びんごトピックス  2003年5月1日号 
 
表紙写真


アカセ木工が工房「粋」開設

ブライダル、カジュアル家具製造卸の(株)アカセ木工(浅口郡里庄町新庄1550、資本金八千万円、赤瀬浩成社長、TEL0865・64・5111)はオーダー家具の工房「粋」開設や高付加価値商品のネット直販などで販売強化を図っている。
インテリアショップ向けのカジュアル家具への比重を高めつつある同社は昨年十月、増えてきた家具アレンジの要望に応えるため、敷地の北側に平屋建ての工房「粋」を開設。ブライダルやシステム家具、カジュアル家具メーカーとして培った技術を活かしながらオーダー家具製造や家具修理を手掛けるほか、リビングやキッチン収納、ガーデニング用品など木製品の取り付け施工も行う。従業員一人が店長を担当、額縁や小物入れ、表札など手作りの小物も販売する。これまで一般住宅や美容院などで特注家具を施工している。
また同社は端材を利用、温かみのあるデザインの椅子「E STOOL」のネット直販を始めた(アドレス=http://www.e-stool.jp/)。エコロジーの頭文字と「いい椅子」のローマ字表記から命名された「E STOOL」は、社団法人日本インテリアデザイナー協会会長賞など数々の受賞歴があり東京都にデザイン事務所を持つ垂見健三氏がデザインしたもの。ウォルナットとイエローバーチの端材を使用、それぞれ単独のものと両者を組み合わせた三種類の色を選べる。ダンボール製パッケージに座面、脚、ビスなどをセットにして発送、自分で組み立てる楽しさを味わえる。一脚一万二千八百円(税別)。昨年の十一月には東京銀座で開かれた「Eコレクション展」でも好評を集めた商品。
さらに同社の本社屋二階に開設した、(有)ライフスペース・アカセが運営するインテリアショップ「ライフスペースアカセ」では、アカセ木工が「BOCCO」としてブランド展開するカジュアル家具を拡充。敷地面積約千三百平方mの店内を「カジュアル」「シンプルモダン」「ベーシック」の三スペースに分け、BOCCOシリーズを中心に輸入家具、小物まで約千六百点を展示販売している。五月五日までセールを開催中。(株)アカセ木工管理部総務課の間康治さんは「福山や倉敷からのお客様も多いが、地元でのファン拡大にも力を入れたい」と話している。


山陽KSC高精度な位置情報をネット配信

測量、設計、情報管理などの(有)山陽ケーエスシー(笠岡市大井南53-7、資本金六百十万円、桑折義一社長、TEL0865・63・5521)はこのほど、一人で測量作業を行え、リアルタイムで既存の地図をセンチメートル単位で修正可能な「RTK―GPS固定点システム」を構築、高精度な位置情報配信サービスを開始した。
GPSはカーナビの普及や徘徊老人の位置確認システムの商品化、また電車の運行制御などへの応用も研究が進むなど注目が高まっている分野。測量でも、従来の方法では測量現場と基準点の距離が離れれば離れるほど誤差拡大するうえ、日数も費用も増大することから、大手ゼネコンと中心にGPS測量の需要が高まっている。そのGPS測量に無線を組み込んだものがRTK―GPSで、基準点から受信したデータを移動局に送信し、受信局の受信機内で解析することにより正確な座標をリアルタイムに得られるのが特徴。
山陽ケーエスシーが独自にサーバ局を構築してデータ配信元となり同社敷地内に設置した固定局と専用線で接続、福山市瀬戸町、尾道市高須町、三原市宮浦3丁目、鳥取県佐伯郡岸本本町にもそれぞれ受信機や通信装置を備えた固定点「サテライト固定局」を設置。観測者は、その固定点を中心に半径三十km以内で、auのパケット通信携帯電話を持ち移動局として測量作業を行えば、リアルタイムで補正データを受信でき、誤差がセンチメートル単位の正確な位置情報を確認できるシステム。このほど定点観測の実験でも誤差の小ささが確認された。
観測にかかる時間は一分以内で、昼夜は問わない。また複数の作業員が必要だった従来の測量作業と違い一人で観測できる。二千五百分の一都市計画図等の修正や、土木工事で亡失した基準点・境界点の復元などの作業が安価で正確にできるなどのメリットがあり、情報の信頼性向上と人件費削減に直結する。利用料は月二万七千円。
同社では測量のほかにも道路交通情報通信システムなどのITS、歩行者支援、車椅子走行支援など福祉行政での利用のほか、広大な干拓農地での自動耕作運行支援、船舶の自動航行や接岸支援などで提案を進めていく計画。桑折義一社長は「GPS精度の向上でこのシステムを実現できた。応用範囲が広くさまざまな分野に提案していきたい」と話す。
なおサテライト固定局を設置したのは中四国GIS技術研究会高精度位置情報部会の会員五社。同社のほか、(株)ジツタ中国福山店(福山市)、(有)ジーアイエスコンサルタント(尾道市、吉岡吾一社長)、(株)イズタコンサルタント(三原市、泉田義行社長)がそれぞれ固定点を設置、管理者として協力する。鳥取県の野口技研(有)も参画、今後も東広島、竹原、倉敷、岡山、備前などでも固定局設置を予定しており、広域なネットワーク構築で作業範囲の拡大を目指す。



