因島市が同市重井町に造成した因島商工業団地に進出した企業第一号が操業を始め、来春までには四社が相次いで稼働を始める。
長引く不況の中で完成した市営団地は四社の企業進出が決まり、二万平方mのうち約七〇%の分譲率となり、近く完売するものと期待されている。
進出第一号となる四国溶材(株)(今治市宅間甲360、資本金九千万円、村上景一社長)は、同所に約千七百平方mを取得、鉄骨造り一部二階建て、延べ床面積千百二十平方m、二階部分が事務所スペースで、平屋部分を倉庫として使う。四国溶材(株)因島営業所として、渡辺宅治所長と五人を配置し、十二月十二日から営業を始める。TEL(08452)6・1300。因島営業所は因島市、瀬戸田町、向島町、愛媛県内の弓削町、岩城村、生名村などの島しょ部をエリアに営業と配送業務の拠点施設となる。同社は愛媛県内を主に香川県、広島県をエリアに、本社、松山、西条、新居浜、丸亀、本土側には三原営業所を開設し県内をカバーしている。平成十五年三月期の売上高七十八億円、四国溶材商事、今治プロパンガス、四国液酸、東予ガスセンター、土佐溶材、山陽酸素の企業グループを形成している。
近く完成するのが(有)はと印刷(同市田熊中央区1086-1、金山高志社長)、敷地約千平方mに、鉄骨造り二階建ての印刷工場と事務所、三和鉄構建設(株)(尾道市)が施工している。
(有)四辻製作所(同市重井町5800-76、四辻章社長)は敷地約千平方mを取得して、工場を建設する。
園芸用鋏製造で知られる(株)岡恒鋏工場(市内田熊町18-1、岡野忠嘉社長)は、敷地一万三百五十三平方mを取得、第一期工事で鉄骨造り平屋建て三百三十平方mの工場を建設する。将来は瀬戸田工場、本社工場も集約する構想も検討されるとみられている。第一工房が設計、(株)宮地組が施工して建設工事を進める。
因島重井商工業団地は、団地面積三万五千平方m、市の幹線道路沿いにあり、分譲面積二万平方m。四社の進出が決まり分譲率は約七〇%、因島市は進出企業に立地促進助成、工場立地促進融資の優遇制度のほかに市の工場等立地奨励金や雇用奨励金、雇用促進事業助成金の給付など制度面からも支援体制を強化している。
CATV事業の三原テレビ放送(株)(三原市東町3-14-1、勝村篤博社長)は十一月三十日午後二時五十分から、三原市城町の三原国際ホテルで設立二十周年を祝い「日本海・瀬戸内海・太平洋縦断 まちづくりとCATVネットワーク」と題して記念フォーラムを開催、市や商工会議所、同社関係者ら約七十人が参加した。
冒頭で勝村社長が「無事買取も決まったが今後も市民の協力が必要。CATVがまちづくりにいかに関われるか勉強したい」と挨拶。基調講演では総務省郵政行政局総務課調査官の山崎俊巳氏が「IT最新事情と今後(CATVの今後)」、経済産業省中国経済産業局長の西出徹雄氏が「まち創りと産業活性化の必須ツールそれはCATV」と題して講演。パネル討論では「観光カリスマ」こと森賀盾雄氏をコーディネーターに、六人のパネラーが地域とCATVについて討論した。
基調講演に続くパネル討論では新居浜市企画部情報政策課長の「観光カリスマ」森賀盾雄氏をコーディネーターに、同市企画部長の泉水克規氏、高知県のSwanTV企画推進室長の田増義大氏、島根県平田市のアイ・ねっと(株)社長の石原俊太郎氏、(有)みどり書店(三原市)取締役の平田靖氏に基調講演した二氏を加えた六人が討論した。
田増氏は「高知でもNHKすら入らない田舎だが、住民からの要望で事業を進める『地域のCATV』が定着。見るテレビから出るテレビに成長した」と成功事例を報告。石原氏は「三万人都市・平田市の住民に、日常会話に必要な地域の情報を提供しようとJCでCATVを立ち上げ三セク化した。地域貢献への熱意を実らせたい」、平田氏も三原JCの立場から「CATVとはやっさもっさTVという広報番組で関わりが深い。三原の情報インフラ整備も進みつつある。まちの役に立つ企画づくりに応えていきたい」と意欲を話した。
