北前船の寄港以来、約三百年の伝統を守る尾道浜問屋協同組合(片岡文彰理事長=(株)カタオカ社長、四十五組合員)の恒例初市が六日、尾道市土堂2丁目の住吉神社境内で開かれ、威勢のいい競り声が響いた。
組合員らは初市に先立って神事を行い、組合員企業の永年勤続従業員を表彰、その後、境内に並べられたイリコ、ちりめん、するめ、昆布など約七十種類の海産物を前に、森川睦也・競り人(尾道塩干(株)専務)の掛け声で競りを始めた。
今年は価格を声に出して競う方法から紙に書いた価格を競り人に手渡す入札方式に変更。競り人の「まだまだ安い、もっと上はないか」といった声に再度、入札するやり取りで次々に取り引き価格を決定していった。出来高は全体で昨年より約五%多い二万八千三百キロ、いい商品を揃えたとあって同一四・四%増の四千六百三十五万八千円が競り落とされた。
以下は主要品の昨年の市況。
ちりめん▽上品二千五円〜三千円/キロ。全国的な不漁で相場は高騰。前年の二倍の相場で推移、一転して九月より漁が増えたが下落傾向ながら依然高値が続いている。
煮干(いりこ)▽上品千五百円〜二千五百円/キロ。四〜七月は長崎漁は前年並みで相場も前年並み。瀬戸内海漁はピーク時に迫る勢い。市況は全国的な不漁だかデフレの影響で安い物が売れている状況。
剣先するめ▽MサイズA品三千四百円、同B品三千百円。国内の八〇%がベトナム産だが、資源不足が懸念され、二〜三年のうちにも資源枯れかもしれない。
日高昆布▽二等二千三百円/キロ。釧路昆布▽二等千百円/キロ。利尻昆布▽二等三千六百円/キロ。歯舞、釧路棹前昆布については天候に恵まれ、操業日数が長く、予想通り大幅な増産だったが、日高、釧路成昆布(夏採走)は採取シーズンに予想したほどの資源がなかった。
片岡理事長は「昨年の前半はちりめんが全国的な不漁で相場が暴騰したが、後半は漁が増えて多少下落傾向となったものの依然高値で推移した。瀬戸内海は海砂の採取禁止、しまなみ海道の工事完了で魚が育つ環境改善が進んだため、子が生まれる環境が戻りつつある。全国的な不漁の中、瀬戸内海の豊漁は尾道浜問屋協同組合にとって追風となっている」と活況を喜んでいる。
牛乳、乳製品販売、卸しの高橋牛乳店(府中市篠根町619-7、高橋周平代表、TEL0847・41・3332)はこのほど、浅口郡里庄町の農場で作られ濃厚な味と高い栄養価で人気の牛乳「特選ドリーム牛乳」の販売を開始した。
「特選ドリーム牛乳」は、浅口郡里庄町浜中で三十頭のホルスタインを飼育している平井源二さんが製造している牛乳。高橋代表が同業者から平井さんを紹介してもらい、ドリーム牛乳の味の良さと平井さんの人柄に惚れ込み、販売の許可を得た。
平井さんが手作りの味を大事にしながら製造している牛乳の特徴は低温殺菌。摂氏百二十度で三秒間加熱殺菌する一般的な殺菌と違い、六十五度という低温で三十分間殺菌するため、タンパク質が分解せず、乳酸菌も生きたまま。タンパク質のほかカルシウムやリンも多く含まれるため、味も栄養分も生乳に近いという。賞味期限は五日間と短いが、高橋代表は「牛乳は腐るのが当たり前」という平井さんの一言に納得したという。高橋代表自身もドリーム牛乳を愛飲しており「飲み慣れれば飲み慣れるほど、ほかの牛乳との違いがはっきりします」と話す。
また愛飲者から「アトピーが良くなった」などの声も寄せられていることから「消費者の健康志向の高まりに合わせ積極的にPRできる」と自信を話す。
同店では牛乳のほかにシュークリームなどのデザート類、クロレラや黒酢などの健康食品も販売。家庭の主婦を対象に訪問、試飲してもらう営業活動が主となるため、女性の営業社員の雇用を計画している。さらに牛乳の紹介と健康に関する情報を中心としたちらしも製作中。ポスティングで商品の良さをPRしながら、年内百件の新規宅配先獲得を目標に、府中市内と御調郡御調町を中心に営業を展開していく。
