びんごトピックス  2004年3月1日号 

表紙写真     


中島硝子工業がISO14001取得

各種ガラス製造販売などの中島硝子工業梶i井原市木之子町5301-2、資本金九千六百万円、勇木健社長、рO866・62・1237)はこのほどISO14001一九九六年版に審査登録された。
登録範囲はフロート板ガラス、鏡材の二次加工を主とする強化ガラス、合わせガラス、複層ガラス及び生板加工ガラス製品の開発・製造における@省エネルギー(電力・LPG)A省資源(ガラス・包装資材・紙)B廃棄物削減(ガラス屑・廃プラ)C環境配慮商品の販売(ソーラーガラス)を推進するための環境マネジメント」。審査登録機関は財団法人日本企画協会、登録日は一月十四日。平成十年にはISO9001二〇〇〇年版でも審査登録されている。
産業廃棄物に関する法規制強化や、リサイクルを重視した循環型社会への移行を背景に、同社では一昨年七月にキックオフ宣言し取得に取り組んだ。同社ではISO9001でも審査登録されていることから、比較的スムーズに取り組めたという。細羽道治取締役総務部長は「工場内が目に見えてきれいになるなどの即効性もあるが、環境にも優しい企業として従業員、地元市民が胸を晴れる企業としての地位を確立したい」と話している。
板ガラスの二次加工メーカーとして実績のある同社では現在、オリジナル製品の開発にも注力している。ISO14001登録範囲にもある環境配慮商品の一つとしてPRを強化しているのが外壁用光触媒ガラス「セルフクリア」。ガラス用に改良された光触媒コーティング剤を板ガラスにコーティングしたオリジナル製品。太陽光による触媒効果で汚れを浮かし、親水性のガラス表面に当たる風雨が洗い流す。雨を原因とするシリコン染みなども分解され、防汚、抗菌、消臭、大気浄化などに効果がある。高温焼付け処理により耐久性も高い。窓清掃にかかる負担が軽減され、環境にも優しい外壁用ガラスとして売り込みを図る。
製品の厚みは三〜一九oで、最大寸法は二四〇〇〜五〇〇〇o。強化ガラス、倍強度ガラスと、それらの合わせガラス、複層ガラスに対応する。抗菌作用による院内感染防止を目的とした病院・福祉施設、飲食店などの厨房ガラスなどへの採用も期待されている。
岡山県から工業振興補助金制度の「夢づくり・オンリーワン貴重育成支援事業」指定を受けて得た補助金を研究開発費の一部に充てた。特許出願中。環境への配慮が評価され、既に鳥取県衛生環境研究所の研究棟にも採用されている。
同社は昭和二十三年創業、同四十年に会社設立、高付加価値ガラス製造を主に本社工場のほか千葉県に関東・東庄工場、愛知県に名古屋営業所を開設している。従業員百七十人、年商三十億円規模。


曙工芸が桐箱の「ぱんBOX」提案

桐箱製造販売の曙工芸梶i福山市新市町上安井368-1、資本金一千万円、桑田博隆社長、рO847・51・5215)は高度な桐加工技術を活かし、桐箱を主としたアイデア商品を強化している。
総合病院や産婦人科で出産時にへその緒を収納する「へそ箱」が記念品としてサービスされるが、国内で出回る「へそ箱」の五%に当たる二万個は同社が出荷するなど加工技術には定評がある。確立された高度な技術と、工場からの発送で製品を低価格で提供できる強みを活かし、エンドユーザーからの受注拡大を目指してホームページ(アドレス=http://www.kirihako.com/)を二月にリニューアルし、オリジナルのアイデア商品の提案を始めた。
中でも力を入れるのは、同社ウェブ担当の桑田真由美さんが主婦の知恵から開発した「ぱんBOX」。軽量で防虫作用があり、熱伝導率が低く温度を一定に保ち、かつ湿湿気も調節するなど桐の特性を食品保存ケースに生かした。食パン一・五斤が楽に入り、湿気やすい菓子類などの収納にも向く。試作品を試したモニターからも「冷凍庫や常温での保存に比べ柔らかさが持続する」と好評なため商品化した。フタと箱本体は密着させず、力を入れなくてもはずせるようにかぶせ式を採用、主婦の知恵が生かされている。HPでは千五百八十円(税込み)で販売中。同社では防腐剤を使わないこだわりのパン製造・販売業者での委託販売や、結婚式の引き出物としての利用を見込む。桑田さんは「大事なのは箱に何を入れるか。ユニークな発想で今後もアイデア商品を提案したい」と話している。
食品保存ケースとしてはほかにパスタを保存する麺箱、茶入れなども販売中。HPでは「手作り」をPRするため、桐の丸太を乾燥させるところから実際に箱に仕上げるまでの工程紹介を充実させている。ほかにも桐のマウスパッドやティッシュケース、累計で千個は出荷したという象嵌を施したハガキ入れなど多彩な桐製品を取り扱う。サイズや用途を記入する無料見積もりフォームも設けた。陶芸作品の収納ケースなどオーダーメードでの注文にも一品から応える。
同社は昭和四十七年会社設立、へそ箱のほか指輪など貴重品収納ケース、行政サービスで利用される金杯・銀杯ケース製造などが主力。実用新案を取得したヒット商品も生み出している。従業員十五人、年商九千万円規模。


