びんご経済レポート

医療と福祉 最前線レポート 2005    


画期的な日帰り手術を福山で実現
5月17日 山本医院 オープン


福山市引野町北二丁目に五月十七日、日帰り手術を実践する画期的な医院「山本医院」が開院する。
院長は直前まで慶応義塾大学医学部客員助教授として数多くの手術を執刀した山本裕医学博士。山本院長は一泊しても二十四時間以内に退院すると日帰り手術と定義される学術的な日帰りと違い、患者さんの立場に立ち、全国的にも稀な「その日の内に帰宅する真の日帰り手術」施術医院を福山の地で実現する。
実家は世羅町で永く親しまれた山本醫院。中央で極めた医術を故郷に近い福山へ持ち帰る。これからも施術例の分析を論文や学会で発表する活動は続けるという。
日帰り手術の対象は多いが、分かりやすい例は下肢静脈瘤、痔などの肛門疾患、ヘルニア(脱腸)といった疾患の治療。では、日帰りのメリットは何だろうか。


■下肢静脈瘤・痔を日帰り手術で治す!
下肢静脈瘤を例に説明を受けた。下肢静脈瘤とは女性が妊娠を機に発症するケースが多い、ふくらはぎや膝裏などに蛇のように曲がりくねった太い静脈が浮き出る症状。一般の人は加齢による仕方のない症状で、治せる病気との認識が乏しい。
「見た目が悪いだけ」と放置しているとむくみ、皮膚炎、潰瘍、血栓性静脈炎など悪化するケースもある。
こうした症状を引き起こす下肢静脈瘤は日帰り手術で根治することができる。山本院長が開発した手術法は手術跡も皮膚のしわに沿って目立たない程度で済むという。八十人を対象に行った施術後アンケートでは満足の二人を除き全員が大満足という調査結果も得ている。
次に多くの人が抱える痔やポリープなどの肛門・大腸疾患。痔の治療には日帰り手術はもちろん、程度に応じて様々な治療法がある。また最近は有効な注射治療も開発されており、山本院長も安全性と根治性が証明され次第、施行する予定とのこと。大腸鏡検査前には大腸内を洗い流すために約二リットルの下剤を使う。そのときの患者さんの立場を尊重する現れが、マイトイレ。外来患者とは別に下剤を使う人のために専用トイレを三人分確保した。便器、イス、ロッカー、水飲みを備えた専用の個室を一部屋ずつ割り当て、検査の日は自由に使ってもらう。これは中国地方でも初の試みという。
こうした患者さんの立場に立った医院づくりは、温もり重視の木目調のフロアや点滴中もテレビなどが楽しめるリクライニングチェアなど随所に現れている。
日帰り手術は高度な麻酔技術など先進的医療技術の賜物。まだまだ普及していないが、手術を受ける人の負担を体力的にも経済的にも大幅に下げることができる。また、老人や障害者の介護のため、疾患があっても入院する時間が確保できない人ばかりか、忙しいビジネスマンにも朗報となる。また院長の妻、由子さんは英語、スペイン語で患者さんをサポート、外国人にも朗報となる。
山本院長は「願いは治ってもらいたいの一言。一日も早く元気になってもらうため、スタッフ一丸で精進、努力を続けたい」と日帰り手術の普及に意欲を燃やしている。

■山本醫院(福山市引野町北二丁目八―二八、рO84・943・2777)
ホームページURL=http://www.0849432777.com
※「山本医院」の正式名称は「山本醫院」


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