ユニフォーム製造の大手、(株)ジーベック(府中市中須町1227-1、資本金一億四千二百五十万円、後藤昇社長)は、平成十五年七月期決算をまとめ、十一月四日発表した。
売上高は八十八億二百万円で、前期比〇・二%増、経常利益九億三千四百万円で、七・四%増、当期利益四億六千七百万円で、二二・九%増の増収増益を達成した。
期中の部門別売上構成では、ユニフォーム部門が八十五億七千八百万円で、全体の九六・九%を占め、カジュアルウエア部門は二・五%となっている。
ユニフォーム部門の中には着実に売り上げを伸ばしている安全靴が含まれており期中でも約九億円を売り上げた。この他ガードマン向け警備服や主に食品加工場に納入する白衣分野にも今秋から参入し、スーツの製造も手掛けるなど、積極的に新規分野への展開を図っている。主力のユニフォームは低価格品での業者間競争は避けて、独自性の高い高品質製品の開発で差別化を図り、「少し価格は高いが独自性を高めた製品にこだわったことが増益につながった」と後藤社長談。約九〇%を占める海外での委託生産も商社経由から直接貿易に切り替えるなど経費削減に力を注いでいる。一方、新製品開発や技術力の向上、特注品の拡大など、独自性の高い企画力を確立するために不可欠だとして本社生産部のほか長崎県に島原生産部、佐賀県塩田町に佐賀生産部を置き、八月には県内の吉舎工場を甲山工場に統合、甲山生産部として国内生産を四工場体制で確立しているのも同社独自性の高い製品の開発や生産を支えている。海外生産は中国が主だが、早くからベトナムや北朝鮮での生産にも着手している。次期業績予想は売上高五%増、経常利益は十億円台確保を目指す。
グループ企業のうち、小売り、卸売り、企業納入などの業務を一括して手掛けていた北海道を市場とする現地法人を来年一月四日付けで改組し、(株)北海道ジーベックを設立、企業への納入部門に特化して経営の効率化を図り、小売り部門は、さる四月に設立した(株)ジー・エム・エスに引き継ぐ。ジー・エム・エスは、ジーベックのアンテナショップ運営が主な業務で、現在は苫小牧と札幌に平岡店(写真)を開設、来年三月オープンを目指して石狩店の建設を進めており、約一千平方mの敷地に七百平方mの店舗を開店する。室蘭市にも旧店舗を全面改築して開店の予定で、アンテナショップの機能を高め市場リサーチを展開し、ユーザーニーズなどの情報収集などに役立てる。
首都圏や大阪などの大口ユーザーや官公庁需要を担当させるため平成十一年九月設立した(株)ジー・エム・ユウ(東京都)は、大手企業への納入を着実に伸ばし、十五年七月期では、売上高四億二百九十二万四千円で、前期比二三・二%増と、目標どおりの拡販を達成している。最近では官公庁への納入にも期待できるとしてさらに新規ユーザー開拓を進めるため、営業活動を強化する。今期は売上高五〇%アップを目指す。
子ども服の製造、販売では県内大手に成長している(株)ヒロセン(府中市広谷町、河岡邦寿社長)は、平成十五年七月期、売上高十九億九百五十三万五千円、前期比で三・七%増を達成している。期中では「ニューバランス」や「ラーキンス」などのブランド拡販を図っているが、昨年から進出した新規事業分野のメンズ・レディース部門が順調に伸びており、「子ども服と並ぶ第二の柱に育て上げたい」と、河岡邦寿社長は企画力の強化などにも取り組む。
グループの中核、ジーベックは、昭和二十三年創業、今年で業歴五十五年を迎える。三十五年十二月、後藤被服(株)を設立して法人化、六十年八月に現在の社名に変更した。東京、大阪に支店を開設、平成三年に現在の本社ビル・アパレルセンター・オペレーションセンターを完成している。グループの従業員数三百四十一人、来期から新規ビジネスモデルが始動する。
ポリ飲料充填・ブロー豆腐充填製造機とその容器を製造販売する備南工業(株)(福山市新浜町1-2-7、資本金千五百万円、小坂章則社長、TEL084・953・1604)は、縮小傾向にある国内の袋豆腐市場に変わる新たな市場を開拓するため、新形状の容器の研究を進めており、氷菓など食品メーカーや医療、福祉関連業者などへ売り込める製品開発に注力している。
同社が開発しているのは、単層ポリエチレンに変わる氷菓の包装として提案する単層発泡ポリエチレン製ボトル(発泡倍率は約1.5倍)。熱が伝わりにくいため氷菓も溶け難く、手も冷たくならない。人気の氷菓「かち割り氷」用容器に利用できる「発泡ボトル」として氷菓メーカーに売り込みを図っている。
