによれば、「閉じられた空間」のイメージで捉えられることの多い作業所とは異なる「開かれた、かっこいい」作業所を目指したという。ギャラリーの運営には、受け付けなど来場者との直接のふれあいが業務の中心となることから、コミュニケーションによる自己表現の鍛錬の場にもなるとの狙いもある。
企業の中での障害者就労のありかたをつぶさに見てきた安部さんの目標は、障害者就労の準備段階をしっかりサポートできる体制を整えること。奈緒子さんにも勧めていた水泳、音楽、芸術など自分を表現することが、社会参加への第一歩と考えている。それらを推進する活動を行っている安部さんは「自分の思いを表現することができなければ、企業の面接でも通らない。地域で生きていくための作業所として市民のみなさんと障害者の交流の場に育てたい」と話している。問い合わせはTEL0848・67・1528
竹炭をまとった真っ黒い豆菓子が売れに売れている。「炭を食べる」という民間療法に着目してごく普通の豆菓子として売り出したのは明治二年創業の老舗、徳永製菓(株)(福山市胡町4-21、資本金三千万円、徳永隆茂社長、TEL084・922・2710)。
好評の豆菓子「竹炭豆」は煎った南京豆(落花生)を竹炭微粉末で衣状に包んだ製品で食感は普通の豆菓子とほぼ同じ。炭を食べる効用は有害物質を吸着して体外に出す、下痢を抑え、お腹の調子を整える、マイナスイオンを供給して活性酸素を抑えるなどが一般的に言われている。食べた人から「体調がよくなった」という礼状も届いているという。
豆菓子に炭を使うことに挑戦した同社は、法律・衛生面について厚生労働省や保健所などに問い合わせながら日本で初めて製品化、今春から食品としてまったく問題のない商品として販売を始めた。炭で衣状に包む技術は製法特許も出願中。
竹炭豆は百七十グラムで標準小売価格三百円。卸を通じて全国のスーパー、小売店で販売中。当初予想の三、四倍の生産量でも注文をさばけない状態が続いている。
同社はほかに減圧フライ製法で野菜、果物チップスや椎茸チップスなど豊富なビタミンと風味を兼ね備えた菓子を製造。小魚のきびなごを原料にした胚芽入りカルナゴなどユニークな商品を持つ。年商約八億円。
製品群は昨年七月に開設した同社ホームページ「おなかはんの店」(http://www.sky-net.or.jp/mametoku/)でも販売中。竹炭豆の好調につられて徐々に通販量も増加、最近は一日に数件の注文がくるようになっているという。
(有)中屋本舗(尾道市高須町4835-3、資本金五百五十万円、前田幸正社長、TEL0848・47・3070)は十一月二日、尾道の新しい観光として注目されている「尾道七佛めぐり」を題材に使った菓子「尾道・七佛めぐり」を商品化、販売を始めた。
「尾道七佛めぐり」は昨年十一月から始まった新しい尾道の観光スタイルで、参加する七カ寺を回りながら朱印帳に朱印を集める仕組み。七つの朱印が揃うと満願成就の記念として朱印帳を納める紙製掛軸がもらえる。旅行エージェントが観光商品に組み込む動きが出るなど、開始から一周年を迎え、新たな局面を迎えている。そんな中で参加する寺や参加者から参加土産になる菓子などの要望が高まり、同社が応えて商品化したのが「尾道・七佛めぐり」。
同商品はクリームを挟んだゴーフレットを日持ちするように一枚ずつ包装、朱印帳と同様に北前船に乗った七佛をデザインした紙製の専用箱に八枚を納めた。ゴーフレットの上部にも七佛の絵を描き、御利益を頂く発想で食べられる。販売価格は一箱六百円(税別)。
