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尾道三山の一つで中央に構える摩尼山に位置し、朱色の金堂と三重塔が美しい西国寺。真言宗のこの寺の開基は天平の時代(729-765年)と伝わる。国重文の金堂の回廊から裃姿の福男たちが豆をまく「節分会」は尾道に新しい春の到来を告げる恒例行事。毎年2月3日に老若男女千人以上が福を求めて集まる。1月8日には珍しい「火渡り法要」も営まれ、信者らが無病息災を願いながら素足で火の道を渡った◆またここ数年は芸術的な試みも始まり、秋には尾道大学の学生らによる石像彫刻展も期間を設けて行われるほか、一流の能楽師を招いた観月能も金堂を舞台に試みられている◆尾道市役所あたりから北へ散策すると、長い参道を経て大きなわらじが特徴の仁王門が出迎える。門をくぐると尾道名誉市民山口玄洞翁が寄進した洗心堂があり、その一帯は桜が続き、春は美しい桜のトンネルとなる。長い石段を上がって金堂前、さらに上って不動明王像前。小林和作画伯の見事なふすま絵もあり、石段上の墓所には画伯のお墓、石段下の墓所には尾道名誉市民山口玄洞翁のお墓もある。
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尾道の魅力の一つは古いものを大切に使い、今に生かしていること。昔はどこにでもありそうな名前だった「北村洋品店」は今、日本中を探してもここにしかないオリジナル性にあふれている。◆NPO法人尾道空き家再生プロジェクト(豊田雅子理事長)が半分壊れかけていた空き家を大改装。物好きな職人と奉仕の意味を考える前に「手伝いたい」という純心から集まった学生、パパさん、ママさんの力を借りて再生され、最後は「尾道が好き」という共通点以外はまるで違う個性的なアーティストが寄ってたかって柱、床、壁、天井などを表現の場として仕上げた。近所の子どもたちも玄関にタイルで海の底をイメージして表現した◆この施設は入場無料。昼間は子どもたちが自由に過ごす。ママさんたちも1階の居間に置かれたちゃぶ台を囲んで1杯100円のセルフドリンクを飲みながら井戸端会議に参加する。2階は小物や子ども服の販売コーナーがあり、1カ月1スペース500円で出品もできる。子育てに関する教室、会合などにも主旨の理解者に低料金で部屋貸しする。
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シネマ尾道で23日から始まる、精神診療所のドキュメンタリー作品「精神」公開に合わせ、24日午前10時からの上映後、映画の舞台となった岡山の精神診療所代表の山本昌知医師(右下写真)によるトークイベントが行われる。30年前尾道の精神科診療所に勤務していた縁から実現した◆作品は想田和弘監督がタブー視されてきた精神病の世界に挑んだ画期的なドキュメンタリー。岡山の精神科診療所「こらーる岡山」の患者の精神世界を通して、日本人の精神のあり方を探ると同時に、精神科医療の課題にもスポットを当てる。モザイクなしの素顔で出演する患者にカメラを向け、ナレーションや説明テロップを使用しない独特なスタイルで被写体を描き出す話題作。そこに透けて見える社会の縮図…。「病気でなく人を看る」「本人の話に耳を傾ける」「人薬(ひとぐすり)」をモットーに、患者が地域で暮らせる方法を模索する山本医師は、精神科病棟の鍵を取り除く運動にも力を入れてきた現代の「赤ひげ」でもある◆前売り1,000円、当日券は一般1,800円、大学高校生1,500円、小・中・60歳以上1,000円。
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尾道の商店街の小路のひとつ、荒神堂通りに毎日笑い声やおしゃべりが聞こえる一角がある。空き店舗を利用して全ての人が集まれる場所を作ろうと8年前に始まった「荒神堂サロン」は個人や団体のボランティアで運営されている◆尾道のがんこ豆や竹炭なども販売し、収益は運営費にしている。利用するのは尾道の人だけでなく観光客などにもお茶を振舞い、尾道の話をしたりもする◆水曜日には「どんぐりの会」による「手作業と健康体操」、土曜日は「ほおずきの会」の「手芸・小物作り」、第1・3火曜日はお茶席(200円)などバリエーションも豊富だ◆木曜日には精神保健福祉ボランティア「コスモス」の「心の相談」、金曜日は認知症家族会や在宅看護職の会の「認知症相談・血圧測定・健康相談」、第2・4火曜日には「おのママサポーターズ」による「子育て中のお母さん いらっしゃ〜い」がある。孤独に陥ってしまうときも、誰かに相談したり同じ悩みを知ったりすることで解消されることがある。ただ話すだけでも気持ちが楽になる。「楽しくおしゃべり」がモットーの気軽なサロンに立ち寄ってみよう!!