船舶舷梯装置メーカーの(株)共立機械製作所(三原市皆実町4丁目1-45、資本金2千万円、池内義治社長)葉、大阪市の政府系ベンチャーキャピタルの大阪中小企業投資育成から2千5百万円の出資を受けた。
またこのほどアルミ合金の表面処理を行う新事業部「ミタニライト事業部」を開設、アルミダイカストなどに施す高性能皮膜「タフコート」と、タフコートに銀イオンを電解含浸した新しい皮膜「メタルコート」を商品化した。
「タフコート」は、陽極酸化皮膜と合成樹脂による複合膜を、同社で製造する船用アルミ窓枠や扉に施していた特殊なアルマイト加工。アルミダイカストなどの面精度を変えることなく均一な皮膜で覆うことができる。穴があいたり裂けたりといった劣化も少なく、対蝕、耐薬性に優れるのが特徴。また硬質アルマイトを上回る硬度を持ち、耐熱性、絶縁性にも富む。一般機械や精密機械、油圧、空圧機器のシリンダー部品やベアリング部品などの加工を見込んでいる。
「メタルコート」は、タフコートの機能と銀イオンによる抗菌効果を併せ持つ。メタルコートは絶縁に優れるタフコートと逆で導電性に優れる。また均一な皮膜による高い面精度と潤滑性により加工表面の摩擦係数が低く、静電気の発生が抑えられることから、半導体製造ラインなどの静電流破壊防止対策機器にも使用できる。さらに熱伝導性や、従来の硬質アルマイトを上回る硬度をもち耐磨耗性、耐蝕性にも富む。
また銀イオンを含む特殊な電解液で処理することから抗菌効果もあり、食品加工用機械部品や医薬品・化粧品製造機器、医療用機器など幅広い製品に利用できる。三十種類を超えるアルミ合金に対応でき、皮膜の厚さも三〜五ミクロン、十〜三十ミクロン、百五十〜二百ミクロンまで段階的に自由に設定できるが、二百ミクロンを超える皮膜の技術は同社にしかないという。
同社では、船用窓枠のほか各種機械部品、鍋やかまなどの食器、ファスナーなどをメタルコートで加工した試作品でPR、既に引合いもある。両加工とも染色が可能で、黒、灰から黄、青など白色以外を発色できる。同事業部では「提案できる分野が広い。将来的には売り上げの半分を占める事業に成長させたい」と話している。問い合わせはTEL0848・63・3456
昨年夏から本社敷地内でアルマイト加工の新工場を稼働、従来の三倍の製造能力となり、実質的に受注できる体制を整えた。昨年十二月にはホームページも開設(アドレス=http://kyoritsu.kyoritsu-kikai.co.jp/)、製品などを紹介している。
昨年末の十二月二十九日、いよいよ尾道市内の観光エリアで尾道ケータイ観光ナビ「どこでも博物館」http://www.onomichi.ne.jp/~navi/が稼動を始めた。世界初の冠も耳にするこのシステムが持つ可能性とは一体どんな内容なのか。世界に先駆けて導入したまちがなすべき課題とは何なのか。可能性で終わらせず、着実に現実のものとするため、提案者の竹村真一教授をはじめとする関係者にお集まりいただき、具体的な方策を話し合っていただいた。
出席者は○竹村真一氏(東北芸術工科大学教/人間学・情報環境論)、○徳永修氏(尾道ニュービジネス懇話会委員=尾道冷凍工業(株)専務取締役)、○岡田豊明氏(尾道市産業文化振興部観光文化課課長補佐兼観光振興係長)、○松永文男氏((株)NTTドコモ中国福山支店営業企画担当課長)の四氏。司会は二宮仁((有)備後レポート社社長)。
■魔法のメガネ
司会=あけましておめでとうございます。早速ですが、まず「どこでも博物館」とはどんな仕組みなのか。提案者でもある竹村さんに概要をお願いします。
