福山市(三好章市長)は、同市東桜町、JR福山駅南側の「繊維ビル」再開発について年度内に都市計画決定する方針を固めた。再開発事業を進める福山センイビル再開発協議会(寺田雅則理事長)も五月に再開発組合設立を目指して準備を進めている。
市によれば、地元の合意と施設の公共性が、再開発事業に都市計画決定となる要件。これまで地権者の七五%の同意を得ている再開発協議会の活動と、公共的な施設として市民が利用するためには防火、防災設備の整備を進める必要があることから、都市計画決定への方針を固めたもの。
今月下旬にも都市計画審議会で協議、県の同意を得て三月中に都市計画決定、それを受け再開発協議会は国、県、市から補助金を得て事業を本格化。五月には事業主体となる「東桜町地区市街地再開発組合(仮称)」を設立、平成十七年の着工、同十九年春のオープンを目指す。総事業費約百六十億円を見込む。
計画されている再開発ビル「さくらまちガーデンテラス(仮称)」は、地下一階、地上二十三階建てで延床面積四万三千八百平方m。飲食、服飾などの店舗が入居する商業施設は一千七百平方m、オフィスなどが入居するスペース五千二百平方m、分譲マンション約百三十戸一万五千平方m。駐車場は約百二十台収容可能な機械式と、三百六十台収容可能な自走式で一千九百平方m。同協議会ホームページ(アドレス=http://www.hiroshima-cdas.or.jp/seni/index.html)でも紹介している。
個人事業として好実績を上げている「なかがわ不動産」(三原市本町2丁目10-16、TEL0848・64・8237)の中川初雄代表はこのほど、事業を株式会社として法人化させるに当たり、当地域では極めて珍しい株主公募を始めた。
募集する株主は。事業に賛同してもらえる人で、一人十万円以上で百万円までの出資者。計画する授権資本は五千万円で、うまく集まれば半額程度を公募とする。五〜八%の好配当を目指す。
すでに縁故関係以外に出資してくれる税理士、司法書士、医師、銀行マン、同業者など七人(合計七百五十万円)から内諾を得ており、三月か四月をメドに法人設立を行いたいとしている。
なかがわ不動産は三原、尾道、福山、府中方面を地盤に競売物件など不良債権の整理過程で出てくる不動産物件を主に取り引き。今後も不況で停滞する経済を底辺で活性化させる不良債権整理に特化した事業(地方版ミニRCC)を目指し、将来は不動産の証券化ビジネスに発展させる意欲を持つ。
なかがわ不動産の業績は平成十一年売上高八千九百万円、利益千六百万円、同じく十二年一億四千四百万円で千三百万円、同じく十三年一億五千八百万円で千四百万円。十四年も前年並みの予想。法人化によって社会的信用と知名度を上げ、人材、時間、資金、情報にゆとりを持たせ、事業計画の実現を目指す。
中川初雄代表は昭和十七年三月四日生まれの六十歳。三原高校から広島商科大学(現修道大)を経て同四十年三原信用金庫(現しまなみ信用金庫)入庫、関連企業の(株)三信の取締役を経験後、退庫、平成十一年六月になかがわ不動産を創業した。現在は宅建主任者、不動産コンサツタント、マンション管理業務主任者、行政書士などの資格を持ち、昨年は(社)全日本不動産協会広島県本部の理事として研修会などを行う事業委員長を担当した。三原中央ライオンズクラブ所属。
中川代表は「外部の方に監視してもらうことで経営の緊張感を持続させたい」と株主公募に踏み切った動機を話している。
ゴルフ用品など開発、販売の(有)フルブル(府中市府中町142、資本金三百万円、竹岡規行社長、TEL0847・41・7776)は、スウィートスポットを拡大したオリジナルパター「BULU」の廉価版「BULUU」などHPで販売する商品を拡充している。
同社が三年前に開発したオリジナルパター「BULU」(特許出願中)は、パターヘッドの接合部分を二股にすることで、スウィートスポットを拡大したもの。ブルドーザーにヒントを得た構造を持つことから「BULU」と命名。二股の幅五四mmがスウィートスポットとなり、パットの方向性、力の配分がスムーズと好評だったが、製造単価を落とせずこれまで五万千円で販売していた。「BULUU」は低価格化に成功、真鍮削り出しのヘッド部分三一〇gを含めて総重量四八〇g、消費税込み一万八千円で販売している。このほど同社ホームページ(アドレスhttp://www.idea-bulu.co.jp/)にも商品をアップ、そのほかの同社開発製品などのプレゼント企画で実際の利用者を増やしながら、口コミによる販売増を見込む。竹岡規行社長は「世界に羽ばたく可能性もある商品。実際に試打してもらえれば、フィーリングの良さを実感していただけます」と話している。
また同社の製品で、ホームページで販売するオリジナルゴルフググローブ「Power Up Glove」も人気で、コンスタントに出荷している。中指、薬指、小指の三本を、滑り止め加工されたシールで張り合わせ、グリップとの密着感を高めることでグリップ力を強化できるのが特徴。方向性や飛距離のアップを望めるグローブとして、特に女性や力の弱い人らに好評という。色は黒と白の二種類で、サイズは二〇〜二六cmまでの七種類、価格は消費税込で二千三百円。意匠登録済み。