泉水氏は「街づくりは人づくり。文化との接点を住民に提供しながら、自分で選ぶ、決めるという機運を盛り上げ地方自治にも資するCATVになってほしい」、山崎氏も「基本となる対面式コミュニケーションを補助するのがネットやCATV。そのために必要なものを考える場が必要」とともに課題を話した。
地域資源をいかしたまちづくりなどで多くの成功事例を導いてきた「観光カリスマ」として全国で講演している森賀氏は「CATVは地域の活性化をサポートするツール。三原ならやっさ祭りや保健福祉大学などを番組企画にどう活かすか」と問いかけ、「お年寄り対象の健康教室をなぜ三原で開かないのか」と関係者をあおる一幕も。終始「豊かなコンテンツワーク」の必要性を説きフォーラムをまとめた。
フォーラム終了後の懇親会も、各氏の事例に興味を持つ参加者で引き続き盛況だった。
福山大学(福山市学園町一番地三蔵、西ア清久学長)は五日、ひろしま産業振興機構の産学官の交流による地域産業振興事業として大学での研究公開を行った。
同研究公開には地元中堅企業を中心に六十人、県立工業技術センター及び地元自治体関係者など四十七人、大学の関係者二十九人の合わせて百三十六人が参加、福山大学内の大講義室で研究プロジェクトごとに担当教授らの発表を聴いた。
発表されたプロジェクトは人間文化学部、工学部、生命工学、薬学部の七テーマ。講義室での発表後はそれぞれの研究施設を回って研究施設を見学、その後、大学会館食堂で交流会を持った。
今回の研究発表は次の通り。
一、熱から電気・動力を得るには?▽人間文化学部環境情報学科教授=伊藤祐一氏。
二、耐震構造システムとその材料の開発▽工学部建設環境工学科教授/ハイテク・リサーチ・センター長=福本秀士氏。
三、電子回路の電磁波雑音耐性の簡易試験法に関する研究▽工学部電子・電気工学科助教授=香川直己氏。
四、糖脂質バイオサーファクタント製品化技術の開発▽生命工学部生物工学科教授/生命工学部長=松浦史登氏。
五、ダイエット剤、ハイドロキシクエン酸の微生物による生産▽生命工学部応用生物科学科教授=山田靖宙氏。
六、リソソーム局在化分子シグナルを導入したDNAワクチンの研究開発▽薬学部助教授=赤ア健司氏。
七、医薬素材の分子設計と創薬―標的分子の設計・合成と医薬素材の探索―▽薬学部教授=日比野俐氏。
福山大学では独自に産学官連携推室を設置しており、学術情報の提供や共同事業の推進、公開授業など生涯学習支援、受託研究と助成資金獲得支援、知的資源の管理などに関する窓口となっている。また企業との出会いを促すため、研究者一覧表も作成している。教授陣の今回の研究公開を機に地場企業との連携が促進されることに期待しており、「まずは相談を」と呼び掛けている。
問い合わせはTEL084・936・2111代表まで。
観光バスの(有)城南観光(豊田郡本郷町船木1599-2、資本金二千二百万円、松本邦雄社長、TEL0848・86・6183)はこのほどリフト付きのハイデッガー一台を導入した。昨年導入したベンツ製の観光バスとともに話題性のあるバス導入で他社との差別化を進めている。
九月に約四千万円で導入したリフト付きの大型ハイデッカーは車椅子ごとリフトで車内に収容、そのまま座席に座れるよう補助座席を付けない特別仕様車。この秋に老人ホームなどの団体旅行の利用があり、車椅子を利用する入所者、介助者からともに喜ばれた。車椅子用のスペースは中ほどにある座席を前後にスライドさせて確保、通路は特注のフラット仕様で移動しやすい。リフトが高いと車椅子利用者の恐怖心がより強くなるため、スーパーハイデッカーよりも車高が低い日野自動車のハイデッカーを選択、同車種では県内初という。四十五座席あり、車椅子二台が乗れば三十七座席となる。来年に向け高齢者施設などへの営業を強化していくとともに、このオフシーズンには運転手の介護知識向上に取り組みながら、介護タクシーを含めた介護分野への本格進出に備える。