竹村=何もガイドブックを持たない観光客が、おもむろにポケットから携帯電話を取り出し、観光現場で見つけた目印の石のふくろうに表示されている3ケタの番号を入力したとします。すると、その場所に関係した様々な情報が簡単に手に入れられるんです。例えば、志賀直哉が上り下りした坂道だとか、北前船で酢を運ぶときに使った瓶で造られた壁など、文化財の宝庫である尾道は江戸時代をはじめ歴史が散らばった博物館のようで、数十mで文化財と出会い、その場所の情報がドンドン見えてくるシステムが「どこでも博物館」なんです。まちづくりの観点から言えば、そんな説明文の全部が立て看板だと野暮ですよね。見えない立て看板が林立し、魔法のメガネを使うと読める仕組みです。なぜこんなことと言えば、日本は世界一の携帯大国で、iモードなどインターネット端末の進歩した国です。しかし利用方法といえるユースウエアの進歩は大きく遅れており、画一的なサービスに止まっています。ユビキタス社会は情報が偏在しており、どこからでも情報とが取れる時代を意味しますが、果たしてそうなっているかどうかと言えば、まだまだですよね。じゃあそれを可能にしようと、まず尾道で世界で初めて番号を選ぶだけでできる、ユビキタス時代の携帯端末の使い方を提案したわけです。歌舞伎観劇を想像してもらえればよくわかります。イヤホンガイドを使うと初めての人にも見えてくるものが多いですね。イヤホンガイドのようなものがあれば、尾道は誰もが眠っているものと出会えるまちになると思います。
■尾道で世界初
司会=それほど画期的なシステムがなぜ尾道だったんでしょうか。
竹村=尾道は私の母の出身地でもありす。幼い頃、尾道水道を渡る渡船から眺めた風景が私の原風景でもあります。具体的には尾道ニュービジネス懇話会でご縁をいただき、ユビキタス社会を前提に新しいビジネスにつながることを講演でお話ししました。各地の講演で同じ話をしておりますが、「よしやろう」という人がいて、名乗りをあげてくれたまちが尾道だったわけです。
司会=それでは尾道ニュービジネス懇話会委員の徳永さん、もう少し経緯をお願いします。
徳永=竹村さんには何回かシリーズで講演をしていただき、その中でご提案をいただきました。実際にその提案を取り上げたのは尾道商工会議所で、創立百十周年の記念事業として予算を組み、市に寄贈したわけです。頭の固い人だったら記念事業は箱物になりがちですが、ソフトに投資された尾道の人の懐の深さと特異性に感心しています。
■導入環境の現況
司会=「どこでも博物館」の具体的な進行状況はいかがですか。
徳永=石のふくろうを置いて行く作業が始まり、年末には五十か所前後で実際にアクセスできると聞いています。これからふくろうがどんどん増殖し、進化すると思います。
竹村=なぜふくろうと思われるでしょうが、世界の多くで空から知恵をもたらす神様のシンボルがふくろうです。尾道には石工の歴史もあります。目印の石のふくろうも色々と表情が違い、見て歩くだけでもおもしろいと思いますね。
司会=「尾道観光は石のふくろうを探せ」ということですが、携帯電話を持っていることが前提になります。業界を代表してNTTドコモ中国福山支店の松永さん、具体的な現状はどうなんでしょうか。
松永=各メーカーを合わせて全国で約七千八百万台の携帯電話が利用されています。この地域でも五〇%以上の方、つまり二人に一人ぐらいの方が持っているんじゃないでしょうか。関連業界の者としても尾道で始まった「どこでも博物館」には手軽に情報入手できる利用方法の広がりとして今後に期待しています。
司会=半分ぐらいの方ということはグループの場合は誰かが必ず持っているという現況かも知れません。では尾道市の岡田さん、尾道観光の現況はどうなんでしょうか。
