びんごトピックス  2003年7月10日号 
 
表紙写真


久富電機産業が発電機搭載ラジオ開発

電気半田こて、電機教材製造の久富電機産業(株)(福山市御幸町大字森脇989、資本金二千万円、水田実社長、TEL084・955・6889)はこのほど、中学校向け技術科教材として携帯電話も充電できる三相交流発電機搭載のラジオを開発した。中学校ではゆとり教育拡大の圧迫を受け技術科の授業時間が減少しており、一人でも多くの生徒に科学の不思議さや技術の面白さを感じてもらい、ものづくりに関わりたいと考える生徒が増えるきっかけになればと願っている。
商品名は「ダイナモ発電ラジオ」。サイズは高さ十cm×幅五cm×長さ十六cmで、制作時間は六〜十時間。AM、FMラジオが聞けるほか高輝度の白色LEDランプが点灯、さらに携帯電話の充電ができるなど震災時や停電時に実用的。電池は充電池(ニッケル水素電池)またはマンガン電池のどちらかを入れることができ、充電池を入れて使用すればハンドルを回して発電しながらラジオを聞ける。ハンドルを一分間回すとラジオを一時間聞け、ライトは五分間点灯する。
最大の特徴は発電機のオリジナル性。従来の直流モーターの発電器と逆で、内側コイル部分は固定したまま外側の磁石を回転させるアウトローター型三相交流発電機を取り入れたため、電気機器に悪影響を及ぼすノイズがほとんど発生しない。それにより携帯電話(一部機種は利用不可)も充電できるようになった。発電機から出力される電力を、光や動力に変換する実験や充電の実験を行える実験用ボードとともに売り込み図る。同社ホームページ(アドレス=http://www.hisatomi-kk.com)では動画付きで紹介している。
現在ゆとり教育の推進など学習指導要領の変遷に伴い、中学校技術科(もの作り)の授業時間が激減。約三十年前は三百時間程度あったが、最近では四十四時間と、生徒が「もの作り」に興味を持つ可能性が小さくなっている現状に同社の水田実社長は危機感を抱いている。製造業の重要性を再確認すべきと主張する同社長は「製造業の空洞化が叫ばれて久しい。技術立国として生き残るために必要なものづくり教育を軽視していいのか」と教育政策への憤りも隠さない。


天満電機産業の第二工場が完成

ごみ焼却場用自動クレーン製造業の(株)天満電機産業(尾道市高須町有江台2956-10、資本金九千七百五十万円、大村利行社長)は、同所のすぐ近く有江台2956-20に建設していた有江台第二工場が完成した。
新工場は同所の敷地九千五百九平方mに、鉄骨造り平屋建て工場と事務所棟、延べ床面積千三百九十七平方mを建設した。設計・施工は(株)葉名組(尾道市)が受注し一月八日に地鎮祭を行い着工していた。
同社では、生産性・高品質、サービス向上およびコストダウンをさらに進めるため新工場を建設した。
同社は、ごみ焼却場向け自動クレーンと油圧バケット製造が全体の九〇%を占める有名メーカーとして知られており、そのほかに電気制御盤の設計・施工及びメンテナンス等を手がけている。
取引先もJFEスチール、日立金属、日立造船、クボタ、タクマ、三菱重工業、神戸製鋼所、三井造船、荏原製作所など大手メーカー等三十社と全国の自治体。
平成十五年一月期決算では、売上高十七億三千八十二万五千円、経常利益五千二百万円、当期利益二千九百七十一万五千円で、増収増益を維持している。
同社は、個人創業の後、昭和四十七年二月、会社設立、四十九年市内長者原二丁目に長者原第一工場を建設、平成六年に市内高須町に現在の本社事務所と工場を完成して移転、十三年に長者原第二工場を増築して業用を拡大した。
平成十四年六月には東京営業所(東村山市)を開設、さる四月には都心の中央区日本橋町4-10-5-803に移転している。



