トマト加工品の最大手、カゴメ(株)と提携して世羅郡世羅町に西日本最大規模のハイテク農園を建設した(有)世羅菜園(資本金五千万円、兒玉眞徳社長)が隣接地を取得して施設を増設し、トマトの大幅な増産を始める。
計画によると、現農園に隣接する国営開発農地「百貫山団地」一五・二ヘクタールを取得し、温室等の生産施設約五・八ヘクタールを新設、ロックウール養液栽培によるトマトの生産を始めるもので、近く施設の建設に着工し、平成十七年半ばから生産を始める。
従業員も新規に約八十人を雇用する。総事業費は約二十二億円、なお、増設計画により、十一月末にはカゴメが現在の出資比率一〇%から五〇%まで引き上げる増資を行い、株式会社に組織変更する。増資は三千万円で新資本金は八千万円となる。
世羅菜園は、平成十三年からコンピュータ制御によるトマトのロックウール養液栽培を始めており、従業員約六十人で、カゴメが開発した赤みが強い、こくのあるプラムレッド、ラウンドレッド、ミディレッドの三種類を生産し、近畿や中四国、九州地方のスーパー、食品店に生食用として出荷している。今の年間出荷量は約八百五十t、新施設が操業を始めると約二千三百tと大幅に増産される。
十一月十八日には県庁本館四階の農林水産部長室に、県、県農林振興センター、世羅町、世羅菜園の関係者が出席して、立地協定書交換式を行い、施設の増設計画が決まった。
増設工事が完成すると国内最大級のトマト栽培農園が誕生する。
また、同団地内にはサラダ菜の水耕栽培では日本最大級の(株)日本農園の新規立地が決定しており、ハイテク技術による農業団地が形成されることになる。
尾道市、尾道商工会議所、尾道地域中小企業支援センター、尾道市ニュービジネス懇話会の共催で第二回新規事業提案コンペ〜尾道発でニュービジネスを!!〜が十一月二十日午後六時半から九時まで尾道商工会議所二階大会議室で行われた。
第一部ではインターネットで高級ワインを通信販売する勝田商店の勝田滋樹常務が事例を報告。高級ワインに特化、インターネットの国内最大モール「楽天」に四年前から参加して全国のワイン愛好家を獲得、月商平均六百万円を売り上げている現況を話した。
勝田常務は「パソコンは一から学んだ。実店舗販売ではチラシ配布の営業で効率の悪さを体験、インターネットでは百万円のワインを購入する愛好家と出会える。中心はオークション販売と企画商品のメールでの提案。メール会員は反応のいい二万人がいる。重要なのは親切、丁寧なメールでのサポート」とこれまでの苦労とネット販売での驚くべき成功体験を解説。インターネット利用による身近な成功は、会場の参加者に衝撃を伝えていた。
第二部はこれから挑戦しようとする事業の紹介。表具処軸源の津口知幸さん、広島県立尾道工業高等学校の土生達朗教諭と生徒の皆さん、アトリエドラゴンの村上博郁さんと松本健司さんの三組がそれぞれ新事業を発表した。
軸源の津口さんは、尾道帆布を素材にしたオリジナル襖・屏風・衝立の提案、実物を展示しながら帆布の耐久性と相性を説明した。また古くなった着物を素材に襖を思い出深い和風デザインに張り替える提案も好評で潜在需要が見込めるとのこと。
工業高校の土生教諭らはテクノボランティア21を提案。地域で求まられる技術サービスを生徒が社会性の学びの機会としてボランティアする内容。地蔵堂の屋根の修理、高齢者のラジオ修理、電球交換、パンづくり教室主催など。費用のかかる修理の資金提供なども呼び掛けた。
アトリエドラゴンの村上さんは芸術文化活動を世界発信することによる尾道活性化を提案。若い芸術家はオープンな制作、発表の場となる施設を求めており、それを整備することでまちが活性化するという提案。十月に千光寺山斜面の民家で実施した「イーヨンサンの世界展」をビデオで紹介、映像制作での若い手の力を利用すれば、低価格で店舗のCMが作成でき、CMコンペが可能との提案もあった。
各提案には、尾道出身で(株)資生堂元執行役員の池尻昭爾さんとNPO法人広島経済活性化推進倶楽部理事長で公認会計士の加藤新三郎さんがコメント。不足する視点などをアドバイスした。また総括的に今回の発表内容の質の高さを好評、単なる発表会に終わらない今後のフォローを主催者らにもアドバイスした。
(株)森川観光グループ(三原市須波西町765-953、資本金五千四百五十五万円、森川孝人代表取締役会長)は十月二十二日、社交場「日本一桃太郎」を福山市松浜町のビルから昭和町のビルに移転、同時にハワイアンムードの新業態店「福山・鬼ケ島」もオープン、夜の福山を低価格で楽しめるスポットとして話題を呼びそうだ。
「二十一世紀の社交場」として二年前から中国地方や九州で展開している「日本一桃太郎」は、女性も楽しめる娯楽スペースとして人気も定着。しかし同社では「飽きられる前に先手を」と、福山市昭和町3-10、国道二号線沿いで住吉スクエア西向かいの旧第2長谷川ビルを競売で取得し新装、娯楽スペースとしてリニューアルオープンさせた。
六階に約六百平方mで百七十三席の「福山日本一桃太郎」、五階にハワイアンムードの「福山・鬼ケ島」を開店。それぞれ五十八人、三十二人のホステスを配置する。「桃太郎」の営業時間は午後六時〜午前〇時、午後七時までに入店すれば男性三千円、女性千円でビール、ウィスキー、ブランデーが二時間飲み放題。