岡田=入り込み観光客数は平成十三年の数字で二百三十五万人。しまなみ海道が開通した十一年で三百三十万人です。しまなみ効果が薄れて観光客数は激減しており、新しい観光資源を考えいるところに会議所さんからこのシステムを寄贈いただきました。どう生かすかが課題ですが、尾道市は世界遺産登録に向けた取り組みを始めており、古いものを残す、景観を守る、そうした動きにぴったりのシステムだと喜んでいます。どこでも観光情報が取れるまちですよ、と全国にPRをしていきたいものです。
■おもてなし支援
司会=二百三十五万人の半分の人が対象となりそうですが、市内ではシルバー観光ガイドの方もがんばっておられます。
岡田=シルバー観光ガイドの方や観光ボランティアガイドの方がおられます。尾道は迷路のようで、迷子になるのも観光の一つですが、このシステムにある自己中マップを使えば、迷子にならずに済みます。尾道観光は温かいふれあいが大切でおもてなしの心も観光ガイドとして残したい。うまく結びつけたいですね。
竹村=その点はぜひ強調しておきたいですね。器械では冷たいと感じる人もおられます。しかしこのシステムは温かさを求めています。森を歩くとき、学者といっしょに説明を受けながらだと森の解像度があがりますよね。メガネを掛けるとパーと見える感じです。見慣れたところも情報が加わるとおもしろくなります。先の歌舞伎の例でもそうですが、ガイドは解像度を上げます。でもいつでもガイドと歩くわけにはいきません。携帯ナビで「この先に詳しい人がいる」といった書き方もあるでしょう。人と接触する情報を提供することもでき、人手が回らないところを支援し、ふれあいの呼び水ともなります。
司会=情報不足や看板不足に不満を感じる観光地もあります。それを補うわけですね。
徳永=情報を持つと臨場感が違ってきます。同じ場所が生きてきます。お寺で住職に話を聞くとものすごく違うのと同じで、携帯で打てば響く情報が得られ、感動的でヒューマンな関係のきっかけになれば、これはやっぱり革命的ですね。
■観光のあり方
司会=時代の流れでいろいろなことが変わってきています。観光も変わってきていますが、ご自身が体感されている観光をお話しください。
松永=宿泊先や観光ポイントなど行ってみたいところの情報をチェックにインターネットは便利です。東京の人が居ながら尾道を覗くこともできます。そうした場合、サイトの存在感を尾道発として全国に周知することが課題になります。ドコモでバックアップできることもあると思います。
岡田=インターネットでチケットが取れる時代です。でも情報は実際に行って受け取れる情報とは質が違います。やはり旅行は実際に行くものだと思います。
司会=風や匂いなどはネットなどの情報では経験できませんね。
竹村=私は現場主義なんです。現場体験を大事にしたいので、そのサポートをITで支援しようという考えです。東京にもどって友だちに見せたり、行く前に調べられたりできることも支援です。立て看板は書き換えが大変ですが、いつでも更新できることは電子メディアの大きなメリット。双方向性の面では「気持ち通貨」という機能があります。ここはという場所でハートマークを押すとハートマークが大きくなり、どうってことない道のハートマークがやたら大きくなったりします。外の人が見た目から自分達のまちを見直すきっかけにもなります。また情報が活発に動けば、うちも情報を出したいと手を挙げる人が出てくる。マスメディアでは取り上げられない小さな光る情報を吸い上げられる。
■運営の課題
司会=メリットはわかりましたが言うは易し。実際の運営には課題もありそうですが…。
竹村=掲示板があります。「この坂道について私しか知らない」という情報を自分で書き込めうる仕組みです。ちゃんとした情報は公共の仕組みでつくることが必要です。
岡田=昨年末で石のふくろうは約五十個です。一月から増やして年度末には二百から三百か所ぐらいには増やしたいですね。また今月中には運営協議会を組織し、色々な方の知恵を集めたいと計画中です。
司会=協議会の性格は?