デイホームと複合の施設「てご家」オープン

(株)マエダコーポレーション(尾道市吉和町4502-1、資本金一千万円、前田省三社長)は、同所近くの同市吉和町字森分4810-1、尾道バイパス吉和インター北側に建設していた「デイホームてご家」を完成し、四月二十八日(月)オープンした。
施設は本館と別館があり、規模は、同所の敷地八百三平方mに、鉄骨造り二階建て、延べ床面積千一平方m。一階に事務所、レストラン(二十五席)、厨房、床暖房できるデイルーム、地域交流コーナー、相談室等、二階にはヘルパー資格取得を目指す介護教室、調理教室、ボランティア控室、職員休憩室、人工芝で食事やバーベキューのできるテラスもある。
別棟は浴場施設で、車椅子のまま入れる介助浴室、一般が利用する桧風呂、石風呂がある。
主な事業内容は、デイサービス等の通所介護事業(五月一日より)、訪問介護事業(ホームヘルプサービス)、居宅介護支援事業(ケアマネージメント)、レストラン、一般銭湯、一時保育する託児所、学童保育。年中無休。
てご家は、身体的、精神的な状況で、在宅での日常生活に支援が必要な高齢者が介護サービスを受ける施設を完備しており、一般の人も銭湯やレストラン等を共有して楽しむことができるのが特徴。介護福祉士養成校の講師も務める専務取締役所長の前田信代さんは「地域の皆さんが健康で楽しく、過ごせる交流の場として気軽にご利用ください」と、四月十九日の竣工式に続いてデイサービス一日体験、見学、オープンイベントなどに東奔西走して開業を迎えた。
施設の設計は宮本剛建築設計事務所、施工は大手ゼネコンの戸田建設(株)(東京都)、総事業費は約二億六千万円。てご家問い合わせTEL(0848)20・0606


レニアスがポリカ製防犯盾「レニガード」開発

建設機械、農業機械向けキャビン関連商品開発・製造・販売メーカーの(株)レニアス(三原市沼田西町小原200-76、資本金二千万円、前田定男社長、TEL0848・86・1137、URL=http://www.renias.co.jp)はこのほど、防犯スプレーとポリカーボネート素材の盾を一体化した防犯スプレー内蔵盾「レ二ガード」を開発し、量産を開始した。
厚さ五oの耐衝撃性樹脂ポリカーボネート板を三次曲面に加工、衝撃を逃がす形状。なお三十八口径の銃弾を貫通させないタイプも用意。盾のサイズは、取っ手が二個のタイプが高さ三十八cm×横三十八cm(千三百九十g)、取っ手が一つのタイプが高さ三十三cm×横三十一cm(九百八十g)。コンパクトで軽量なため女性や高齢者でも容易に扱えるのが特徴。また半透明なため防御時の視認性にも優れている。
防犯ガスは、目、鼻、気管に作用し涙が止まらなくなり、肌に痛みを与えるCN(クロロアセトフェノン)またはOC(オレオレシン・カプシカム)成分を使用したスイス製。盾の取っ手上部のボタンを押せば盾の表面から出ているノズルからガスを噴出、一〜二mの範囲内の相手に有効。相手がひるんだ隙に避難、警察へ報告するなどの対応ができる。霧状または液状の防犯スプレーを装着できる(標準は霧状タイプ)。警報アラームやフラッシュライトなどの装備も可能。特許と意匠登録出願済み。
このほど米国司法省研究基準の防弾テスト(NIJ―STD―0108・01)の認証も取得、米国での実弾テストで三八口径の銃弾も貫通しないことを実証。価格は二万円程度。六月三十日まで「RG33T1型」(高さ三十三cm×横三十一cm、九百三十g、防犯スプレー付き)を一台一万五千円のキャンペーン特価で販売する。同社では初年度一万台以上の販売は固いと見ている。前田定男社長は「暴漢と戦うためでなくひるませるのが目的。凶悪犯罪が増加する現代にマッチしたのか思った以上に反応が良い」と驚く。
既に銀行などの金融機関から多くの受注がある。今年二月下旬に警備員が盾を持つことが認可されたことから、現在大手警備会社と商談中。地元では防犯グッズなど販売のセキュリティショップひまわり(福山市三之丸町14-21、TEL084・922・8822)でも販売を開始している。
レニアスは建設機械、農業機械向けキャビン関連商品のトップメーカー。今期は売上高十七億円、来期は約二十億円を予想。現在ポリカ製品の耐侯性、耐磨耗性を強化するハードコート事業の拡充も図っている。



