びんごトピックス  2003年4月20日号 
 
表紙写真


土井木工が本社小売店舗リニューアル

家具製造販売の土井木工(株)(府中市府川町57-1、資本金四千五百万円、土井啓嗣社長)は同社敷地内の小売店舗「リビング館」をリニューアル、モデルルーム併設の展示場として二十六日オープンする。
リニューアルの目玉はリビング館南館二階のモデルルーム。ハウスメーカーのモデルルームと家具展示場の特徴を取り入れたもので、建具、ドア、家具などを揃え、商品PRに終わらせず、トータルなライフスタイルを提案する。「土井木工」と「ドリーム」の頭文字のDから命名した夢のある生活様式「Dスタイル」がテーマ。サクラ材の持ち味を生かしたシステムキッチン、二人暮らしのマンションをイメージしたリビング、ミニバーを設置するなどシティホテルをイメージしたベッドルームなど七・五〜二十畳までの五種類のモデルルームを併設している。なお同館一階はソファとリビングボード、三階はベッドなどを展示している。
また先月には北館四階に県東部最大級となる百五十平方mの介護福祉用具レンタル・販売ショップ「福祉プラザ」を開設。特殊ベッド、歩行器、車椅子、トイレ、入浴用品など介護保険により低価格で購入できる五品目、またはレンタルできる十二品目など介護福祉関連商品二百点以上を展示する。車椅子対応のシステムキッチンなど実際に施工した住宅リフォーム例も紹介しており、連日多くの消費者が訪れている。施行三年目とはいえ介護保険制度自体についてはまだ知られていない部分も多いことから、適用条件などの説明パネルを設置。厚生労働大臣指定の講習会を受け資格を取得した福祉用具専門相談員三人を配置し、きめ細かなアドバイスを行っている。問い合わせはTEL0847・45・0123まで。二階は「シンプル&ナチュラルがここちいい」がテーマのオリジナルブランド「α空間」、三階はダイニング、五階はブライダル家具を展示。
同社の溝口基義代表取締役専務は「リニューアルする展示場で婚礼家具から新・増改築、子供家具、福祉用品まで、一生を通じ提案できる家具メーカーとして地元への貢献を拡大したい」と話している。東京の直営店が吸い上げた消費者ニーズと、福祉講演会などで紹介される北欧の福祉先進国の情報を活かし商品開発を進めていく。


ソフトパワーがCRM採用モール

システム開発などの(株)ソフトパワー(福山市東深津町3-22-2、資本金一千万円、矢野源太社長、TEL084・945・8001)はこのほど、CRM分析で顧客に最適な商品を提示する画期的なIネットのショッピングモール「ベリストアズ」を開発、加盟店の募集を始めた。
アメリカで注目が高まるCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)は、特定の商品購入者が以前参照したサイトや購入履歴、同商品を購入した別人の購入履歴を参考に、提案すべき最適な商材を自動で分析、紹介ページも自動で作成するシステム。ソフトパワーも独自に同システムを開発、「ベリストアズ」に採用、「一万人の客に一万通りのホームページ」を提案、対象と商品を絞り込んだ効率良いネット販売を可能とした。
また管理者画面で売上解析、受注・顧客管理ができるほか、ページ更新は掲示板感覚で行える。受注後は自動的に確認メールを送信、管理業務を合理化。顧客に配信するメールマガジンも、本文中に顧客名や居住地域の情報を挿入したオリジナルの文面で届くなど効果の高い運営が可能。リアルタイムで閲覧者の人数を表示する機能もある。
また購入者側の操作も短縮。支払い方法の選択では、学習機能により前回同様の支払い方法を提示する。カード決済はニコスと提携、ユーザー名とパスワードの入力だけで自動的に認証され、従来あったタイムラグをなくした。
同社ホームページ(アドレス=http://www.softpower.jp/)でサンプルを見られる。システムはASPサービスとして提供、現在加盟店を募集中で、先着二十社までは月額四万五千円で利用できる。大阪などの業者が既に契約、地元では福山市神村町の醤油メーカー(株)ロイヤルマーゴが出店を準備中。広告代理店を通し全国展開する。なお中国産業局の「オンリーワン・ナンバーワン企業」に選定された。
矢野源太社長経営の食品卸、販売会社が加盟していた大手ショッピングモールでは月三百万円を売り上げていたが、高額の加盟料とバナー広告費で出店者離れが進んでおり二年前に離脱、(株)ソフトパワーを起ち上げた。同社長は「大手モールから顧客を借りるのではなく、店子が自ら盛り上げるモールが理想。購入者、加盟店、当社とお金が循環するシステムで『楽天市場』に挑戦し全国展開を狙う」と話す。
今後は商品写真のクリック数と実販売数の関係を数式化し商品提案に活かすシステムにバージョンアップさせ、さらに受注情報をデータベースとして管理できるシステムも販売していく計画。