徳永=NPOのようなものが必要になってくると思います。お金の絡まないものは市で可能です。しかしサイバー商店街の構想もあります。お金になる文化情報を構築する必要があり、協議会で進めたい。
司会=通販や土産販売の支援も活性化には重要です。一方、悪口のような情報の管理はどうでしょうか?
岡田=倫理委員会のような仕組みも必要だと考えています。
司会=良い面、悪い面が現象として見え、練れて行くことで本物になると思います。迷惑メールも対策によってなくなりました。
松永=いろいろな人が反応してくれることはいいこと。歴史、文化の集まる尾道に興味を持つ人が一層増えれば、いい悪いも出てくる。携帯電話の業界ではワン切りの問題も対策で解決できました。
■連歌の場所を観光
司会=尾道の人が尾道を知るシステムにもなりそうです。
徳永=例えば浄土寺では多宝塔にも本堂にも3ケタの番号が設置されています。同じ境内にたくさんあるんです。自分が興味を持つ場所にあると言ってもいいでしょう。掲示板には俳句もあるんです。
竹村=しまなみ連携から、松山市長も携帯ナビに興味をもたれています。松山は俳句の殿堂。その場所で浮かんだ俳句を登録し、連歌のように他の人がその俳句に続く俳句を登録する。日本には春日山など場所に俳句を張り付ける伝統があります。話は変わりますが、一冊の本に情報を集めると便利ですが、情報が集まり過ぎると非効率になります。全部読めませんし、ページをめくる手間も大変です。情報集中から分散化の流れにあり、ユビキタスという流れの中、分散した場所に情報を偏在させる、どこでも博物館は未来を先取りしたシステムでもあります。
ある種の情報を机に集めたとします。その机に座ればその種の仕事が効率的です。机を変えれば別の仕事が効率的。全部一つの場所に集めると非効率になるんですね。
■ユビキタス社会の先駆け
司会=尾道に行けば林芙美子。細かく言えば、林芙美子の銅像の前に行けば情報がたっぷり入る社会。
竹村=東京に居ても尾道という場所の名前で林芙美子がわかる。
徳永=これからは動画だって使えますね。
竹村=東京でも京都でもこのシステムをやってみようという動きがあります。全世界がまねしてくれるといい。新しい情報の効率化で、未来のスタンダードは尾道で始まったと言えるようになればいい。もともと地球博物館の発想でやっており、尾道から始まり、いずれは地球博物館へつながる位置付けです。
■尾道の人の課題
司会=トップランナーとしてやらなければいけないことが尾道の人にもあるようですね。
岡田=マスコミなどPRに努めることも大事です。しかしまず尾道市民の人に知っていただきたい。どこでも博物館を使えば、自宅でも郷里を勉強できますね。専用のパンフレットも作成しました。ふくろうのいる場所を書いた地図と使い方の説明が内容で、市内の観光案内所、ホテル・旅館で無料配布します。
竹村=観光客ばかりが対象のようですが、地元の人が地元のことを知らない。新興住宅街、若いファミリーは特に知らないでしょう。若い世代にもこのシステムで尾道の語り部になって欲しいですね。
司会=宝物のようなサイトということですが、ではアドレスにたどり着く方法はどうでしょう。
松永=ドコモのiモードには企画を審査してメニューリストに加えることが可能です。またエリア限定の情報、iエリアもあります。歴史や文化を紹介する情報は適していると思います。
竹村=携帯電話に差すだけで自動的にどこでも博物館のアドレスにつながる、便利なサイトスティックもあります。
■今後への期待
司会=世界初のシステムとして視察のような観光も増えそうです。今後の期待をお願いします。
徳永=中身のおもしろさに注目したいですね。尾道の奥深さは京都や奈良にも引けを取りません。面白さの充実がカギですが、必ずできるまちだと思います。
岡田=尾道大学の協力も貢献しています。石のふくろうの製作や尾道キャラクターの発見など、若い感覚も取り込むことができそうで、今後が期待できます。
