びんごトピックス  2003年3月20日号 
 
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尾道造船が創業60周年迎え祝賀会開催

尾道造船(株)(本社神戸市中央区江戸町104=トウセン神戸ビル、資本金一億円、濱根義和社長、尾道造船所=尾道市山波町1005)は、昭和十八年四月一日会社設立し、今年で創立六十周年を迎えた。
三月十五日には、尾道市新浜一丁目、尾道国際ホテルに役員や協力関係者ら約二百三十人が出席して祝賀パーティーを開いて創業六十周年を祝った。
濱根義和社長の挨拶、ナカタ・マックコーポレーションの中田貞雄会長が乾杯の音頭で、祝宴が始まり地元の尾道ベッチャー太鼓の演奏を楽しんだ。同日の午前十一時からは同社OBの社友会から約三百十人が出席して旧交を暖めながら歓談を楽しみ、尾道造船所近くに古くから伝わる伝統芸能の山波神楽団も上演してパーティーを盛り上げた。
同社は、新造船の船台建造を続ける数少ない造船所の一つで、第二号船台(長さ264.50m、幅43.00m、105,000DWT)を使い、セミタンデム建造を行う等、限られた設備の有効活用によりこの一本の船台で年間八隻の47PCの連続建造を可能としている。一方、コストの一層厳しい新造船では関連会社の佐伯重工業(株)(九州)に振り向けて年間五隻を建造しており、年間十三隻を竣工、引き渡すなどフル操業を続けている。三月十八日に進水させた石油精製品運搬船セントマルコは同社第492番船となる。
第五号乾ドック(長さ215m、幅34m)、第六号乾ドック(長さ185.35m、幅30m)では、独自の技法により、各種検査から海難・改造に至る難工事を施工し、業界トップクラスで、国内でも有数の修繕工場として高い評価を受けている。
平成六年には業界でも早く品質管理システム構築の組織作りを行い、平成十年十一月に、日本海事協会の審査を受け、マネジメントシステム国際規格ISO9001の認証を取得した。平成十四年十二月には同規格の2000年版ISO9001の認証取得し、商船及び官公庁船の設計・開発・製造及び付帯サービス、機械(製鉄及びセメントプラント関連設備等)及び鉄鋼、鋼構造物の設計・開発、製造、据え付け及び付帯サービスと、適用製品と範囲を拡充している。
平成十三年には、尾道市栗原町のびんご運動公園野球場に夜間照明鉄塔二基を架設、施工したことは知られていない鉄鋼構造物の施工歴の一つである。
濱根義和社長は「当社の建造能力は設備から必然的に制限される。船体の大きさを競うのではなく、高付加価値船の建造に重点を置いてきた。フェリーボート、石油精製品運搬船、コンテナ船等の多種多様な機能が付加された船舶を意味する。早くから設計及び建造技術の革新には積極的に取り組んできた。今それが実を結んでいる。今後も尾道造船は、更なる高品質な高付加価値船の建造に挑戦するべく、生産設備の自動化、コンピュータ化を積極的に推進する」と述べているように、毎年計画的な設備投資を続けており、その成果として最近の順調な受注量や業績に実を結んでいる。最近の年間売り上げ高は約四百億円、従業員約四百八十人、社外工約四百五十人が尾道造船所構内で勤務している。
関連会社▼アサカ興産(株)▼あさひエンジニアリング(株)▼朝日産業(株)▼コスモシップサービス(株)▼尾道コンピューターサービス(株)▼コロンボドックヤード(株)▼佐伯重工業(株)▼ジャパン・スチールス・コーポレーション(株)▼福山重機(株)▼(株)ワイエムサービス。


ペアコムが切り粉飛散防止カバー「養生ハット」開発

産業用電子回路、電気部品製造などのペアコム(株)(福山市駅家町江良358、資本金一千万円、梨木健太郎社長)はこのほど、鉄板に穴あけ加工をする際に出る切り粉の飛散を防止するカバー「養生ハット」を開発した。
電気ドリルで制御盤や分電盤などの鉄板に追加の穴あけ加工をする際、切り粉飛散防止対策として紙などでマスキングする「養生」が必要。同社が開発した「養生ハット」はその手間を省くもの。手荒な作業でも破損しない透明のポリカーボネイト製で、麦わら帽子の形状。頭頂部にはドリルの刃を入れるための穴が開いており、直径4.4cmのつばの部分に永久磁石をはめ、鉄板に圧着できる。穴あけ加工する部分に「養生ハット」を吸着、電気ドリルで穴を開ければ、切り粉が磁石の力で「ハット」内に貼り付き飛散を防止、回路などへの影響を最小限に抑える。加工後は、「ハット」を外し磁石を抜けば切り粉が落ちるため、回収しやすいのも特徴。
加工する穴の大きさに合わせ直径3.5 cm、同8.5 cm、同16cmの三タイプの商品化を予定。ホールソー加工に対応する大型タイプも検討している。定価は七百八十円(税別)で、既に地元の計装関連業者、電器工事関連会社などに五百個を販売した。特許出願と商標登録済み。問い合わせはTEL084・976・7111同社まで。ホームページ(アドレス=http://www.peacom.co.jp/)でも販売中。
初年度十万個の販売が目標。五月をメドに商品収納パックを改良、さらに各タイプをセットする収納ケースなど販促物を充実させホームセンターなどへ売り込む。市場を見ながら韓国の業者とも提携し量産体制を整え、低価格化していく。同社の梨木健太郎社長は「現場の声から生まれたのが養生ハット。世界で通用する商品に育てたい」と話している。


