びんごトピックス  2003年4月10日号 
 
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CKSチューキが曲がり挽き対応の製材機開発

木材加工機械など製造販売の(株)シーケイエス・チューキ(福山市箕島町6280-10、資本金四千万円、河田格至社長、TEL084・920・3311)はこのほど曲がり挽き対応の製材機「ツインスター21」を開発、販売を開始した。
曲がり材を高歩留まりに製材する「曲がり挽き」は、熟練職人による丁寧な作業が必要な割に効率が良くないことから減少傾向にあり、製材しない端材と見なされることが多い。同社が開発した「ツインスター21」は、従来機のように、木材を止まった鋸に向け動かすことで製材するのでなく、ツインソー自体を移動、回転させることで曲がり挽きを可能にした。直挽きにも対応できる。さらにスパイク付きチェーンで曲がり材を送るため、四m材を一分間に三本挽ける連続製材が可能。またコンピュータ、シーケンサ、センサで全自動運転できることから省力化できるのが特徴。特許出願済み。
レーザセンサで曲がり材の曲がり具合などの形状やタイコの厚さを自動計測、高歩留まりになる形状を計算し、調芯装置で最適の木材姿勢になるよう調整、さらにコンピューター制御で鋸自体が移動、回転し、製材された材と背板が別々の経路で搬出される仕組み。
しっかり乾燥させた曲がり材なら、曲がり挽きにより建材に利用される修正材の構成部材として製品化できることから、九州などの国産材製材業者に売り込み、初年度数台の販売を見込む。同社では「山が荒れる原因の一つは曲がり材の放置。その曲がり材を高付加価値製品に加工できるツインスター21は国内森林の保全にも役立つ」とPRしている。同社ホームページ(アドレス=http://www.ckschuki.co.jp/)では動画でも紹介している。
同社は昭和十年創業、本社工場のほか東京、大阪、新潟、広島、高知、盛岡、山陰、鳥栖、鹿児島、日向、北海道に営業所を開設、木材加工機械、林業機械のほか解体材をチップ化するリサイクル機械も製造販売しており、年商十八億円規模。


6JA合併で「福山市農協」発足

福山地域の六JAが四月一日付けで合併し、県内最大規模の「福山市農業協同組合」が発足した。
合併したのは福山市(福山市花園町)、松永市(同市松永町)、沼隈(沼隈町)、神辺(神南辺町)、福山北(福山市駅家町)、神石高原(神石郡三和町)の六農協。
新しい農協は本所を旧福山市農協本所に置き、各農協本所は地域本部になる。組合員数は七万五千二百十五人、うち正組合員三万五千四百六十九人(14年9月末現在)、貯金量四千九百五十七億六千三百万円、貸付金千二百十三億八千万円、長期共済保有高二兆八千三百四十六億六千四百万円の規模。県内では貯金量と長期共済保有高が一位、組合員と貸付金は二位となる。県農協グループが策定した県内八農協構想のうち、エリア合併は二番目。
合併後の営業地域は二市五町一村、組合長には旧JA福山市の桑田保組合長が就任した。副組合長には五農協の組合長とJA福山専務理事の計六人、理事は六農協の計百十三人から五十人に、監事も同じ三十三人から十一人に減る。職員数は九百五十八人、八十一本支店体制も変更はない。
桑田保組合長は「このたびの合併は、県内八JA構想を受け発足した。新生「JA福山市」は組合員・地域住民との関係強化、地域農業の振興、経営基盤の強化の三つの基本方針で、身近で親しまれるJAを目指す」と述べている。



