びんごトピックス  2002年12月20日号 
 
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福山グランドホテルが来年1月の閉鎖決める

備後地区の老舗ホテルとして知られ皇族の宿泊先にも利用された福山グランドホテル(福山市西町2丁目7-1、小林嗣宜社長)が来年一月十六日を最後に閉館することが決まった。
十二月六日開かれた同社の臨時株主総会で正式に決まったもので、福山の代表的ホテルとして数々のドラマの舞台ともなったホテルが三十三年間の歴史を閉じる。
ホテル閉鎖について小林社長は記者会見で「平成五年三月期から赤字転落し、長期不況とデフレの影響、結婚式の減少などで売り上げも落ち込んでいた。さらに客室の稼働率も採算ラインの八〇%前後が六〇%程度で低迷するなど経営不振が続き、昨年の売上高十二億七百万円から今期は十二億円を割り込む予想で、昭和五十七年に増築した宴会場などのローズパレスの投資も重荷となった。今後も黒字転換へのめども立っていない」として経営続行を断念した。
同ホテルの土地建物は結婚式場や葬祭場を全国展開している日本セレモニー(山口県下関市)に十億円で売却しており、同社は建物を取り壊した後、チャペル形式の結婚式場を建設し、平成十六年オープンを予定している。
福山グランドホテルは昭和四十三年、地元財界有志が共同出資して設立、備後地方初の都市型ホテルとして誕生した。


尾道ラーメン「東珍康」がカップ麺で全国デビュー

尾道ラーメンの店「東珍康(トンチンカン)」(尾道市栗原町6023-5、砂村康治代表)の店名をメーンにしたカップラーメン「店主監修 尾道ラーメン 東珍康」が九日、近畿、中四国、九州のコンビニ「ローソン」で販売になった。
製造は「八ちゃんラーメン」で知られる(株)横山製麺工場(岡山県浅口郡里庄町)。凍結乾燥麺タイプで醤油味。価格は二百九十八円。ローソンとの共同企画のためローソン限定販売。来年一月二十日からは関東、東北方面でも発売される見込みで、出荷目標は二十万食以上。「東珍康」の名前とともに尾道ラーメンの知名度も一段とアップしそうだ。
試食した限りではかなり東珍康の味を再現しており、全国的な尾道ラーメンファンの増加につながるものと期待できる。カップのふたの裏には東珍康の住所とホームページアドレス(http://www.bes.ne.jp/10/tonchinkan)も記載されており、アクセス増も期待される。
同店は創業三十年のラーメンを中心にした中華料理の店。豚カツラーメンやスタミナラーメンなどラーメンメニューが豊富。尾道の湧き水を使ったラーメンは一杯四百五十円。
また、同店は十五年ほど前から店舗の味をそのまま味わえる尾道ラーメンセットを地方発送しており、歳暮や帰省の土産に人気を得ている。生麺と温めるだけの状態で容器に入れたスープ、ねぎ、シナチクとビッグサイズのチャーシューが載せるだけの状態でパックされている。一食四百七十円(送料別)。賞味期限は製造から冷蔵庫内で五日間。クール宅急便で送られる。
問い合わせはTEL0848・23・4537。午前十一時から深夜一時まで営業。木曜日定休。


ユーホー松永店を来年4月に全面改築オープン

ホームセンター「ユーホー」を展開しているユーホー(株)(福山市多治米町6丁目3-5、資本金九千六百万円、佐藤哲士社長)は、同市今津町7丁目8-5の国道二号沿いに開設している松永店を全面改築する。
計画によると同所にある二棟の店舗棟を取り壊して跡地に建設するもので、規模は、鉄骨造り平屋建て三千六百五十四平方mの新店舗。スケジュールでは、現在の二号館を来年一月から取り壊して二月に新築工事に着工し、四月二十五日オープンを目指す。なお、一号館は商品構成を統合して営業を続ける。
二号館跡への新築工事が完成すると現在の一、二号館合わせた売場面積のほぼ倍増となる三千三百平方mの大型店がオープンする。商品構成の充実と買い物客がゆったりと商品選びのできるスペースとワンフロアでの売場づくりが実現する。その後一号館も取り壊されて駐車場となる。収容能力は現在の約八十台から百十台に拡張される。新店舗がオープンすると年間売上高も十四億円達成を目標としている。
設計はT&P設計事務所、矢野建設産業(株)が施工する。総事業費は約二億八千万円を見込んでいる。
松永店は同社創業時の昭和五十五年二月オープンしており、その後二号間を増設した、営業歴二十二年の店舗。
同社は、昭和四十五年十二月設立のホームセンターチェーン。県東部を中心に松永、福山(奈良津町)、手城、本社事務所のある福山南、駅屋、瀬戸、市外で神辺、尾道、三原、三次、府中市の高木、因島、FCの上下、さる七月には御調郡向島町に向島店をオープンしている。今後は広島市周辺での展開が見込まれている。岡山県内では井原店と笠岡店が営業中で、県東部十四店舗、岡山県内二店舗の計十六店舗を展開している。
このほどまとめた平成十四年八月期決算では、売上高百六十四億二千三百五十五万五千円、申告所得額四億二千三百九十九万一千円、当期利益二億一千九百八十三万八千円の増収増益を達成している。