マリコがブレスエアーの枕・クッション商品化

床ずれ防止マット製造販売の泣}リコ(井原市東江原町972-1、資本金三百万円、池田真理子社長、рO866・62・0880)では、主力のマットを中心に枕、座位保持クッションなどの商品を拡充、このほど大阪で開かれた「医療・健康福祉産業マッチングフェア」にも出展するなどPRを強化している。
同社は、東洋紡績製の高弾性・高通気性新素材ブレスエアーを芯材に使用し、井原市特産のデニムをカバーとして組み合わせたマットを製造販売しており、インテリア性も重視した実用的な福祉製品を提案するオリジナルブランド「Mariko World」として展開中。このほど新製品として「快眠マクラ」「座位保持クッション」「円座」「背当て」を完成させ、販売を始めた。マット同様、芯材はウレタンの二倍以上の体圧分散性を持つブレスエアーでカバーもデニム。
「快眠マクラ」は幅五〇p、奥行三八p、高さ七pで、高弾圧効果で必要以上に頭部が落ちず、また中央部の溝でしっかり頭部の姿勢が維持される。通気性が高く蒸れない。色はインディゴブルーとアイボリーで定価八千五百円。
「座位保持クッション」はもともと車椅子利用者向けに開発した製品。座っている時間の腰への負担を軽減するため、芯材のブレスエアー底側の一部を削り、使用時に太ももで座位を保持できる構造。長時間座っても疲れず、車椅子のほかにも事務椅子や車など幅広く使用できる。幅・奥行ともに四〇p、高さ五・五p。色はインディゴブルー、赤、ベージュで定価一万八千円。
病院の看護婦の要望から開発したという「円座」は幅・奥行ともに四〇p、高さ六p、中央に穴を開けている。色はインディゴブルーとベージュで定価八千円。「背当て」は幅四二p、奥行一三p、高さ七p、色はインディゴブルーで定価八千円。
全て丸洗い可能で清潔さを維持でき、デニムの風合いの変化も楽しめる。ホームページ(アドレス=http://member.nifty.ne.jp/i-mariko/)でも販売している。既に円座は広島県内の医療・福祉機器販売業者が代理店となり病院などでの採用が進んでいる。池田真理子社長は「福祉機器でありながらインテリア性を重視し、通気性、清潔さを兼ね備え、かつ井原のデニムを組み合わせた欲張りなブランドとして展開したい」と話している。
同社は二月二十六、二十七日に福祉機器メーカーや百六十社以上が出展するインテック大阪(大阪市)で開催された「医療・健康福祉産業マッチングフェア2004」にブースを構え各商品をPR、二十六日には会場特設ステージで販売業者らにプレゼンするなど、積極的に営業活動を行っている。