タカヤの通信映像事業部が新工場建設

電子機器製造、産業機械開発のタカヤ(株)(井原市井原町661-1、資本金一億円、大塚民一社長)は、同市出部工場内に通信映像事業部の新工場建設に着工した。
新工場は、鉄骨造り二階建て、延べ床面積七千二百五十二平方m。一階(三、六七三平方m)は製品の実装設備、検査機を設置する工場スペースと一部材料置場に使う。二階(三、五七八平方m)は、管理室、応接室、会議室等の事務部門のスペースと、厚生施設の食堂、更衣室、トイレに、工作室、手加工作業場を設ける。
七月末に完成の予定で、現在の高屋工場から機械設備を移設し、試験運転などを行い、八月十八日(月)の稼働を目指す。
工場の設計・監理は(有)塩飽設計、施工は占部建設工業(株)、投資金額は工場建屋、電気工事等で約六億円、緑化など付帯工事が約三千万円、計六億三千万円を見込んでいる。
新工場建設は、生産規模の拡大等ではなく、品質を最優先した製造環境の構築が狙いで、設備の種類増に対応して印刷検査機、実装検査機などのインライン延長、納期管理の改善による納期短縮の実現が図れる。これまで現在の工場が抱える問題点や課題が解消されることから、効果として実装品質アップが図れる一方、生産管理、設備管理の充実、営業面では厳しさを増している受注競争で、他社との差別化が図れるものと期待している。
なお、新工場へ移管する高屋工場跡地は、手加工主体の生産工場として使う予定。
なお、次世代バーコードとして急速に実用化が進んでいるICタグ事業に本格参入する。
バーコードの数十倍の情報量を持つICタグは、小型の商品札で、内蔵しているICチップが発信する情報を、専用機で読み取ることができる。同社は専用のリーダーライターを開発、昨年秋開催された、「自動認識総合展AUTO|ID EXPO2002」に初出展したが、その後数カ月間で七十社を超える引き合いがあり、すでに五十社以上で同社リーダーライターによるシステム開発計画が具体化している。同社のリーダーライター「Takaya RFID TR|3 series」は国際標準規格ISO/IEC15693対応の大手各社タグ対応、組み込み用途に適しており、低消費、低価格、小型設計を実現し、関係先から高い評価を受けている。昨年十二月にはモジュールタイプでは、競合各社に先んじて総務省の審査による型式指定を受けた。現在導入のための商談が進んでいるのは、流通、印刷、出版、OA、遊戯・娯楽、セキュリティ、FAなど多業種に及んでいる。また、現在開発中のRFID対応ゲートアンテナの製品化により、ユーザーの求めるアプリケーションへの対応分野は一段と拡大するとみている。
なお、RFID技術による「出退勤管理システム」の実験が社内で進められており、今後ICタグ事業と既存のソリューション事業との協業及びグループ関連会社との共同開発により、応用システム及び関連機器開発で、一層のビジネスチャンス拡大を狙う。
同社は明治二十七年創業、大正六年会社設立の老舗で、繊維業界の草分け的存在として知られる。タカヤグループの中核で、現況は、通信映像事業部、産業機器事業部を柱に、自社開発のインサーキットテスター・携帯電話・ファクシミリ・デジタルビデオカメラ・DVD・ゲーム機・パソコン周辺機器・情報通信機器・VTR基板等製造を手がける。平成十四年十一月期決算は、売上高七十九億八千三十万三千円、当期利益四千二百二十三万九千円、従業員六百五十一人。
グループには、アパレル企画、製造卸のタカヤ商事(株)、ジーンズ等の染色・洗い加工、縫製等のタカヤ繊維(株)、アパレル直営店を全国展開している(株)ブルーメイト、LSI各種デバイス製造のシャープタカヤ電子工業(株)、半導体素子等電子部品製造のフェニテックセミコンダクター(株)。関連会社には国内に、システムプログラム開発のマトリックス・システムズ(株)(東京)、ネット販売及びシステム開発の(株)アイフィールド(横浜)、アパレル商品企画・製造販売の(株)アールエヌエー(大阪)、華鴒(はなとり)美術館運営の財団法人タカヤ文化財団、海外にアパレル縫製加工のタイタカヤ(株)、同じく上海高屋時装有限公司(上海)、電子機器関連商品企画・開発・製造のタカヤ・シークス電子(上海)有限公司(同)がある。グループ六社の従業員数三千五百人、年間売上高九百七十億円規模。