こぼれ話  2003年4月20日号

名画「ジョンQ」に習い 世界一の医療保険制度を

なるほど名画。心臓をえぐられる思いでアメリカ映画「ジョンQ」を観た。映画は「我が子が死にそうなとき、お前ならどこまでやる」と観る者を追い詰める。その一方で「こんなときも亭主を信じるか」と家族の絆の強さを試す踏み絵も強いる。しかし名画。息が止まる緊張感とは逆に「誰の命も等しく救いたい」という温かさもしっかりと伝え、乾き切った心をしっとりと潤す。
名画「ジョンQ」は、広島県東部地区医師会ジョンQプロジェクト委員会がアメリカの医療制度の問題点を理解してもらい、日本の医療保険制度を守ろうと、活動の柱に選んだ上映会の作品。尾道医師会は三月二日に上映会とシンポジウムを尾道国際ホテルで実施。福山医師会は四月十二日にリーデンローズ大ホールで上映会を行った。看護学校生や高校生、一般の人も無料で招待した。
映画はアメリカ医療制度の問題点を浮き彫りにする。お金のある無しで受けられる医療サービスが違ってくるやるせなさ、心臓移植などの移植医療も商品化する理不尽さを荒々しくもくっきりと心に刻む。
アメリカでは、医療費、医療保険料が高いため、医療保険に加入できない人が五千万人もおり、こうした人が入院するような病気になったときは、当然、家などの財産を売って医療費を工面するという。
救急車で医療機関に運び込まれても、治療に入る前にまず保険内容をチェック。患者が受けられる医療限度(支払い能力)に応じた医療サービスが選択されるそうだ。
「ジョンQ」はアメリカの医療制度の問題点を伝えてくれた。しかしアメリカがそうした保険制度を選んだメリットもあるはず。赤字を垂れ流し、莫大な借金を抱える日本の財政に不安を持つ人が多いのも事実。世界一の評価を得る日本の医療保険制度を失敗前例に習う必要はないが、世界一であり続けるために、解決すべき課題もあるはず。
不確実性の時代。お金のある無しは挑戦結果でもある。経営者は体が資本。不況でも安心できる医療保険制度があれば、がんばれる。

県議選の結果

県議選の結果、二議席を三人で争った尾道市区では無所属で現職の木曽真理行氏が一万六千百五十九票、市議から鞍替えして無所属で初挑戦した吉井清介氏が一万四千九百九十九票を獲得して当選した。自民党候補で現職だった岡本信一郎氏は前回より二千票あまり票を減らした一万九百十票で苦汁をなめた。
九議席のうち四議席を自民党が占めていた福山市・沼隈郡区、同じく自民党現職が無所属新人と戦った因島市区ともに激戦だったが、現職候補が議席を守り、同じく激戦だった三原市区も二議席のうち空席となっていた一議席を自民系候補が獲得し、自民系で二議席を固めた。
それぞれ激戦だったが、無投票当選も含め、ふたを開ければ総じて県東部は旗色に変化の少ない県議選だった。それだけに自民党の大物代議士、亀井静香氏が自宅を構えた尾道市での自民党候補敗退は、政局まで微妙な影響を与えそうだ。(J)

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