また卵豆腐を充填する角型透明容器「角ブロー」や、ポリエチレン製飲料水用容器を改良した製品も試作。どちらも手で引き口を掴んでひっぱると、超音波接着されたフタの部分だけきれいに外れたり、そのフタを着脱式にできるなど、高デザイン性と高機能性を活かす開発力で、医療や福祉業界、健康食品業界向け製品を提案していく。医療向けでは既にゼリー状飲用薬剤容器として月五、六万本を出荷しているが、今後も需要拡大を見込んでおり製品開発を急ぐ。
同社の安倍誠之常務取締役は「容器単独で売り込んでいけるよう研究を進めたい」と話している。
昭和二十二年に冷凍機械製造の小坂鉄工所として創業した同社は、ラムネ瓶の洗瓶機メーカーとして基礎を作った。海外からの清涼飲料水が市場を広げラムネ需要が激減したため、新製品として袋豆腐充填機を開発。バキューム充填技術で特許を取得し軌道に乗せると同時に、自社製造可能な容器とセットで販売する体制に移行。充填技術で共通するポリ飲料容器製造販売にも進出し、最盛期には年間約三億本出荷した。最近では嗜好の広がりから容器の需要も半減したが、高速処理と全自動化を進めたポリ飲料容器製造機はシェア百%、充填豆腐製造機もほぼ百%を維持している。
最近では、ポリ飲料容器製造機の海外需要が伸び中国や中東などへの輸出が好調。韓国の類似製品メーカーの低価格なコピー品も出回るが、安定性や耐久性から備南工業との取引を再開する企業も多い。
主要取引先は全国のポリ飲料製造業者と豆腐製造業者のほか、大手では森永製菓(株)、ロッテスノー(株)など。年商は七億円規模。従業員三十人。本社工場のほか東川口町と曙町に容器工場、新潟県に共同出資の(株)ジェイ・パックスがある。
ホームページ製作などの(有)快的空間(福山市駅家町万能倉12-2、資本金七十万円、藤井壮太郎社長、TEL084・972・2080)は、ユーザー側の使いやすさを重視したサイト構築を提案している。
同社が提供するサービスの特徴は、UD(ユニバーサルデザイン)に基づいた、サイトの使い勝手の良さを基準とするユーザビリティのチェック。サイト閲覧者が商品購入までにどれだけ手間がかからないかといった「効率」、ストレスなく操作できる「快適性」、目的達成までの操作に不自由がないかどうかの「満足度」の三つの観点でサイトをチェックする。サイトの規模にもよるが、三十万円程度から。都市部での同様のサービスに比べ低価格という。
チェックには、必要に応じて色弱や全盲の人、障害者作業所、学生などにモニターとして協力してもらう。サイトのデザイン、設計、システムについて、操作性やクリック回数など百項目を調査したデータをもとにレポートを作成。サイト管理者や製作者にレポートを提出して再構築の参考にしてもらうか、同社でも請け負う。
ユニバーサルデザインに基づいたサイト構成やデザインで、身体能力に関わらず利用しやすいようにサイトを改善していくことが同時に検索エンジン対策にもなり、アクセスアップにつながるという。また再構築後の運営コンサルティングも請け負う。
藤井社長は「大事なのはターゲットに合わせた使いやすさ。ネットショップの売り上げアップもそこから始まります」と話す。同社ホームページ(アドレス=http://www.kaitekism.com/)でもユーザビリティについて解説している。また今月から藤井社長が日本各地の事業者を取材しその起業家精神を紹介するメールマガジン「企業ダントツ化空間」の配信も始めた。
今年八月に法人化し、地方に比べユーザビリティへの意識の高い都市部での営業拠点として、神戸オフィス(神戸市二宮町)も開設している。
同社は現在、地元の小学校や総社市の勤労青少年ホームなどでパソコンの授業を行っている。また広島大学が社会連携を強化する目的で開設した大学情報サービス室を中心として展開する障害者作業所支援共同プロジェクトの一員でもあり、学生や教育関係者、障害者作業所などとの連携を通じて社会性の高い事業を推進していく。
建築土木資材、住宅機器販売などの(株)池万(三原市宮沖5-14-3、 資本金二千八十万円、松下俊社長、TEL0848・64・8511)は、テレビ放送などで注目を集めている光触媒を利用した、建物室内外の酸化チタン光触媒コーティング事業の営業を本格化する。
酸化チタンの膜に太陽光や蛍光灯などの紫外線が当たれば、酸化チタンが触媒となって表面に強い活性酸素が発生する。光触媒コーティングは、この活性酸素による酸化還元作用が有機物の汚れや匂いを分解するほか、抗菌、大気汚染の原因にもなっているNOxの分解にも効果があるとして環境関連事業も手がける三井鉱山(株)(東京都)が「ミラクルチタン光触媒コート」として事業化しているもの。