ハワイをイメージした新業態店「福山・鬼ケ島」では、ハワイアンダンサーやバンドによるショーとともにトロピカルな料理、各種カクテルを楽しめるバーで南国気分を満喫できるスペースとなる。ボックス席五十四席、個室五十六席、円卓四十席、カウンター二十四席の計百七十四席。七階を事務所とし、他の階は飲食店中心のグルメスペースなどを予定。営業時間は午後六時〜午前〇時、午後七時までに入店すれば男性二千円、女性千円でビール、ウィスキー、ブランデーが二時間飲み放題。カクテルは三百円〜。来客の満足度を高めるため、五〇頁程度あるサービスマニュアルも刷新するなど新体制でアミューズメントスペースを演出。森川孝人会長は「二十一世紀は個性際立つ桃太郎の時代。夢を売っていきたい」と話している。
瀬戸田しまなみユースホステル(豊田郡瀬戸田町垂水58、大本城基館長、TEL08452・7・3137)では、昨年十月に水質鑑定に提出した冷泉サンプルのラドン含有量が温泉基準を上回っていたことが分かり、正式に温泉として認可されたため、宿泊客が利用できるよう浴室を改装、「瀬戸田垂水温泉」として宿泊客から喜ばれている。
二年前庭に掘った井戸から湧き出ていた冷泉は、専門機関で検査してもらったところ温泉の基準値を上回るラドン、二一マッヘを含有することが判明。飲用はできないが、湧出量も二九・八l毎分と多い。保健所にもデータを提出しこのほど温泉利用の許可が下りた。疲労回復、健康増進などに効果があるとされているメタケイ酸も基準値を超えて多く含んでいるなどの特徴がある。
浴槽は一七〇cm×一二〇cmの従来のものを利用するが、浴室は内装やすのこを新調するなど改装を進めており、循環式ながらリフレッシュした設備でしまなみ海道での新たな人気スポットに育てたい考え。既に一泊の予定だった利用客が連泊に変えるなど、早くも「温泉効果」が現れているという。またひょうたん型にデザインした浴槽と、その周りに岩を組む浴室を来月にも新設する予定。かけ流しで新鮮なお湯を楽しめる温泉となる。学生の合宿などで賑わう冬休みに入る前に正式に温泉開きをする予定。大本城基館長は「温泉は水がよければそれ目当ての宿泊客も増える。じっくり改装を進めながらファンを開拓したい」と話している。
井戸には観音堂を建立して祀っている。看板も「温泉」の文字が入ったものを設置、パンフレット作成も進めており、来春に向け本格的にPRに乗り出す準備を進めている。浄化槽設置など一段と基準の厳しい公衆浴場の許可を申請するかどうかは経過を見ながら判断する。
同ユースホステルは昭和五十三年オープン。弓道場もあり合宿利用での人気も高い。
今朝、前を走っていた車が前方の赤信号をスーと通り抜けた。卒のない運転振りだったから、恐らくは信号の見落としで、本人も気がつかなかったと思われる。命を落としかねない見落とし。気忙しい師走ともなれば、人ごとだと片付ける分けにもいかない。人の振り見て我が振り直せ。自戒の念を強くした。
赤坂バイパスではバックミラーに大きく映る小型トラックが気になった。せかすような運転振り。ピタリと後ろに迫ってくる。フロントガラス下の店名が運転しながらもはっきり読める。抜き去った背面にも同じ店名が読めた。店名に憤慨。こうやって客を減らす会社もある。いまどきはインターネットの掲示板で悪口も実名入りで流れる。看板を背負った車をお持ちの経営者の方は教訓として社員にお伝えいただきたい。師走は何かと気忙しい。急がば回れ、事故も少しの余裕で防げる。
付け加えの話を少々。福山の市外局番が0849から084に変わって久しい。めったに使わない封筒など大量に作った印刷物の0849は仕方がない。ただ福山の企業の方からたくさんFAXを頂戴するので気付く。FAXの発信者番号が0849のままの企業が意外に多い。設定ですぐ直せる。師走のうちに点検されてはいかがだろうか。
合併で市外局番もややこしくなった。クイズ=福山市新市町の市外局番は084でしょうか?(答えは0847)。変化の激しい、混沌とした時代の師走。徒然なるままに筆を走らせ(キーに向いて)、失礼いたしました。(J)
ライトアップによる幻想的な空間の演出や、癒しを感じられるイルミネーションなど、光をテーマにしたイベントが盛り上がる季節。尾道の商店街で、夏は「水祭り」で賑わう旧水尾町が、今年から「新しい風物詩に」と、「おのみちミズナリエ2003」と題したイルミネーション企画を実施している。
きっかけは町内に住むアメリカ人女性の「アメリカでは当たり前。ここでもやりたい」との一言。最初は数軒で始まった飾り付けだが、われもわれもと協力者が増え、電飾を施した通りが伸びている。「きれいですね」「写真撮ってもいいですか」と、通りがかりの人たちからの反応もダイレクト。関係者は「ますますバージョンアップを」と意気込む。
その姿からは、先月福山で開かれた「備後地域リノベーション(再生)シンポジウム」のパネル討論のパネラーの一人、稲田全示尾道大学教授の「尾道にはまちづくりに熱意を持った人が多い…」との発言が思い出された。
艶やかに夜景を浮かび上がらせる電飾の「光」。人を呼び寄せ和ませる住人たちの放つ「ひかり」。二つの力が商店街を含めた観光都市尾道の活性化の一助となれるか。尾道商工会議所も初めて電飾コンテストを実施、作品募集を行っており、より広域的なエリアを巻き込む取り組みの展開で、尾道に新たな財産の誕生が期待される。 (N)