せとうち特機が「デジタルダーツ」販売・リース

健康カラオケシステムを展開中のせとうち特機(株)(福山市東深津町3-8-5、田政明社長)はこのほど、米国メダリスト社製のデジタルダーツを扱う正規ディーラーとして販売・リースを始めた。
取り扱うデジタルダーツ「Spectrum(スペクトラム)」シリーズはダーツを簡単におしゃれに楽しめるように開発され、国内では約四千台が普及している。ダーツは的に矢を当ててポイントを競う単純なゲーム。しかし得点の計算方法は二十三種と多種を楽しめる。デジタルダーツは自動計算で得点とゲーム進行状況を十五インチカラー液晶モニターで表示できる。矢の先も安全性の高いプラスチック製。
ダーツはイギリスで五百年以上前に生まれ、競技ルールを進化させながらヨーローッパ、アメリカへと拡がった。日本でも一人からグループまで楽しめるメンタルなゲームとして東京、大阪で人気となっている。
デジタルダーツは幅74cm、奥行き53cm、高さ235cm(上部モニター込み)。投げる距離は243cm。一プレイ百円〜で収益力と集客力が期待できる設備として人気上昇中。


井原精機が私募債2億円発行

自動車部品と農機具部品製造の井原精機(株)(井原市上出部町431-3、資本金六千七百五十万円、上野建太郎社長)は、二月二十五日、中小企業特定社債保証制度を利用して百十四銀行、岡山県信用保証協会の共同保証付き私募債を発行した。
同社としては第一回無担保社債で、発行額は二億円、五年満期、一括償還、利率は0.69%、百十四銀行が全額引き受けた。
井原精機では長期の運転資金と設備投資に充てる。
なお、さきには国際標準化機構による環境管理の国際規格ISO14001の認証を取得している。
適用範囲は、本社工場、本社第二工場(笠岡市茂平)、総社工場、総社第二工場の四工場で生産するエンジン部品・トランスミッション部品・サスペンション部品・ストアリング部品等の自動車部品、農機具部品製造。
同社は、昭和十九年十二月設立された。当時は立川飛行機の協力工場、二十二年に現在の三菱自動車工業水島製作所の協力工場となった。その後、光洋精機、クボタ、井関農機に農機具部品を供給しており、来年で創業六十周年を迎える。
平成十四年三月期、売上高百四十五億八千二百万円、申告所得額八千二百九十万一千円、従業員五百四人。



こぼれ話  2003年3月20日号

高須小はどうだった 校長と教職員の関係

尾道市立高須小学校で九日、同校の慶徳和宏校長(56)が自殺するという痛ましい事件が起きた。
慶徳校長は昨年春、広島県教委が民間から採用した民間人校長。広島銀行東京支店副支店長のポストから転身していた。
児童数七百十七人、教職員三十四人の大規模校だった同校では昨年五月に補佐役の教頭が入院、跡を受けた教頭も今年二月に入院しており、昨年十月には校内のウサギ十七匹が何者かに虐殺される事件もあったばかり。同校では教育環境を著しく逸脱した状況が続いており、単なる偶然か、ウサギ事件は別としても共通の誘因が何かあるのか、徹底した検証が望まれている。
教育問題は国の方針から家庭環境まで多様な課題が複雑にからまっており、一筋縄とはいかないが、慶徳校長が自殺の場所に校内を選んでいることから、事件をきっかけに身近な人たちからは慶徳校長が命と引換えに伝えようとしたメッセージを真摯に受け止めようとする動きが猛烈な勢いで高まっている。
中でも校長と教職員の人間関係に不信感を持つ人が多い。高須小に限らず、卒業式を前にして板ばさみとなる校長の話はよく耳にする。校長が発揮する権限が少なく、事実上のボイコットが行われているのではないか。教育委員会から指示を受けた校長がその指示を実施しようとしても、反対する一部の教職員が各種学校行事の準備への不参加をちらつかせて拒否し、他の教職員にも協調を呼び掛けているとも聞く。
高須小では学校運営に支障はなかったと報告されている反面、手分けして行われるべき仕事が校長の肩に圧し掛かり、校長は休日もないオーバーワークだったとも聞く。
実態はどうなのか。教育を担う人間性豊かなはずの教職員と民間企業でも人望を集めた有能な校長の間はどんな人間関係だったのか。校長発案のあいさつ運動は空回りだったとも聞く。県市の教育委員会が進める調査に解明を期待したい。(J)

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