ビッグボーンが「ポパイ」ブランド本格展開

ワーキングウエアの地場大手、ビッグボーン(株)(福山市新市町大字戸手735-1、資本金千五百万円、内田静丸社長)は、ワーキングウエア・ユニフォーム分野で「POPEYE(ポパイ)」ブランドの使用について芙蓉グループの総合商社丸紅(株)(東京都千代田区、勝俣宣夫社長)と使用許諾契約を結んだ。
七月七日(月)から十二日(土)まで本社六階の展示会場で開く同社の「2003AW展示会」にPOPEYE商品も展示して本格的に販売を始める。
販売目標は、初年度となる十五年度一億円、十六年度三億円、三年目の十七年度で五億円を目指す。
POPEYEは一九二九年にアメリカで創作され人気を呼んだ。同社では、ほうれん草を食べると元気になるPOPEYEイメージのワーキングウェアを着用することで、現在の混沌とした時代に第一線で働くお父さん達に元気で活躍して欲しいとの思いを込めて丸紅と共同企画した。このようなコンセプトを基に、30代、40代、50代でも着用できる陽気で元気なアメリカンワーカーをイメージしたワーキングウェアを完成した。
製品の素材は主にクラボウの「ウェイビーマジック」と「フェスタルカラー」、「グリストーンW」、綿先染め等の綿関連素材を中心に使用し、製品洗いをしている。製造は国内外の指定工場で縫製し、同社の販売会社ビッグボーン商事(株)(同所)が全国の代理店を通して八月から販売を開始する。商品アイテムと販売予定価格は、シャツ3900円、トレーナー2900円、パンツ3900円、ジャケット4900円、つなぎ6900円、オーバーオール4900円、帽子1900円。
同社は、ジーンズカジュアル、ユニフォームの企画・製造の大手で、販売はグループのビッグボーン商事が担当している。創業は昭和五十三年四月。


因島鉄工業団地協が明春25億円の大型投資

船体ブロック建造では日本一の生産量を続ける因島鉄工業団地協同組合(因島市重井町474-1、出資金一億二千五百四十五万円、柏原公生理事長)で、総額二十五億円をかける大型投資計画が始動している。
取引先である各造船所は約二年間の手持ち工事量を抱えてフル生産を続けている。一方、製鉄所は幅広鋼材の製造本格化で船体ブロックの大型化が進んでおり、ブロック各社もその対応を迫られているのが現状。同団地でも早くから対応について検討を急いでいたが、建屋と定盤、クレーンの大型化と関連の大型投資を決め、高度化融資の申請を行うための診断を受ける。
今後は組合員との会議を持ち十一月までにはプランの確定を終え、来年四月に着工、一ヵ年の工期で大型化工事を完成する計画。
約二十五億円を見込む設備投資の資金は県の高度化融資を受け、三年据え置き、二十年償還で返済する計画。
同団地では尾道造船、新来島どっく、幸陽船渠、常石造船、三菱神戸造船所、桧垣造船、今治造船、川重商事など全国の造船所からの船体ブロック建造の受注が好調で現在は団地内従業員七百五十人で月間七千tの生産体制を続けている。このうち若年労働力の確保を図るためインドネシアを中心に中国、日系ブラジル人など約七十人を就労させている。
このほどまとめた平成十五年三月期決算では、売上高十六億四千百三十五万五千円、税引前利益一千百四十五万七千円を計上している。次期の業績見込みも今期並みを予想している。
同協組は、昭和三十九年三月十一日設立、団地の海面埋め立て工事に着手、四十年四月から共同施設と六組合員が立地して操業を始め、四十二年に集団化を完了している。団地面積は十五万三千百五平方m、組合員十三社。
▼イワキテック(株)(代表者山本新一、主要生産品=船体ブロック・ハッチカバー)
▼(株)フロンティア(田頭英機、船体ブロック・大型構造物)
▼(株)因島加工センター(柏原公生、船体ブロック)
▼(株)岡本製作所(岡本哲郎、船体ブロック・シャッター)
▼片山工業(株)(片山武夫、自家発電機器・ごみ焼却機器)
▼(株)宮地製作所(宮地秀尚、船体ブロック、大型構造物)
▼日昇無線(株)(四辻修、船舶無線機・発電機)
▼(有)松本鉄工所(松本澄夫、船体ブロック・大型構造物)
▼因島鉄工(株)(宮地秀樹、船体ブロック・印刷機械)
▼新松浦産業(株)(松浦幸男、金属機械加工)
▼因の島ガス(株)(村上祐司、溶材機械販売)
▼因島精機(株)(金山哲也、NC更生タイヤバフマシン・更生タイヤ加硫機)
▼圓光産業(株)(圓光秀己、溶融亜鉛メッキ)