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NHKの「ゆく年、くる年」でも紹介された除夜の鐘は俚謡に「音に名高い千光寺の鐘は一里聞こえて二里ひびく」と謡われるほど余韻が楽しめるが、除夜の鐘のときはさすがに人気。午後10時から整理券(約400枚)を配り、10時30分から除夜の鐘が響き始め、行列が続いていても深夜0時で終わり、そこから8つ鳴らして新年を迎える◆尾道観光のシンボル的存在の千光寺。開基は大同元(806)年と伝わり、朱色の舞台造りの本堂は享保3(1686)年の建立で、そこからの景色は正に絶景となっている◆本堂と玉の岩を挟んで並ぶ大師堂にはお守りや念誦などの販売コーナーがあり、参拝者の人気を集める。オリジナルの目出しダルマ、六瓢(無病)息災、縁結びなどを求める人が多く、小さなお願い地蔵も人気が高い◆本堂下の西国三十三観音堂前には108個の玉の大念誦が吊り下げられ、念じながらカチカチと音を立て回すと煩悩厄除の願いが叶うという◆千光寺公園は同寺の寺領を明治36年に寄付したことに始まり、昭和33年に約1万坪を市に管理委託して現在の姿になった。
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備後総鎮護の扁額がかかる御調八幡宮は和気清麻呂の姉・和気広虫が所持していた円鏡がご神体。広虫姫が769年に当地へ流され、777年には社殿が造営されたとの記録が残り、後に石清水八幡宮の別宮となった由緒ある神社◆木造の狛犬一対は足利義政の寄進と伝わり、国の重要文化財。そのほか3種の板木が重文で、文化財としても貴重な宝物がたくさん伝わっている◆11月8日の日曜日は秋季例祭が行われ、厳かな神事と境内ではコンサートや餅まきなどでにぎわった。コンサートはNPO法人フォレストサポートクラブ主催の第7回「森林のコンサート」。地元八幡小学校児童の八幡太鼓や地元グループによる沖縄三線の演奏、バンド演奏などがあった。招福餅まきと写真コンテストは三原商工会議所内に事務局を置く「やはた川自然公園と御調八幡宮を愛する会」の主催で行われた。もみじが色づく一帯は自然公園で、上田宗箇流のお茶席もあり、七五三で訪れる家族らを和やかにもてなした◆やはた川をまたぐ屋根つきの赤い橋を渡ると長い石段。その上あたりに「豊臣秀吉お手植えの桜樹」の立て札がある。いまは枯木の大株の一部を残すのみだが、この地が歴史上で果たした役割を垣間見ることができる。
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武者小路実篤、中川一政、梅原龍三郎といった白樺派の芸術作品を展示する施設から、がらりと趣を変え、尾道大学美術学科の関係者が作品を発表する場となった尾道白樺美術館。運営主旨は変わっても芸術を愛する気持ちから人間社会に貢献しようという芸術に対する基本理念は受け継がれている◆この11月8日までは「尾道デザイン作品展」が開かれ、美術学科デザインコースの学生が「尾道」をテーマに取り組んだ作品を発表した。尾道水道の護岸に今年完成した「おのみち海辺の美術館」の看板。市内で行われたイベント告知の各種ポスターなど。また市内御調町のみちの駅で販売されている飲料「かきすせそーだ」「うるわしそーだ」の商品名、ラベルデザインも学生ならではの若い感性から生まれた。JA尾道が販売する「おのみちワイン」のラベルデザインも学生の作品。造船所クレーンや尾道鉄道のペーパークラフトもあった。ここでは地域に根ざした取り組みが地元の産業に生きている様子を伝えた◆11月26日からは日本画を専攻した大学院修了生と先生による作品展「揺藍展(ようらんてん)」が始まる。