ホームページではパター、ウッド、アイアンそれぞれのオリジナルカバーやオーダーメイドグローブ、府中家具の廃材を使った携帯式パター練習器具「キャッチキャリー」など、ゴルフ関連商品を紹介している。同社長は十程前のアイデア爪切りをきっかけに発明に凝り始め、特に趣味のゴルフに関する商品開発に力を入れ「BULU」を開発、三人の仲間と平成十二年に(有)フルブルを設立した。生活用品でもまっすぐ切れるハサミやストッパーつきペーパーナイフなど部品点数が少なくかつ生活に役立つ発明が多数あり、今後も試作品の完成度を高めながら商品化していく。
イオン系の食品スーパー、マックスバリュ西日本(株)(姫路市北条口4-4、福原英典社長)は、芦品郡新市町戸手662、アパレルメーカーハチダイヤ(株)の本社跡に、ホームセンターを併設した新市ショッピングタウンの建設を決め、敷地内の建物の取り壊し作業を終え、造成工事を急いでいる。七月オープンに向けて準備が進んでいる。
計画では同所の約二万二千平方mの用地に、鉄骨造り平屋建て二棟、延べ面積約七千三百平方mの店舗を建設、売場面積は約六千三百三十平方m、マックスバリュが約二千平方m、ホームセンターナフコが約四千四百平方mで営業する。両店の初年度売上高はマックスバリュ約十八億円、ナフコ約十億円を見込んでいる。
マックスバリュは兵庫を主に広島、山口、岡山四県内に多店化しており、県東部では福山市、世羅町などに複合型ショッピングセンターを開店しており、年中無休、二十四時間営業店を拡大している。平成十五年二月期は売上高千七百二十億円、経常利益四十八億円を予想している。昨年末の店舗数は百二十九店。
(株)ナフコ(北九州市小倉北区、深町勝義社長)は、西日本をエリアに平成十四年二月期末で百五十二店舗を展開、年商千六百五十億円。今三月期末は百六十店舗、千八百億円を予想している。県東部では竹原市、尾道市、福山市に三店舗を開設している。今回の新市店、世羅町に新店舗の計画を進めている。
新市ショッピングセンターの用地を賃貸するハチダイヤ(株)(新市町、林吉宏社長)は、旧本社近くに移転している。同社は国内での製造から撤退して、製造は中国での海外生産に転換、商品開発、企画に専念し、営業拠点は東京、大阪支店に移す計画。
校長を全国公募していた尾道市立土堂小学校(在校児童六十六人)の校長にあの陰山英男(かげやまひでお、44歳)さんが内定した。
陰山さんは「本当の学力をつける本」(文藝春秋)、「陰山メソッド百ます計算」(小学館)などを出版しており、教諭として実践しながら全国ベストセラーを生み出している教育界の著名人。国を憂う教育界にあって、全国版の注目度をもち「あの」という冠がつく。現在は兵庫県朝来町立山口小学校の教諭。全国から応募があった六十一人の中から選ばれ、県職として広島県教育委員会から発表された。
尾道市教育委員会は平成十四年四月一日付けで文部科学省から「新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究」及び「新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究に係る教育開発」の委嘱を受け、その研究校に土堂小学校を指定している。その題目通り新しいタイプの模索が始まり、校長公募に続いて「あの」陰山さんとなった。
文部科学省の指定を受けた土堂小学校では、現場としても保護者や地域の人の声を反映した学校づくりを実践するため、尾道市立土堂小学校地域学校協議会(稲田全示会長=尾道大学教授)を組織して動きだしている。一体どんな学校が理想の学校像なのか。意見交換を重ね、理想の学校像をミッションステートメントと銘打ち明文化した。
ちなみに同ミッションステートメントは「基礎・基本を大切にし、確かな学力を育む学校」「国際化と尾道のアイデンティティーを追求する学校」「コミュニケーション能力を育てる学校」「学ぶ力と遊ぶ力を育む学校」「児童・保護者・地域がともに学ぶ学校」の五つが柱。陰山さんの職務・活動実績報告書から読み取れる理念もそれにそっている。
同報告書からみた陰山理念の特徴は反復による読み書き計算といった基礎学力の向上、生活アンケートにより家庭からも子どもの課題を見つけて改善、特産物など地域教材や体験的学習の活用、ホームページ作成など二十一世紀型授業の創造など。
新しい試みは校長公募ばかりではない。土堂小学校では教員の異動希望も県内から公募している。「自分も土堂小学校でやってみたい」という教員も受け入れる計画だ。
器ばかりでもない。こしたモデル校としての試みは未知数ながら市内の保護者にも大きな魅力。この四月から「土堂小学校でうちの子どもを入れたい」という市内の人は学区に関係なく同校へ入学できる(ただし通学は保護者責任が条件)。
とにかく新しい試みは驚くほどの人材を得て好スタートを切った。尾道輩出の人材が世界をリードする将来もまぶたに映る。しかし教育では目立った成果ばかりの評価は禁物。尾道市内の小学校は二十校。著名な舞台とは無縁ながら一人ひとりの子どもと向き合う地道な教育者も数多い。モデル校の成功は喜ばしい出来事ではあるが、実験メリットを残る十九校へいかに伝播させるか。十九校出身の子どもも誇れるようになってこそ、市立モデル校の成功例と称賛される。(J)