こぼれ話  2003年7月10日号

大激震にも意志は揺れず 静かな山林を粛々と思う

尾道市教育委員会の山岡将吉次長自殺の報は言い尽くせぬほどの大激震だった。市民のショックは相当で大方の人が言葉を失った。責任感の強い人材が責任の取り場を失ってしまうほど追い詰められる環境とはどんな環境か。想像もつかないが、生き地獄を見る思いだ。教育という尊い職場が地獄になっていることを思えば、どうしようもない憤りを感じる。理不尽なことこの上ない。
かといってこの気持ちをどうぶつけていいのか、途方に暮れる。今はただご冥福を祈るばかりだ。
山岡次長が最後の場所と選んだのは御調郡御調町の林道。生まれ育った古里のすぐ近くだ。報道によると遺体発見の前日夜には息子さんに電話をかけ、「元気か」と声をかけていたという。誠実で責任感が強く文句を言わない性格だったと知る人すべてが口を揃える。一年ほど前、教育長を訪ね、教育改革を推進する意気込みをインタビューした折も同席して来訪を労っていただいた。記者会見で教育長を補佐する姿はまじめな実務家そのものだった。
山のような新聞報道の切り抜きを眺めていると混乱するばかり。尾道の良識ある人たちは、爆発しそうな気持ちを抑え、静かに事実関係を受け止めようと努めている。しばらくは喪に服す時間も必要だろう。
途方に暮れながらも一つだけはっきりしていることは、教育改革を望む強い意志が凛として涙に曇ることなく、より固く市民の心に誓われていること。そして今後の舞台は中央に移すことが望まれている。教育改革は日本の課題。高須小もすでに健全化しており、教育プランの成果もめざましい。地殻変動の隙間では個人が押し潰されてしまう。
自然に恵まれた御調の山林はとても静かだ。喧騒を離れ、心を静めるには最善の場所。山岡次長の遺書らしきものは見つかっていないが、本心から願った教育界の在り様はこうした静かな環境だったに違いない。不幸な出来事の連続は、何より本来山々にこだますべき子どもたちの笑い声を吹き消している。粛々と改革の進行を見守りたい。

現職国会議員も出馬 激戦に一転の福山市長選

七月二十七日に告示される福山市長選に七月一日までに四人が立候補を表明した。民主党衆議院議員の山田敏雅氏(53)も立候補を表明、同市長選史上初めて現職国会議員の立候補とあって選挙は一転して激戦ムードとなった。
出馬を表明しているのは現職で四選を目指す三好章氏(73)、元市議小川順三氏(73)、国会議員の山田氏、共産党広島県東部地区委員長の藤田尚志氏(38)の四人。
山田氏は週刊文春の記事に名誉毀損の訴訟を起こしての再挑戦。イメージダウンの記事に一端は立候補話が立ち消えになったが、逆に対立候補潰しの策略にはまったという同情的な見方も広がり、評価が中和されての出馬。民主党も離党し政党に頼らない草の根選挙を開始した。さて各候補が磐石の基盤を持つ現職の三好市長にどこまで食い込むか。論議の高まりに期待したい。(J)


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