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瀬戸田の観光、交流拠点のひとつとしてしおまち商店街内にある白塗りの「汐待亭」。元郵便局の母屋だった旧家を公開した味わいのある建物で、近隣の観光パンフレットが集まっており、地元の人たちの作品展示や雛飾り展示など、賑わい創出に向けイベント会場としても活用されている◆その汐待亭では、11月23日(祝)午後7時から、東京を中心に注目を集めているギタリスト、菅(かん)大祐さんのコンサートが行われる。「瀬戸内ツアー2009」の一環で、「海の近くでライブをしたい」との思いから同所が会場に選ばれたもの。CMやドラマの曲を手がげるほか、 京都の一保堂茶舗プロモーション音源などを制作している管さんの心地よいアコースティックギターのメロディーを瀬戸田で楽しめる。さらにゲストとして京都を中心に活躍している写真家の石川奈都子さんが招かれ、演奏中に新作映像を流す。チケットは当日販売で1,500円。なお前日の22日(日)には福山市柳津町のソファーメーカー、(株)心石工芸のショールーム「カーロ」でも午後7時からライブが行われる。
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尾道市御調町のふれあいの里にある圓鍔記念館で、11月29日まで秋の特別展「圓鍔勝三 彫刻の世界」が開かれている。大きさも素材もテーマも様々で、彫刻の表現力をじっくりと鑑賞することができる。彫刻のほかシルクロードの旅で描いたスケッチや花・仏像のデッサンなど巨匠の絵心にも触れることができる。また「佛の顔も二度三度」といった書の味わい深い作品もある。彫刻作品の展示は、作品名とともに制作意図の説明文が付いており、作品をより身近に感情移入して観ることもできる◆圓鍔勝三氏は明治38年御調町で生まれ、昭和5年帝展初入選。その後文展、日展特選、日展審査員、勲三等瑞宝章受章、日本彫刻会理事長、文化勲章受章など芸術界の巨匠としてふさわしい経歴を重ね、平成15年逝去した。記念館は圓鍔氏の作品を保存し、文化の発信源となることを目的に平成5年にオープン。広大な公園とともに心の平安を求める来館者のオアシスともなっている◆入館料一般400円、高校生300円。歩いてすぐ近くに天然温泉施設の尾道ふれあいの里がある。
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「地域を知る、学ぶ、考える」をテーマに地域の歴史文化の掘り起こしと発信に取り組む「尾道学研究会」がホームページを本格稼働させた◆ホームページ開設を望む声に応えて昨年末から準備を始め、7月から試験公開していた。これまで地域としては市内中心、ネットワークとしては会員内に限定されていたが、今後は全国レベルでの尾道発信と情報共有、交流を進める。内容は「デジタルアーカイブ」「ミュージアム」「尾道学アイテム」など5テーマ◆「デジタルアーカイブ」は、事業の核でもある資料のデータベース。絵葉書や古地図、写真、郵便資料などを解説とともに公開する。「ミュージアム」ではおのみち街かど文化館で定期的に開いている企画展を紹介。現在は昨年行った尾道鉄道の紹介企画「タイムスリップ・レール…尾道」を公開中。10月31日まで。「尾道学アイテム」では、刊行物を掲載、古写真、絵ハガキを収録した「尾道…セピア色の記憶」、イベントで販売する渡船ペーパークラフトについて紹介している◆なお、おのみち街かど文化館で「私の尾道遺産展」を実施中。
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