酸化チタンは従来、食品や医薬品にも使用されており、化学的に安定した安全な水溶性酸化チタン溶液を噴霧器で塗布する。塗布後三時間で入室できるなど短工期で施工が可能。酸化チタンは触媒であるためそれ自身は変化せず、半永久的に効果が持続する。水溶液一lで約二十平方mへの塗布が可能。
既に全国各地で公共設備を中心に施工例が増加している。例えば防汚とNOx分解を目的とした新東京国際空港関連ビルの外壁への施工例や、消臭滅菌を目的とした金沢大学病院内トイレやオペ質での施工など。福山市では国道二号線沿いのアルミ板を基材とした防音壁に防汚目的で塗布されている。一般住宅で施工すれば台所の抗菌、洗面所や浴室の防カビ、外装や屋根の水あか防止に効果があるほか、タバコやペット、車内の匂いも消臭できる。
酸化チタンを使った光触媒の事業化は、最近テレビ番組でも取り上げられるようになり知名度も上昇している。池万が取り組みを始めたのは三年前からだが、建材販売業者のイメージから住環境を総合的に提案する業者へのイメージチェンジの一環として、光触媒コートの営業を強化する。ポスティングで一般住宅へ、また店舗などには防汚効果による清掃費用節減メリットをPR、さらに幼稚園や、院内感染への問題意識の高い病院や快適な空間で差別化を図りたい福祉施設などへの働きかけを強めていく方針。
松下俊社長は「人畜無害の水溶性酸化チタンは環境にも優しい。細菌繁殖の原因となる有機物を分解するわけですから、常にクリーンな住環境が保てます」と話している。
「ワッハッハー」。野村萬斎の笑い声につられるように笑った。涙が出るほどおかしかった。「でんでんむしむし」と萬斎扮する山伏に誘われ、「いざ鎌倉へ」と囃子に乗る太郎冠者(石田幸雄)のこっけいさ。まんまと乗せた喜びに「ワッハッハー」と顔をほころばす山伏。何度も同じ場面が繰り返され、「いざ鎌倉へ」はまるで笑い始める合図。会場も合図の度に笑いの渦に包まれた。
尾道商工会議所女性会の二十周年記念事業「野村萬斎の狂言を楽しむ会」の一コマ。一際笑い声が高かったのは総勢二百七十人の小学生たち、市内の小学校から招待された児童たちだった。彼らは本当にいい経験をしたと思える。二百七十人はほとんどが外国へ行く機会を持ち、国内でも外国人と話す機会をたくさん経験する世代。西洋を崇め、自国文化を卑下する世代と違い、和の国の文化の繊細さを声高らかに説明してくれるのではなかろうか。そんな思いにも後押しされ、心から笑えた。
同女性会の記念事業は二本立てで後半は今をときめくピアニスト渡辺雄一さんのコンサート。癒し系の曲調は、心に溶け込むやさしい音楽だった。驚いたのはその人柄。人柄も曲調と同じ和音、相手の心をやさしく包み込むような方だった。
女性会の祝賀会にも出席、参加者と同じテーブルに着いた渡辺さんは、脇に置かれたピアノで和やかな会場のBGMも担当。各テーブルの会話を妨げることもなく、自然に耳に入る演奏を続けた。出席者の多くは活動家の女性。一組が勇気を振るってピアノの後ろに立って記念撮影を始めると、後は連続。絶え間ない撮影グループの往来にも指を止めることもなく、一組一組に笑顔で快く応じていた。気高い芸術家のイメージとはまったく逆のサービス心いっぱいの渡辺さん。NHKドラマ「盲導犬クイールの一生」(沢口靖子主演)の主題歌を作曲、韓国で驚異的なCDセールスを記録するほどのピアニストがまるで久し振りに会った親友並み。恐れ入った。
恐れ入ったのはもう一つ。女性会の来賓、尾ア公子さん。高齢ながら全国商工会議所女性会連合会副会長の要職にある。近畿商工会議所女性会連合会会長でもある。来賓席に座っている間は失礼ながら萎んで見えた。ところが、挨拶に立つと、びっくり。演説上手の政治家もたじろぐに違いないほどかくしゃくとしたしゃべりっぷり。尾道商工会議所女性会恒例のさくら茶会も、この人にかかると、この世でこれほど立派な事業は類がないほどの称えっぷり。次の来賓が「話すことを全部しゃべられた」と尾ア副会長を評すると、雛壇席から両手ピースで応える元気ぶりで、会場に招かれた男性会議所議員のあちこちからも「負けた〜」の声が漏れ聞こえた。
名刺の裏にはオザックス(株)取締役相談役とあり、全国各地に加え、ニューヨーク、シンガポール、ハンブルグ、上海、ホーチミンと拠点地名が並ぶ。浪花女性のパワーに圧倒される外国人ビジネスマンの姿が目に浮かぶ。尾道商工会議所女性会二十年の節目に女性の時代を色々な意味で目の当たりにした。(J)