マルゴ有機農場が中国野菜などニッチ商品に挑戦

醤油、めんつゆなど製造販売の潟鴻Cヤルマーゴ(福山市神村町3685-1、資本金二千万円、寺岡晋作社長)の関連会社、農業生産法人マルゴ有機農場汲フ松永農場(福山市南松永町2-3-25、坂本詩郎農場長、рO84・933・4871)では多品種の有機野菜栽培を本格化しており、最近では中華料理店向け中国野菜などニッチな市場を狙った有機野菜栽培に取り組んでいる。
松永農場は昭和五十年に潟鴻Cヤルマーゴの醤油原料の大豆・小麦調達のため、松永の塩田跡地を深さ十mほど埋め立て約三万坪の農地を造成、個人事業として有機農場をスタート。現在は南松永町と松永町の二箇所の農場を主に計約三・五ha。鳥害の影響で醤油原料の小麦栽培から多品種野菜の有機栽培中心に転向、昨年度は二十五種類の野菜を栽培している。
現在はニンジン、ホウレンソウ、キャベツ、レタスなどが出荷待ち。ニラやニンニク、無臭ニンニクなども順調に育っている。今後新しい野菜として中華料理店向けの中国野菜「クウシンサイ」「サイシン」などの栽培を始めるため、現在のビニールハウス三棟を五棟に増設するなど準備を進めている。最終的には計十三棟まで増やし、さらに新しい野菜を栽培する計画も進めており、通称「個性品」と呼ばれるニッチな市場開拓を図る。
堆肥には豚糞、牛糞、鶏糞、油カスなどのほか、ロイヤルマーゴでの醤油製造工程で残る醤油カスを混ぜ込み、動物性、植物性のバランスを調節。醤油カスには多少の塩分も残るが、窒素、リン酸、カリも豊富に含んでいるため堆肥に向いており、循環型事業実践となっている好例。今年一月末から松永専任となった坂本詩郎農場長らスタッフ六人で草取り、虫取りなどを含めた営農に従事する。同農場長は「一番嬉しいのは芽が出た時。有機野菜は本当に甘く、地の力を感じます」と話す。
同社では、平成六年の法人化(資本金三百三十万円)と同時に世羅郡世羅町大字賀茂144-136に四五haの世羅農場を開設、平成十年には両農場ともに民間の日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会認定農場に、同十二年にはやはり両農場ともに農水省の有機JAS認定農場になっている。松永農場には隣接地に化学肥料を使用する農家の農場もあるが、民間の厳しいJAS規定以上の距離を置くなど有機農場としての品質管理に気を配っている。世羅農場では醤油原料の有機大豆、有機小麦のほかソバ、ネギを栽培、また主力のゴボウの品質、生産量では中国地方最大級。両農場の産品は主に広島市中央市場に出荷されている。



こぼれ話  2004年3月1日号

3月9日はアートで感謝 ネットで熱い想い急拡大

三月九日は「サンキューアートの日」。画廊や美術館など国内外のアートに関する施設が協力し「自分への『サンキュー』の意味を込め、芸術に触れて安らいだり、作品をプレゼントする日にしよう」というキャンペーンの日。東京都のアーティストの呼びかけで始まり、今年で四回目ながら、新たな春の風物詩として賛同者の輪が急速に広がっている。
毎年三月九日前後をイベント期間とし、割引チケットプレゼントや作品購入者への特別サービス、営業時間延長などを行い、アートをより身近に感じてもらう仕組み作りが進められている。
参加する画廊は、春をイメージさせる淡いピンクのポスターをサンキューアート公式HPからダウンロードし掲示する。実行委員会からのEメールをきっかけに参加した画廊のオーナーは、暖かい雰囲気を醸し出すポスターに、来場者の新鮮な反応を感じると効果を喜んでいる。
参加者はリアルな施設だけではない。HP上のギャラリーで作品を世界に発信する写真家やイラストレーターなどのアーティストも、期間中はEメールに作品を添付して希望者にプレゼントするなど、自由な発想と手段で盛り上げていく。
リアルとバーチャルの境界を越えてインターネットがつなぐアートへの熱い想い。「花見で一杯」の季節を前に、肩の力を抜いて「アートで一杯」を楽しむ、そんな年中行事への成長が期待される。(N)

みろくの里まで千里? 改革の歩みは一歩ずつ

構造改革特区は昨年四月からこれまでに全国で二百三十六件が認定されている。うち広島県内では三件が認定され、動き出している。
広島、呉、東広島の三市と府中町の全域が対象の「広島研究開発・創業特区」は、国立大学教員等の勤務時間内兼業の容認や外国人研究者受け入れ促進、国の試験研究施設の使用の容易化などを進め、研究開発型ビジネスの活性化を狙う。 福山市箕沖全域と草戸町の一部が対象の「びんご産業再生特区」は再生資源を利用したアルコール製造を容認してリサイクル産業などの創出、循環型社会の構築を目指す。
三次市が対象の「教育都市みよし特区」は市町村が独自に教員を任用して県教員を補完、目が行き届く二十人学級編成に挑む。
さらに現在は第四次申請で受け付けられた特区構想が審査中で、三月中に結果が発表される。その中には沼隈町が申請した「みろくの里スローライフ特区」も含まれている。
同特区は漢方医療に注目。中国から研究者を招き、腰を据えて研究できる五年間の滞在を可能にしようとしている。当初は中国人医師による治療も考えられたが、今の特区認定基準ではハードルが高すぎ、さらに特別な特区が誕生でもしない限り難しいと分かり、トーンダウンしての申請になったという。
しかしこの特区への注目度は特別で、政府高官がお忍びで沼隈を訪れたほど。千里の道も一歩から…。二歩、三歩とスローな歩みながら行き着く先に注目したい。(J)

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