竹村=大上段に構えれば、五百年、千年に一度の革命です。情報分野の革命的変化はアレキサンドリアにできた世界初の図書館、グーテンベルグの印刷機と続きました。図書館や教会に行くのは劇場型メディアと呼ばれ、印刷物によるメディアに移り、ネットワーク型メディアに移ってきました。三段階のメディアの変化ですが、どこでも博物館は学問的には大きなながれの変化を先取りしています。尾道から始まったと世界の歴史家が評価するときがくるものと信じています。
司会=ほっとするまちが尾道で、自分のリズムで情報を取れるシステムがどこでも博物館のいいところかも知れません。言い換えれば、みんなで作るその人だけの博物館とも言えるんじゃないでしょうか。そんなシステムを共有するための条件が市民参加であり、自分たちで尾道を知るきっかけにする盛り上がりだろうと思えます。歴史に尾道の名前が残るよう皆さんの健闘を祈りたいものです。本日は新年早々ありがとうございました。
「牛に引かれて善光寺参り」ではないが子どもに引かれて「ゴジラ対メカゴジラ」の映画を観た。これがなかなかの感動ものだった。
日本を攻撃するゴジラから防衛するため、首相がメカゴジラの開発を許可する。最初の戦いで制御不能になったメカゴジラはエネルギーが切れるまで東京のまちを自らメチャメチャにしてしまう。責任を一身に負うことになった首相。日本を救うために全身全霊で改良に努めるスタッフ。その様子からメカゴジラの再度の出動を直訴する隊長。「全責任は私が負う。メカゴジラ出動!」と叫んだ首相。ゴジラとの自爆覚悟で海に突っ込んだ女性の操縦隊員。涙なくして結末はとても語れない…。
世界はデフレという巨大な怪物に翻弄されている。ゴジラをデフレに見立てると、日本に自らの責任で決断できる本物のリーダーを渇望したくもなる。優秀なスタッフは充分にいる。メカゴジラはさしずめ経済政策。日本独自の技術を引っさげて伸び伸びと世界へ出撃できる基盤整備が急務となっている。
新年互礼会はあちこちでゴジラの驚異を語るばかり、メカゴジラの設計図が見えてこない。これでは日本を支える中小企業家や若者すらも新境地を求めて日本脱出を考えたくなるのも当然だろう。
しかしいつの時代も苦境を救うのは希望という人の心に備わった力だろう。メチャメチャに壊れそうな日本経済だが、どんな苦境も崇高な理念に基づくほんの数人のエネルギーの爆発によって明るい希望がパーっと全体を包み込むもの。楽観主義ではないが、必ずある。
「ゴジラ対メカゴジラ」の映画に感心した点はもう一つ。映画づくりに求められる知恵がこれまでのゴジラ作品に比べ、よりたくさん詰め込まれた感がある。映画は素人だから的確なことは言えないが、ストーリー、映像技術、音楽など各分野でアメニティー性が数段高まったように思えた。これには訳がある。数年前の作品だがアメリカで作られた「ゴジラ2000」を観たことがあるからだ。
邦画の傑作「ゴジラ」をテーマにアメリカの技術陣が製作した「ゴジラ2000」も素晴らしかった。日本製ゴジラは登場しないが、大トカゲが放射能の影響で巨大化したという設定は同じ。ニューヨークのまちで大暴れするゴジラをそれぞれ目的の違う者同士が人間愛でつながりやっつける。さすがアメリカ映画とうならされた。
しかし、今回の「ゴジラ対メカゴジラ」は作品の出来として引けを取らない。推測でしかないが、アメリカ映画の「ゴジラ」にしてやられた日本の「ゴジラ」。それを感じた日本のゴジラスタッフが奮起したのではないか。ドル箱作品として大事にし過ぎたあまり、製作スタッフが固定化し、踏み出せない壁を自作していたのではないか。それを自覚して自ら壁を壊した作品が、今回の「ゴジラ対メカゴジラ」だと思えてならない。壊すべきものは壊すべき。第二ラウンドで勝てばいい。推測の域を出ないが、やればできる日本の底力に新年早々心底感動した。(J)