作業服大手の(株)コーコス信岡(福山市新市町大字戸手68、資本金十六億九千五百万円、信岡正郎社長)は、県営の新市工業団地(同市新市町相方)に物流センターを建設する。
十月二十二日、県庁に同社と藤田知事、三好福山市長が出席して立地協定の調印式を行い、進出が正式に決まった。
計画では、同工業団地内で最大面積の一万八千四百四十七平方mを取得し、今年十二月に着工、鉄骨造り平屋建て、延べ床面積約一万平方mの「西日本物流センター」(仮称)を建設する。十六年春に完成し、四月から操業を始める予定。総投資額は土地代金を含めて約十二億円。同社が福山市内や府中市内の計三ヵ所に賃借している倉庫を一ヵ所に統合して、物流能力の拡大と効率化を図るため本社近くの同団地進出を決めたもので、この物流センタ―には新規採用も含めて約三十人を配置する。
同団地は分譲面積十二万一千五百七十三平方m、コーコス信岡が進出する隣接地には同じアパレル関係のクロダルマ(株)、シンメン(株)の二社が流通センターを開設、丸善製薬(株)研究所、共同油機(株)、迫田鉄工所(有)が操業している他、メカトロ技研(株)と二社が立地協定を終えており、立地協定面積は四万二千六百四十九平方m、残り面積六万四百七十七平方mで、分譲率は五〇・二五%となった。
コーコス信岡は、明治三十四年、備後絣の産地問屋、信岡商店を創業、現況はワーキングウェア製造、販売、スポーツウェア、ホームセンター向け製品も着実に伸びている。平成六年に株式上場、業界に先駆けてISO14001認定取得し、エコ商品に取り組む。平成十六年三月期予想は、アドバンス東北、松本屋の連結で売上高十六億円、経常利益五億円を見込む。営業拠点は東京、大阪、札幌、工場は本社、長崎県内二ヵ所。
三原市糸崎町のJR糸崎駅南側の海沿いに新築移転した「備後みかん共同選果場」が十月上旬から操業を始め、極早生(ごくわせ)ミカンの選果作業がフル操業を始めている。
三原市内や尾道市内のミカン農家で栽培された採れたてのつややかなミカンが選果場に集められ、傷や腐敗した不良品が取り除かれた後、水洗い、発送先によってワックス仕上げされ、乾燥して大きさや品質で規格分けされ、計量、箱詰めされて市場に出荷される。市場までは一定の温度を保ち最良の状態でそれぞれの市場に向け、専用のトラックで運ばれる。
市場では広島ミカンのブランドで競りに掛けられ、卸業者から量販店や百貨店、果物店へ納入され、家庭の食卓にお目見えする。
備後みかん共同選果場からは東京周辺の首都圏を主に、大阪方面や福島、栃木などの東北に全体の八割が運送される。岡山県や県内には二割が市場に出され地元で消費される。
十月上旬から来春四月上旬まで出荷作業が続き、この間、極早生から十一月中旬に早生が入荷、最後の晩柑まで二千五百tが送り出され、秋から冬の味覚として賞味される。今年は冷夏などの影響で例年に比べ約二割程度の減産が見込まれている。
岡本藤利場長と職員、パートも含めて二十五人体制で七ヵ月間に渡り、広島ミカンの出荷作業が間もなく最盛期を迎える。
同選果場はJA三原、JA尾道が共同運営しており、十三億円をかけて完成し、さる九月十八日関係者が出席して竣工式が開かれた。
昭和二十八年の開館より五十周年を迎えた耕三寺博物館(豊田郡瀬戸田町瀬戸田553-2、耕三寺孝三館長)は十月十九日、敷地内信楽殿で五十周年記念祝賀会を開催した。
会場には柴田大三郎瀬戸田町長や、全国の博物館、美術館の関係者など約百人が出席し節目を祝った。耕三寺孝三館長はあいさつで「地域のための博物館としての役目を果たし続けたい」と抱負を述べた。また新宝物館では「茶の湯の道具展」も記念展として開催した。午後二時三十分からはイタリアの大理石を使った「未来心の丘」で、人気コーラスグループ、ボニージャックスと、ギタリストアントニオ古賀による記念コンサートを開催。会場には観光客や地元のファンなどが集まり、用意された椅子には座りきれない盛況ぶり。時間を忘れて抜群のハーモニーやギターの旋律を楽しんだ。
各時代の寺社様式を持つ二十数棟の仏閣からなる同博物館には、十九の国重要文化財など二千以上の収蔵品があり、年間二十七万人が訪れる人気のスポット。
屏風、掛け軸、襖など製造、補修の山路内装表具(有)(福山市新海町2-4-20、資本金三百万円、山路宜嗣社長、TEL084・953・9820)はこのほど、一般消費者向け商品として、捨てられない着物の一部を屏風に再現して残す「古布屏風」を開発、百貨店の展示即売会などに出品する。