販売は同社各店、観光土産品協会売店のほか、日持ちするため七佛めぐりに参加する寺のうち販売窓口を持つ持光寺、千光寺、西国寺、浄土寺の四カ寺でも販売する予定。
また、同社は尾道近隣の酒類販売店二十二店が集まって地場酒造メーカーと共同で造った新ブランド純米酒「潮の響」を使ったカステラも商品化、同名の「潮の響」の名称で今年から販売している。六個入り一箱千円(税別)。
酒の「潮の響」はしまなみ地酒の会が昨年春に商品化、すっきりした味わいからファンを増やしている。菓子の「潮の響」は中屋本舗も準会員となってブランドを盛り上げる相乗効果を狙って開発。中屋本舗でも「潮の響」販売コーナーに酒瓶を飾ってPRする一方、会に参加する酒販店でも菓子の「潮の響」を販売している。
二十回目を迎えた神辺町の「かんなべウッドフェスティバル」は鬼が食べる料理を想定した大きなサイズのお好み焼きと鍋料理がイベントの目玉。直径三mもあるジャンボお好み焼きをつくって千人分を来場者に無料で振舞った。
巨大なお好み焼きをつくるイベントは同じ三日、大阪城公園でも行われ、直径八m、重さ一・六トンのお好み焼きが関連産業など四十五社二団体で構成する大プロジェクトチームの手によって見事に焼き上げられた。これはNHKのBS放送の番組「おーい、ニッポン〜今日はとことん大阪府」の中で天下の台所大阪を示すイベントとして取り組まれたもの。直径八mはざっと五千人分で世界一のお好み焼きとしてギネスブックへも申請するという。
大きなお好み焼きでギネスに挑戦するイベントはつい二カ月前の九月にも修道大学の学生らが高校生ボランティアを募って広島市内の袋町公園で行われているが、実はこれも神辺町商工会青年部が支援して実現したもの。直径三mあまりで天下の台所には及ばなかったが、味では引けを取らないできだったようだ。
ジャンボお好み焼きは神辺町が発祥の地。今年のウッドフェスティバルで焼かれたジャンボお好み焼きは十回目で、支援やPRで出張サービスしたものを含めると合計十四回の調理実績を持つ。昨年二月には東京ベイNKホール前で商工会青年部全国大会を盛り上げ、今年の広島大会をPRするために焼き上げられた。
年季の入ったお好み焼きは、回数を重ねるごとに要領よく焼き上げられるようになっており、味も一段と深みを増している。大きさを競う主旨ではなく、大阪に刺激されることなく、当面は直径三mで日本一の調理実績を誇ることになりそうだ。
そもそもジャンボお好み焼きをイベントの目玉にしたきっかけは、神辺に伝わる鬼伝説。町内の御領山には八丈岩があり、大きな大きなくぼみが残っている。その昔、御領山に住んでいた鬼の足跡と伝えられており、商工会青年部が伝説をアレンジして青鬼のゴンと赤鬼のハチが登場する物語を創作した。その鬼が食べる料理を創作したのがジャンボお好み焼きでジャンボ鬼鍋とのセットでイベントの目玉になった。
鬼といえば佐渡島。先月には佐渡島の新穂村(新潟県)で全国鬼サミットが開催され、鬼伝説を持つ十八カ所の地域から十三地域が参加、鬼を仲介役に交流を深めた。メンバーの神辺町商工会青年部も参加、再来年は同商工会青年部が主管することになっており、全国の鬼ファンが神辺町に集まることになっている。
鬼の文字を含む銘酒や銘菓は全国に多く、鬼サミットでは鬼銘柄の情報も集めて相互に情報交流を行っている。神辺町商工会青年部でも鬼キャラクターを生かし、地元の美の鶴酒造と天宝一の両酒造メーカーの賛同を得て純米吟醸酒の青鬼「権(ごん)」と赤鬼「八(はち)」を商品化している。
日本で最初に「鬼」の文字が出る書物は七三三年の「出雲風土記」。日本で千二百年以上の歴史を持つ「鬼」が再び神辺で残す大きな足跡に期待したい。(J)