竹原の共通商品券が累計二億円突破

全国の商工会議所では最初に市内共通商品券を発行した竹原商工会議所(竹原市、平健一郎会頭)は、平成十一年発行から十四年度まで四年間の発行高が二億円を突破した。
三月末の累計金額は二億六百四十八万九千五百円、回収金額一億七千七百七十五万四千五百円で回収率86.1%。発行額を大型店と一般商店別で見ると市内のスーパーなど大型店四店が53.9%、一般商店46.1%。
年度別の発行高は初年度が四千百二十九万九千五百円、二年度は前年比5.1%増、三年度10.5%増四年度10.0%増で、増加基調を続けており、同商工会議所では市民に共通商品券が定着しているとみている。月別販売金額は四年間ともトップは十一月、次いで七月で、歳暮月、中元月、年度始めの四月が三位となっている。
市内に商品券販売所は十七カ所を配置して利便性を高めており、商品券が利用できるのは全業種に及び市内全域に三百三十店。
昨年も先進地視察として熊本県水俣商議所、兵庫県商店連合会、鹿児島県鹿屋商議所、呉商店街等から共通商品券の現況視察に訪れている。
全国的には商工会議所では竹原が最初に発行、笠岡商議所など十五商議所と商工会が五十カ所で発行している。尾道商議所は全国で利用できるJCBギフトカードを発行している。


因島技術センターが43人に迎え入校式

造船関連企業が多く立地する因島市と周辺地域で、専門技術を引き継ぎ発展させるために開設した、因島技術センター(因島市土生町・日立造船(株)因島工場内)で平成十五年度の入校式が四月七日開かれた。
当日は市内や三原市の十一社から四十人、一般募集した三人、計四十三人が入校した。
入校式では因島技術センター運営協議会会長を務める(株)アイメックス社長の井上通正氏が「資源の乏しい日本では物づくりが社会の基本です。皆さんは物づくりに携わることに誇りと自信を持って頑張ってください」と激励した。商工会議所副会頭、因島市助役、ハローワーク因島所長、瀬戸田町等からの来賓も出席して入校を祝った。
入校した研修生代表の園山司さんは「先輩の技術をしっかりと引き継いでいきたい」と決意を述べた。研修生は六月三十日までの約三カ月間、図面の見方、ガス切断、クレーン、船の構造と建造、造船溶接、仕上げ組立など十二科目の研修を受ける。指導には日立造船OBなど技術者のベテランが当たり、七月から各企業に戻る。一般募集の三人は市内の関連企業へ就職する。
研修を終えると、ガス溶接技能講習や床上クレーン技能講習、NK溶接技量試験などを受けて五科目の資格を取得できる。
因島技術センターは、五年前に開設され、市内の企業を中心に研修生が毎年四十数人入校して技術研修に励んでおり、造船の街因島を支える技術者の養成を担っている。
運営費用は入校する研修生事業所が一人月額三万円を負担、県、市、会議所、瀬戸田町からも補助金が支給されている。平成十四年度収支決算では、決算額八百十九万円、うち補助金五百二十八万七千円、負担金二百八十万円。
因島技術センター運営協議会役員は次のとおり。
顧問=市長、市議会議長、因島選出県議会議員、商議所会頭、ハローワーク所長、中国運輸局因島海事事務所長、県立東部工業技術センター所長、アイメックス顧問、会長=井上通正、副会長=寺西勇((株)三和ドック社長)、理事=柏原公生(因島鉄工団地協同組合理事長)、山田弘幸(内海造船(株)社長)、嶋末幸雄((株)ニチゾウアイエムシー社長)、田頭忠行(協同組合瀬戸内鉄工センター理事長)、山本新一(イワキテック(株)代表取締役)、桑原重満(日立造船因島事業協同組合理事長)、藤田博雄(内海造船田熊工場協力工場協同組合理事長)、監事=村上祐司(商工会議所副会頭)、井上哲也(市助役)