ユーホーが流通機能強化で新展開

中堅のホームセンター、ユーホー(株)(福山市多治米町6丁目3-5、資本金九千六百万円、佐藤哲士社長)は、業界大手の県内進出に対応して情報システム構築、物流体制の整備、店舗の改築を進めている。
情報システムは、ポイントカードとオンラインPOS(販売時点情報管理)システムで、単品別、顧客別販売動向データ収集、分析システムと仕入れ、在庫管理システム等を統合、高度な分析データを全社的に共有する。
物流機能の整備は、福山市南松永町4丁目2-36の池上産業(株)の工場建屋を賃借し、約二千六百五十平方mを改修して松永物流センターを開設する。来春には稼働し、これまで各店舗ごとに一店あたり一週間で百数十台に及ぶトラックでの商品配送を三分の一以下に削減し、店舗での入荷業務の負担を大幅に軽減して販売業務に専念させる。当面は商品の六割をこの物流センターで扱うが、将来は八割を松永物流センターに集め、各店舗ごとに仕分けして配送する。
今後は、中国を主とする海外での商品開発を強化する一方、国内外での直取り引きを拡大する。
店舗の改築では、昭和五十五年二月、福山店に次ぐ二号店として開店した松永店を取り壊し、二棟に分かれていた店舗を一カ所に統合した新店舗を完成し、四月十八日オープンする。新店舗は売場面積二千五百七十三平方m、店舗内は通路を広げるなど買い物客の利便性を高める。
新店舗の売上高は一〇%アップの十三億円を見込んでいる。駐車場は店舗前に平面で二百台規模を設ける。
駅家店は隣接地に平屋建て一千平方mの店舗の増設工事が完成しており、五月連休明けに開店する。木材建材等の資材庫として資材部門を強化し、ナフコ新市店進出に備える。ほかに、平成十二年に増床した三次店を十六年春に再度、大幅増床する計画。
ホームセンター業界も中国地方へコーナン商事やコメリの大手進出計画があるほか、ナフコが世羅町、本郷町、福山市新市町に相次いで出店するなどナショナルチェーンとの競合が強まると見ており、地域に密着したホームセンターとしてエリア内の地域一番店として経営基盤を強化する。
同社は昭和三十二年十月設立、福山市を中心に尾道、三原、府中、神辺、因島など県東部一円と岡山県西部に井原店、笠岡店に十五店舗を開設している。今後は東広島、呉地区への出店が見込まれている。
最近の業績は、平成十四年八月期売上高百六十四億二千三百五十五万五千円、申告所得額四億二千三百九十九万一千円、当期利益二億一千九百八十三万八千円を計上している。
関連会社に松永開発(株)(福山市南松永町2-5-45)がある。



こぼれ話  2003年4月10日号

枯れ木と見えて実はパっ 咲かせるのは選挙の一票

桜が満開。毎年のことだが、やはりすばらしい。ついこの前までは枯れ木に等しい寒々とした姿。それがあっという間に新しい活動シーンの幕開けや初々しい生命の躍動を感じさせる。実に見事。
いまや日本経済は瀕死の枯れ木の構図。いやいやそう見えるだけで、実は桜と同じ。大地は肥沃、根はしっかり、幹はもちろん、つま楊子ほどの小枝までパっと花を咲かせるエネルギーがぎっしり。あとは気温の上昇を待つばかり。ある点を超えると一気に満開。そう願いたい。
日本経済の開花に必要なのは血の通った骨太の政治。一人ひとりの一票で育てるしかない。咲く花、散る花。品種も多彩。選挙シーズン、各地で見事な花を期待したい。
四日告示された広島県議会議員選挙の投票日は、四月十三日(一部地域を除き午前七時〜午後八時)。不在者投票は前日午後八時まで(午前八時三十分から、居住地役場で土日曜日も受け付け)。
県東部の選挙区立候補者は次の通り。尾道市(定数二)は岡本信一郎(自民・現)、吉井清介(無・新)、木曽真理行(無・現)の三氏。
三原市(定数二)は渡辺篤志(無・新)、平田修己(自民・現)、天満祥典(無・新)の三氏。
因島市(定数一)は松浦幸男(自民・現)、岡野敬一(無・新)の二氏。
福山市・沼隈郡(定数九)は宇田伸(自民・現)、石田幹雄(無・現)、渡壁正徳(無・現)、川上征矢(自民・現)、門田峻徳(自民・現)、田辺直史(公明・現)、浅野洋二(公明・現)、大元光代(無・新)、中津信義(自民・現)、辻恒雄(共産・現)の十氏。
無投票選挙区も多く、県東部では竹原市(竹鶴寿夫、自民)、府中市(岡崎哲夫、自民)、御調郡(高山博州、自民)、世羅郡(小島敏文、自民)、深安郡(松岡宏道、自民)、芦品郡(平浩介、自民)、神石・甲奴郡(藤井正巳、自民)で現職の当選が決まった。

筆影山にも渋滞対策を

四月六日の日曜日は晴れ。満開の桜とタイミングが合った千光寺公園(尾道市)は大変なにぎわいだった。ロープウエーは国道二号線に二十mほどの行列ができ、登山道も大渋滞。しかし一方通行に規制し、市職員らボランティアの誘導であくまでも自然渋滞だった。
同じ日、三原の様子を見に筆影山へ車で登った。和田口からの登山道は大きな看板があるわりに入口付近で迷う。須波方面への下山道は不安を伴なうイライラ渋滞だった。
頂上の駐車場からあふれた車は片側に路上駐車の車列をつくり。短気な人は渋滞で停車している車列を駐車と誤って追い抜こうとするからさらに渋滞が複雑になる。車の数はそれほど多くはないが、前方の様子も見えず、進んでいいのか、待つべきか、判断にも困る箇所が連続する。無事に下りられるのか、不安いっぱいの渋滞体験をした人は多かっただろう。年に一度ながら開花予測と合わせた対策が望まれる。(J)

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