大和建設の環境事業部が磁力活水器販売

総合建設業の大和建設(株)(福山市若松町8-4、資本金三千万円、岡田利衛社長)ダイワ環境事業部(同所、TEL084・924・4461)が販売している磁気活水処理装置が好評、一般家庭用の簡易型から製鉄所や食品加工など工場向けの直結型まで各タイプの受注活動を活発化させている。
活水処理器は、岡山の環境関連企業(株)ビー・シー・オー(岡山市島田本町)が製造する「BCOハピネス」。水道の蛇口ではなく水道管に設置する。水道管をN極とS極の永久磁石で挟み込み、水道水を磁気処理するもの。磁気処理された水は、水の分子集団であるクラスターが細分化され、酸素を取り込みやすくなる、なめらかでまろやかな水になるなど水質が変化。飲用水として利用すれば、カルキ臭除去や新陳代謝の活発化、腸内微生物などの活動促進といった健康促進作用があるという。価格は家庭用の簡易型活水処理器が十六万八千円(工事費、税別)。フィルター交換などのメンテナンスの必要がなく、半永久的に使用できるという。
そのほか同処理器で処理された水の特徴として、風呂では湯垢が付きにくくなる、タイル目地などでのカビの発生が抑えられる、台所では排水口のヌメリが減少する、雑菌の繁殖を抑える、また配水管内の水垢、赤錆が減少するなど、住環境をとりまく水が変化することで様々なメリットがあるという。さらに排水中では、汚れの基準となるBOD(生物化学的酸素要求量)やCOD(化学的酸素要求量)値が減少、環境への配慮もなされている。
同様の磁気活水器が多数販売されているが、低磁力を均一に作用させる磁石配列が「BCOハピネス」の特徴。磁力は水の活性化に充分とされる千五百〜千七百ガウスと低く抑えている。必要以上の高磁力が人体に及ぼす影響に関して、まだ明らかになっていない部分もあることから、周囲に漏洩する磁場が弱く安全に使用できる点もPRしている。
また家庭用のほかにも配管を切断して設置する直結型の処理器もあり、事業所向けとしても多様な環境に対応。製鉄所や染色工場、食品加工工場などの工業用水の水質改善、廃水処理などにも使用されている。ダイワ環境事業部では「浄化作用や殺菌作用など水の持つ力を生かす処理ができる。地場の工場でも受注が増えており、引き続き営業を強化したい」としている。




こぼれ話  2002年12月20日号

営業戦略の道具に成長 急増のASPサービス

師走を迎え、あわただしいが、今年はADSLに代表される全国のDSL(デジタル高速通信)の動きもあわただしかった。利用者はサービス開始から二年間で五百万回線を突破、CATV等を含めたブロードバンド利用者も急増中で今後ますますの普及が予想される。総務省も過疎地や離島での超高速Iネット接続環境整備を目的に、広島県の進める光ファイバー網構築へ補助金交付(総事業費約九億円)を決定、快適なネット環境整備が加速する。
一般の普及以上に期待されるのは企業での活用。ホームページ開設とメール利用の段階から新たなIネット利用へあと一歩が踏み出せない企業も多いと思われるが、備後では営業戦略にIネット利用のアプリケーションを取り入れる企業がこの一年でかなり増えた。出先の情報もリアルタイムで集め、営業情報の管理や分析を効率的に行っている。
システムを開発した地場のASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)業者もユーザーを増やし急成長。メールマガジン・アンケートと組み合わせたEコマース構築など、目的に沿ったアプリケーションを月々数万円から利用できることから、販売代理店希望業者も各地から続々名乗りを上げている。
営業戦略に直結するアプリケーションを、契約期間だけ低価格で利用できるのがASPの特長。人事考査、営業支援、販売管理から総合業務まで様々な分野、あるいは各業種特化型のサービスが全国のASP業者により提供されている。生き残るための選択肢として地位を確立しつつあるASPサービスに今後も注目が集まりそうだ。(K)

ゴールデンリセッション 金色か灰色か混沌の一年

リサイクル祭をお手伝いする機会があった。担当したのは販売価格十円の衣料品コーナー。充分に使える衣料ばかりですぐに売り切れるかと思っていたらさにあらず。皆さん真剣な目で吟味を重ね、四畳ほどの山の中からこれはという逸品だけを求められる。山のような売れ残りはウエスとして処分されたと聞く。
豊さとは? 不況とは? 日本の消費者を目の当たりにして少々たじろいでしまった。経済通の方に言わせれば日本はゴールデンリセッションの中にあるという。不況という言葉が踊り、消費者は暗示にかかっている。飛行機に詰め掛ける日本人の多さに「さては海外脱出の始まりか?」と外国人が驚き、単なる旅行客という説明に「どこが不況?」とあきれる。今年、JTBが発表した年末年始の海外旅行客数は六十六万七千人に上る見通しで、一九六九年に調査を始めて以来、九六年に次ぐ二番目の高水準だという。
JR新幹線のレイルスターは平日まで満席の人気。これまた優雅な話だと思えば、裏事情は大手企業の営業拠点廃止による新幹線営業の急増が原因という。脱出に見えてバカンス。金色に輝く企業戦士に見えて実は灰色モードのビジネスマン。宝の山に見えてごみの山。低価格に見えて安物買いの銭失い。陰と陽の見定めが混沌とした二〇〇二年だったが、来年こそは暗示に惑わされず、金色に輝く年を願いたい。(J)

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