また昨年はドイツ・ベンツの大型スーパーハイデッカー「ネオプランスターライナー」を導入。日本でも同車種は十台しかないうえ、珍しい外装やビールサーバー装備など話題性も重視した。外装はコガネムシのように、見る角度により紫、青、緑色と変わる「マジョーラ」。バス愛好家が珍しがって本社まで撮影に来たという。また観光地でも「どこのバスか」と見物客が集まり、次回の利用につながっているなど営業効果を実感。マジョーラ仕様は西日本でも数台しかない。また車内に取り付けたビールサーバーは「生ビールを飲みたい」という客の要望を実現したもので、バス向けに改良を加えた特注品。10リットル、19リットルの樽買取で提供する。車内にはトイレも備える。
規制緩和で激化する競争に勝ち残ろうと差別化できるバス導入を進める「同社の松本隆幸専務取締役は「バリアフリー旅行の需要はこれからますます高まる。リフト付きバスで車椅子を利用する方もどんどん旅行を楽しんでほしい」と話している。
同社は観光バス十八台を運行、またグループの城南運輸(有)(加茂郡河内町戸野211-1、同社長)も四十五台のトラックとクレーン車、事故処理車、リフト、霊柩車、寝台車で営業している。
「三原は絶対日本一の福祉のまちになれます。断言します―」。
先月開かれた三原テレビ放送二十周年記念フォーラムでのパネル討論のコーディネーター、新居浜市企画部情報製作課長・森賀盾雄氏の力のこもった一言。これまで各地のまちおこしを成功に導いた実績に裏打ちされた自信と巧みな話術で、討論を仕切った政府認定「観光カリスマ」の発言に、出席者はうなずきながらも、その責任の大きさを再認識した関係者が多かったはず。
森賀氏は「風習や生活など地域に根付いた文化を核にした新しい社会を生み出していくべき。三原には幸いやっさ祭りと県立保健福祉大学がある」と持ち上げたあと、地域コミュニティ活性化につながる健康づくりのため、大学を中心に保健士、理学療法士などと連携した健康教室を高齢者対象に開くことを明快にアドバイス、「なんなら私が全部計画しますよ。既にやったところもあるし…」と一気にまくしたてた。
これまで行われてきた福祉機器展示会や介護・福祉関係の就職ガイダンス、十回目を迎える福祉用具研究会など、「福祉のまち」実現に向けた事業には一定の評価があるとは言え点の状態で、市民の協力を得ながら線、面につなげていくのはこれからの課題。「観光資源」にまで高めるには遠い道のりだが、まず地域住民のための福祉機能強化に向け、具体像を思い描きやすい今回のヒントを活かせるか。 (N)
今朝、赤信号で停車していると横にワゴン車。交差点の反対車線には二台続いてワゴン車。交差する道路から曲がって来た車もワゴン車だった。それぞれに違う名称だが、なんと全てデイサービスの車。まち中でちょくちょく見かけるようになったが、これほどまでとは…。大げさではなく本当の話。福祉も一大産業になったと驚く。
あるところで高齢者が行方不明になったと大騒ぎがあった。家を間違いなく出た。しかし近くにいない。いつものデイサービスに出かけるため、門の前に立っていたはずだという。しばらくして無事と分かり、行方不明の原因が間違えて同業他社のデイサービス施設に行ったためと分かった。一安心。しかしいつものデイサービスの関係者は大変な気苦労となった。
高齢だから車を間違えたご本人に責任はあるまい。連れ去った別の施設ではスタッフが顔も覚えていないのか、本当に家族同様の心で接していたのか、関係者の憤りは福祉制度の在り方まで広がっている。これも福山の高齢者介護施設の経営者からごく最近聞いた本当の話。
福祉サービスが一大産業となった一方で、無機質なサービスも拡大しているようだ。交差点で火花を散らす熾烈な競争社会が目に浮かぶ。世界に例がない高齢社会の先頭を突っ走っている日本。前例がないときは仕方がない。一度起きた事件を教訓としてどう次に生かすか。老人はモルモットではない。しかし当面は危ない交差点にお年寄りたちが誤って迷い込むことがないよう祈るほかない。(J)