時代を超えて愛される着物生地として人気の古布や、捨てられずに箪笥にしまわれている着物、帯の柄を、屏風やパーテーションの一部にデザイン化して再現。日常生活の中で愛用することで、伝統文化や個人の思い入れのある生活品に身近に触れることができ、癒しの生まれる生活空間を演出する商品として提案する。これまでのホテルや結婚式場の備品としての屏風製造、補修に加え、新たな経営の柱を確立するため、価格競争を避ける高付加価値で一般消費者向けの商品開発を進めていた。同社は市内箕沖町から新涯町に移転した本社社屋の一階に展示コーナー「想い出工房やまじ」を開設、古布屏風やミニチュア屏風などの商品例をPRしている。
先月はビッグ・ローズで開かれた物産展に十〜十五万円程度の古布屏風を出品、好評を得た。この十一月一、二、三日には同じくビッグローズで開かれる、百貨店主催の家具、インテリア展示即売会にも出品、さらに反応を見る。山路宜嗣社長は「家や住環境に視点を移し、広がりのある商品開発を進めていきたい」と話している。
同社は古布屏風のほか、社寺や博物館で保管、展示される屏風などの美術品をデジタル化する「デジタルレプリカ」作成や、グラフィックデザイナーの作品をデジタル化してオリジナルな屏風やパーテーションを制作する「アート屏風」など、創業百十年の伝統技術を基に多方面の商品開発を進めている。HP(アドレス=http://www.byoubu-ya.com/)も開設している。
天下分け目の関ケ原。いよいよ衆議院選挙が公示され、戦の火蓋が切って落とされた。
広島六区からは共産党新人の寺田明充(52)、民主党前議員の佐藤公治(44)、自民党前議員の亀井静香(67)の三氏。七区からは自民党前議員の宮沢洋一(53)、民主党新人の和田隆志(40)、共産党新人の森川美紀恵(53)、無所属元議員の山田敏雅(54)の四氏が立候補。十一月九日の投票日へ向け、各候補とも一人でも多くの支持者を得ようと熱い選挙運動を展開している。
ここ数年、根底から揺れ動いてきた自民党。小泉政権にとってもこの二年六カ月の成績評価を国民に直接問う本格的な選挙となる。公約やマニフェストといった政策を掲げ、各党は「われこそは日本を救わん」と並々ならぬ意気込みを示す。
全国的にも話題の豊富な六区と七区。六区は小沢一郎旧自由党党首と二代の縁でがっちり手をつなぎながらも自転車で街頭演説を続ける庶民派政治家、佐藤公治氏。自民党総裁選で小泉さんに負けたものの、実行力で日本を動かす大物振りを見せつけた亀井静香氏。景気低迷の中で弱者ばかりが散々に痛めつけられている現状を切々と訴える共産党新人の寺田明充氏。自民党の独走を許さないことが目的だったようなこれまでの選挙と違い、日本の将来にとって大きな節目となる選挙に見える。
七区では血縁に頼った前回選挙から議員経験を重ね、名実ともに政治家資質を備えた自民党の保守本流、宮沢洋一氏。元財務官僚で四十歳の若さながら日本の将来を憂い、突き動かされるような気持ちで民主党から立候補した和田隆志氏。六区と同じく弱者の現状を訴える共産党新人の森川美紀恵氏。民主党衆議院の議席を蹴ってまで郷里への情熱を福山市長選にぶつけ、今回、無所属でリターンマッチを挑む山田敏雅氏。候補者はそれぞれに個性的だ。
また七区は芦田川の環境問題や殺伐とした都市化による治安問題を抱え、戦後の日本を象徴した鉄鋼産業に支えられる企業城下町、福山が主戦場。日本の縮図ともいえる課題をもろに抱える。
「日本を変えます」とはどの候補も掲げる言葉。しかし備後地域こそは日本の縮図。当地域が変わっていく先にこそ、日本の未来がそのまま映ると思える。さらには今回、国際紛争、徴税のあり方などまで論議は及んでおり、選挙権を持たない世代の将来をも担っている。しっかりと選挙権を行使したい。
全国的な話題のもう一つは宮沢喜一氏の引退。流暢な英語力がたたって日本語との境界が少々危なくることもあったと聞くが、老練な見識は政治家の鏡として輝く。小泉改革が日本らしさの削ぎ落としとも映る中、議員五十年を目前に潔く引いた宮沢氏の引退は、日本人が大切にしてきた美学の体現だった。
安全保障問題では一貫して外国での武力行使を認めず、ハト派の論客として自民党内のバランスを維持した。「自由はある日突然なくなるものではないが…」の理念通り、今後もその兆候に厳しい監視を続けていただきたい。(J)