こぼれ話  2003年4月20日号

名画「ジョンQ」に習い 世界一の医療保険制度を

なるほど名画。心臓をえぐられる思いでアメリカ映画「ジョンQ」を観た。映画は「我が子が死にそうなとき、お前ならどこまでやる」と観る者を追い詰める。その一方で「こんなときも亭主を信じるか」と家族の絆の強さを試す踏み絵も強いる。しかし名画。息が止まる緊張感とは逆に「誰の命も等しく救いたい」という温かさもしっかりと伝え、乾き切った心をしっとりと潤す。
名画「ジョンQ」は、広島県東部地区医師会ジョンQプロジェクト委員会がアメリカの医療制度の問題点を理解してもらい、日本の医療保険制度を守ろうと、活動の柱に選んだ上映会の作品。尾道医師会は三月二日に上映会とシンポジウムを尾道国際ホテルで実施。福山医師会は四月十二日にリーデンローズ大ホールで上映会を行った。看護学校生や高校生、一般の人も無料で招待した。
映画はアメリカ医療制度の問題点を浮き彫りにする。お金のある無しで受けられる医療サービスが違ってくるやるせなさ、心臓移植などの移植医療も商品化する理不尽さを荒々しくもくっきりと心に刻む。
アメリカでは、医療費、医療保険料が高いため、医療保険に加入できない人が五千万人もおり、こうした人が入院するような病気になったときは、当然、家などの財産を売って医療費を工面するという。
救急車で医療機関に運び込まれても、治療に入る前にまず保険内容をチェック。患者が受けられる医療限度(支払い能力)に応じた医療サービスが選択されるそうだ。
「ジョンQ」はアメリカの医療制度の問題点を伝えてくれた。しかしアメリカがそうした保険制度を選んだメリットもあるはず。赤字を垂れ流し、莫大な借金を抱える日本の財政に不安を持つ人が多いのも事実。世界一の評価を得る日本の医療保険制度を失敗前例に習う必要はないが、世界一であり続けるために、解決すべき課題もあるはず。
不確実性の時代。お金のある無しは挑戦結果でもある。経営者は体が資本。不況でも安心できる医療保険制度があれば、がんばれる。

県議選の結果

県議選の結果、二議席を三人で争った尾道市区では無所属で現職の木曽真理行氏が一万六千百五十九票、市議から鞍替えして無所属で初挑戦した吉井清介氏が一万四千九百九十九票を獲得して当選した。自民党候補で現職だった岡本信一郎氏は前回より二千票あまり票を減らした一万九百十票で苦汁をなめた。
九議席のうち四議席を自民党が占めていた福山市・沼隈郡区、同じく自民党現職が無所属新人と戦った因島市区ともに激戦だったが、現職候補が議席を守り、同じく激戦だった三原市区も二議席のうち空席となっていた一議席を自民系候補が獲得し、自民系で二議席を固めた。
それぞれ激戦だったが、無投票当選も含め、ふたを開ければ総じて県東部は旗色に変化の少ない県議選だった。それだけに自民党の大物代議士、亀井静香氏が自宅を構えた尾道市での自民党候補敗退は、政局まで微妙な影響を与えそうだ。(J)

このページのトップへ